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【ELFORD】踏み間違い事故時の暴走を止める抑制装置「アクセルブレーカー&フットレストカバー」

4WD・SUV用のカスタムパーツを中心とするパーツメーカーのメイワ。本誌では〝エルフォード〟ブランドがお馴染みで、数々のドレスアップアイテムやチューニングパーツをリリースしていることは、4WD・SUV用オーナーならご存知だろう。
 そのメイワが近年力を入れて開発しているのが「ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いで起こる事故の抑制部品」だ。これを埼玉大学大学院 理工学研究科と共同開発を進めて、特許の取得を行なうなどして『フットレストカバー』をリリース。そこからさらに研究・開発は進行して新たに『アクセルブレーカー』という商品の販売も開始した(現在はプリウス30&40、現行型アクア用を用意)。今はランクル300&レクサス600用のそれも鋭意開発中だ。
 このアクセルブレーカーの開発コンセプトは、暴走しないこと/簡単な構造であること/一般的走行時には普通に使用できること、という3つを狙っている。また簡単に後付けできることもポイントだ。早速、中身を紐解いてみよう。
 構造はアクセルペダルに組み込んだスプリングとマグネットによって、ある一定部分より踏み込まれるとペダルが外れる仕組みとなる。これはアクセルオフと同じ状態であり、つまり間違ってアクセルペダルを強く踏み込んだ場合でもエンジン回転は上昇せず、暴走事故の抑制に繋がるという画期的なパーツなのである(しかもペダルから足を離せば、マグネットで自動的に元に戻る)。
 暴走事故は、アクセルをブレーキだと思って踏み続けることが多いため、より被害が拡大する傾向にある。アクセルとブレーキの踏み間違いを事前に予防するというより、万が一踏み間違えた場合でも効果的に事故を抑制できるため、このアクセルブレーカーを後付けで装着すれば、大きな事故を防ぐことが可能だ。さらに興味深い点として、このアクセルブレーカーは電気的構造を一切必要としていない。つまり車両のコンピュータの誤作動を誘発する要素もなく、装着は容易、信頼性も担保されるという多くのメリットを持つ。またこのパーツが組み込まれていると自覚することで、心理的に安全運転にも繋がることが多く、ペダルの踏み間違いの抑制効果もある。
 アクセルブレーカーは先述の通り、すでに商品化に至っているが、コスト的にもリーズナブルな価格が実現されている。先行発売中の吊り下げ式の場合、部品代が3万3000円、取り付け費は5500円だ。一方でオルガン式のアクセルペダルにも対応するアクセルブレーカーも近日登場予定。例えば最新型のプリウスやクラウンシリーズなどが、このオルガン式のアクセルペダルを採用しているのだが、こちらの予定価格は4万4000円となる。
 オルガン式のアクセルブレーカーは、小さなマグネットとアクセル機能の断絶機構を設けることで、ある一定以上踏み込むと、アクセルオフの状態になるというもの。吊り下げ式アクセルペダル用とは構造が多少異なるが、アクセルを踏み続けてもエンジン回転が上昇せず、暴走を抑制するという点は同じ。加えて電子パーツを使わず、全て機械式の構造としている点も吊り下げ式と同じで、やはりメリットも同様に引き継いでいる。
 ちなみに「どの程度のアクセル踏力でアクセルブレーカーが機能するか」といった調整にも対応が可能だ。例えば高速道路を走らない高齢者用として使うなら、アクセル開度60%程度で機能するように調整すれば、より効果的な事故の抑制に繋がる。
 またアクセルブレーカーは装着時に違和感なくアクセル操作ができることも大きな特長。通常走行で不便を感じることもなく、電気的な仕掛けではない機械式により、天候や気温の影響を受けない。
 自動車メーカーが提供する運転支援装置の進化や普及は目覚ましいが、それらの装置は天候や気温に左右されることがあり、時には使用できない状況に陥ることも…。運転支援装置が備わっているクルマであってもアクセルブレーカーをインストールすることで、より効果的に安全性を高めることができて、悲惨な事故の防止に繋がるアプローチとなるのだ。

アクセルブレーカー

アクセルブレーカーには、純正のアクセルペダルにマグネットと断絶機構を組み込んだオルガン式ペダルに対応したモデルと、アクセルペダルの付け根辺りにマグネットとスプリングによる断絶機構を装着する吊り下げ式モデルを設定。どちらの場合も一定以上にアクセルを踏み込むと、磁石が離れて、アクセルオフと同じ状態となり、加速を抑制。アクセルを離すとマグネットにより通常のアクセルペダルと同じ状態へ復帰する。つまり、アクセルを間違えて踏んだ場合にも暴走を抑制する効果が得られる。また、電気的な仕掛けを使わず全て機械式としている同様で、高い安全性と信頼性を持つ安全デバイスなのだ。
アクセルブレーカーには強力な磁石とばねが付いており、通常走行では問題ないが、ブレーキと間違えて強くアクセルを踏み込むと磁石が離れてアクセルが踏めなくなる。これで足がアクセルを踏んでいない状態になって加速を抑制。ちなみにこの過剰に踏み込んでしまって磁石が離れる瞬間の「ガキン!」という音や足への衝撃でも踏み間違いに気付くことができる(この「電気のブレーカーが落ちた時にバチン!となる」イメージでアクセルブレーカーという商品名となったか)。なお、アクセルブレーカーが作動した後、アクセルがオフされると装置はばねの力で元に戻って、再び通常走行が可能となる。

国立・埼玉大学大学院理工学研究科との産学連携の共同研究で開発!

実車を模したコクピット&シートとVR技術を用いたシミュレーターを用いて、データを蓄積・分析。実験車両はプリウスで、シートやステアリングは純正品を採用して取り付け位置や角度までを実車同等とし、プリウスから型取りしたFRPでフロアをつくり上げ、さらに周囲の様子をヘッドセットを用いたVR技術によって再現。これがペダルの踏み間違いに繋がる足の動きを検証する実験などに用いられる。検証には老若男女の多くの人に参加してもらうという。
 もちろん開発の最終段階ではシミュレーターだけでなく、実車を使った実験も行なう。埼玉県内にあるメイワとのこの共同研究は、地元で産業を興すという産学連携の社会貢献的な試みでもある。

フットレレストカバー

アクセルブレーカーのほかに、メイワと埼玉大学大学院理工学研究科は正しい運転姿勢がアクセルとブレーキの踏み間違いの抑制に繋がることを研究し、左足を正しい位置に置くことが重要という結果を得た。それを基に商品化したアイテムが『フットレストカバー』。純正フットレストから後付けでフットレストのサイズを拡大することで正しい運転姿勢を取りやすくし、さらにブレーキペダル側に壁を作ることで左足の動きを制限して、踏み間違いを抑制する。正しい運転姿勢を促すことで、腰痛や長距離運転時の疲労軽減などの効果も得られる。
ヒューマンインターフェイス、いわゆる人間工学に基づいて、フットレストカバーやアクセルブレーカーの研究開発および特許出願などを行なった埼玉大学大学院 理工学研究科の楓 和憲 准教授。同大学院理工学研究科の馬場居仲さん、前田侑亮さん、小石智也さんの3人も研究員として参加している。
カスタマイズパーツのELFORD(エルフォード)ブランドを展開する株式会社明和の代表取締役・藤森正信氏。好評のフットレストカバーに続き、新たな安全運転支援装置のアクセルブレーカーのリリースを実現した人物で、社会貢献という側面からも普及を目指す。

さらに進化した脱着式で車両盗難防止効果も!
待望のランクル300&LX600用も近日発売を目指して開発中!

もともとはブレーキとアクセルの踏み間違い事故の対策として開発されているアクセルブレーカーだが、すでにさらなる進化を目指して研究は進んでいる。上写真は開発中のランクル300用のアクセルブレーカーだが、アクセルペダルが簡単に脱着できる機構の採用を検討中。高級車のランクル300などの車両盗難防止に大きな効果を発揮するだろう(写真は試作品)。