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ホイールもパーツも〝万人受け〟というキーワードよりも個性の強いモノの方が強く支持される可能性がある!

APIO(アピオ)とTANIGUCHI(タニグチ)。ジムニーオーナーならその名を耳にしたことがあるはず…どころか、もしかしたら何か両社のパーツを装着しているかもしれない。
そんなジムニーカスタムのパイオニアであり、オーナーに支持され続けるカリスマ両者から見た
●ジムニーに似合うホイール
●現在デモカーに装着しているホイール
そして、今回の対談の立役者でもある
●ホイールメーカーWORKに今後求めるもの
という、3つのテーマについて大いに語り、対談していただいた。
これはきっとジムニーでホイールを選ぶ際の指針のひとつになるだろう!

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編集部(以下、編):ジムニーが誕生して既に半世紀が過ぎましたが、まずはジムニーホイールの基本について教えてください。
谷口(以下、谷):初代から一貫して16×5.5Jで、シエラは15インチです。つまりこれまで発売されたジムニー用ホイールは、基本的には歴代全モデルに装着可能です。サイズも今リリースされているのがベストといえますね。。
編 さて、現行型JB64の登場から4年が過ぎましたが、サイズが同じでも、先代JB23とは、似合うホイールは違いますよね?
河野(以下、河):全然違いますね!
谷 クルマのデザインがそうであるように、その時々でカスタムパーツにも流行りがあります。
河 ただし変わらないことがジムニーの魅力でもあります。そもそもジムニーは4ナンバーが起源…つまり働くクルマなんです。そのため弊社では、道具感を大切にしながらデザインを検討しています。実はカスタムスチールホイールを作ろうかと思いましたが、型代が高く断念…。それでアルミだけどスチール風に見える「ワイルドボアSR」が誕生しました。
谷 タニグチでも以前はオリジナルホイールを販売していましたが、現在は絶版となっています。私が入社する以前なので明確な経緯は不明ですが、ホイールメーカー各社がジムニー用に参入したこと、また今のジムニーにタニグチのデザインがマッチしなくなったのが理由ではないかと。いくらデザインを頑張っても、餅は餅屋。ホイールメーカーのセンスや技術には太刀打ちできないですね。
河 JB64が出て既存品を装着してみましたが「似合わない!」と思いました。面白いことに、デザインやカスタムの方向性も一周回って原点回帰するんです。最近リヤラダーやルーフラック、スチールバンパーの人気が高いですが、どれも30年前に流行ったものです。
谷 弊社でも最近金属バンパーを復刻しましたが、好調です。レトロな雰囲気にするのが今の流行りですし、ホイールもレトロ感を重視するのは良さそうですね。
河 僕ら世代のおじさんは見慣れた形と思うけど、若い人達は産まれる前だからそもそも知らないし、新鮮でカッコ良く見えるんでしょう。でも同じことの繰り返しでなく、進化したり、洗練されている。螺旋状にひとつ階層が上がっている感覚があると思いますね。
谷 昔の雑誌や資料を見て、こんな雰囲気にしたい!と言う方も多いです。でもあくまでそれは雰囲気で、現代的なアレンジは必要ですよね。それで思い出しましたが、WORKのCRAGガルバトレは「凱旋」とか「復刻」など、原点回帰的意味が込められてますね。
WORK(以下、W):そうですね。ただし単なる復刻ではなく、かつて一世を風靡したCRAGのエッセンスを継承したホイールです。
河 どんな製品も売れて欲しい気持ちが強くなると、万人受けする形になりがち。でも最近は当たり障りないものより、強烈に賛否が分かれるものの方が面白いと思います。「悪くないね」と言うのは、裏返せば「良くもない」ってことで。
谷 確かに否の場合は買わないけれど、賛なら絶対買います。万人受けは難しいですし、一部の人に刺さればいいかも知れませんね。
編 対談のために、デモカーでお越しいただきましたがて、アピオ号には『CRAG T-GRABIC2』を、タニグチ号は『CRAG ガルバトレ』を装着済みです。率直な感想はどうですか?

アピオ・代表 河野 仁さん

尾上氏が創業したアピオは、カスタマイズパーツの販売だけでなく、パリ‐ダカールラリーやモンゴルラリーといった海外レースで、パーツの走破性や耐久性の高さを立証。そんなアピオを引き継いだのが、現社長の河野 仁(こうの ひとし)さん。アピオ入社前は家電メーカーでプロダクトデザイナーとして勤務していた経験があることなど、河野氏が代表となってからアピオのパーツやデモカーに、機能だけでなくファッション性も加わった。ユーザーの嗜好を敏感に感じ、様々なスタイルのコンプリートモデルを提案するが、そこにジムニーの本質である「走りの楽しさ」は健在だ。

オフロードサービスタニグチ・代表 谷口 武さん

エクステリアからインテリア、サスペンションなどのハードなカスタマイズパーツからインテリア用小物まで、ありとあらゆるジムニーパーツをプロデュースし続けて40年以上の歴史を誇る『オフロードサービスタニグチ』。ジムニー界の西の横綱という称号に、異論を唱える人はいないだろう。現在、社長を務める谷口 武(たにぐち たけし)さんは、2代目にあたり、ジムニーに精通するだけでなくアウトドアのインストラクターとしての資格も持つ。老舗ブランドの誇りを維持しつつ、若い新しい視点と感性でこれからのジムニーカスタムを提案していく。

■APIO/JB64 20㎜UP

シルバーのボディカラーに、あえて艶消しブラックのバンパーをセットして硬派な雰囲気を醸し出すアピオのデモカー。クラシカルテイストのアイアングリルは、ノーマルらしさを残しつつ、ひと味違う個性を演出できる。またAPIOのリヤバンパーは左右を切り詰め、スタイルだけでなくオフロードでの走破性を高めた機能部品だ。マフラーはライダーなら誰もが知っているあの〝ヨシムラ〟とコラボした製品で、河野社長のキモ入りパーツで特徴的なサイレンサーがリヤビューをアピールする。
 足回りは64 20SAサスペンションキットで、20㎜のリフトアップ。ステアリングダンパーも交換することで、直進安定性も高められた。他にもマグネットが内蔵されたキーホルダーなど、オーナーなら所有したいと思うギアも充実。老舗の提案は、気軽にカスタムを楽しめるはず。

CRAG T-GRABIC2

一般ユーザー向けだけでなく、ワークは様々なモータースポーツをサポートし、活躍中。例えばバハ1000に参戦した塙郁夫選手には『T-GRABICレーシングモデル』を提供。そこから得たデータを基に市販品としてリリースされたのが、名作ホイール「T-GRABIC」。その後、塙選手の要望を受け入れた改良レーシングホイールに進化し、同時に市販品もさらにブラッシュアップして強度を高めた『T-GRABIC2』を発売! なお、市販品の発売直前に開催されたアジアクロスカントラリーでもその強靭さは立証済みだ。デザイン上のポイントは、ビードロック風のリムフランジに、歯車とスポークを合わせたようなスタイルを採用。リム部分はRを設けて見た目の立体感だけでなく、強度も追求。カラーはアッシュドチタンカットリムとグリミットブラックカットミルの2色。

■TANIGUCHI/JB64 2″UP

ソロキャンプやアウトドアのトランスポーター…そんなイメージでカスタムされたタニグチのJB64は、ワクワクするようなスタイルがポイント。前後バンパーは下方向への張り出しを少なくしたFRP製に交換することで、アウトドアはもちろん本格オフロード走行にも対応。ステップやホイールセンタープレート、リアフェンダーカバーなど、「あったらいいな」と思うアイテムを各種ラインアップ。

 サスペンションは2インチのリフトアップ。数値のみで判断しがちだが、しっかり足が伸び縮みするサスペンションなので、オンロードからオフロードまで、オールマイティな走りを楽しめる。ホイールはワークのガルバトレで、タイヤはこの秋、リリースされたばかりのオープンカントリー785。復刻されたトレッドパターンに加え、ホワイトアイボリーのレターが新たなスタイルをつくりあげそうだ。

CRAG GALVATRE

鋳造3ピース構造を採用するCRAG ガルバトレの最大の利点、それは変幻自在とも言えるサイズとインセット設定にある。ジムニーの場合、保安基準の関係もあり、オーバーフェンダーを装着するほどハードなカスタムは一般的ではないだろうが、それでもインナー&アウターリム/ディクズ/ピアスボルトは別々の部品で構成されるので、それぞれ異なる色を組み合わせることができる。
 まさに自由な組合わせを可能とし、なんと624通りものバリエーションを展開! しかもそれらは、1本ずつ職人の手によってバ入念にバランス取りされながら組立てられる。大量生産品をただ装着するのではなく、自分の理想のスタイルを追い求めるのカスタムユーザーのためのホイールだ。なお、ガルバトレのルックスはオフローダー王道の丸穴ディッシュタイプを採用している。

  • 取材協力

WORK(https://www.work-wheels.co.jp
CRAG SPECIAL SITE(https://crag.work-wheels.jp

APIO(https://www.apio.jp

OFF-ROAD SERVICE TANIGUCHI(https://www.ors-taniguchi.co.jp