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フレーム付きのボディにローレンジ付きトランスファを搭載するプラドとハイラックス2車のアドバンテージを検証!

 Jeepやジムニーのように前後リジッドサスペンションは採用していないものの、フレーム付きのボディにローレンジ付きトランスファを搭載するモデルも存在する。世界的に見れば、そんなプロフィールを持つ、いわゆるオフロード4WDは数多くリリースされているのだが、現在、日本で普通に購入できるのはランドクルーザー200系とプラド、そしてハイラックスということになるだろう。ランクル系の2車はフロントに独立懸架式サスペンション=ダブルウィッシュボーン・コイル、リヤに5リンク・コイル・リジッドを採用。ハイラックスは、フロントサスペンションはランクル系と同じ、リヤにはリーフ・リジッドを採用する。
 そんなわけで、本格オフロード4WDの再検証、第二部では、ランドクルーザー・プラドとハイラックスの実力を見てみよう。いずれもこの夏、マイナーチェンジを実施して、クルマとしての資質を高めていることにも注目だ。
 プラドはデビュー当時こそ“カジュアルに乗れるランクル”という立ち位置だったが、現行の150系になってからは先進的な機能、ゴージャスな装備とも、フラッグシップの200系に匹敵するものに。違うのはボディサイズだけ、と言われるまでになった。
 一方、ハイラックスは17年、国内市場に復活して以降、根強い人気を築いたピックアップトラック。タフなデザインと走りは実用派だけでなく、オシャレなユーザーからも愛されることになった。

◆TOYOTA LANDCRUISER PRADO

150系プラドとして3番目のマスクとなる現行型。デイライト付きのLEDヘッドライト、サイドターンランプ付きドアミラーなど、現代的な装備も多数採用されている。トヨタセーフティセンスという先進の安全機能は夜間の歩行者認識など、格段に進化することになった。
プラドのパワーユニットは2種。2.7ℓガソリンと、2.8ℓクリーンディーゼル。主力はディーゼルで、オフロード走破性を左右するアクティブトラクションコントロールが選べるのもディーゼルのみ。トランスミッションは6速AT。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン・コイル独立懸架式。リヤは5リンク・リジッド式で、最上級のTZ-Gは車高調整可能なエアスプリング、他グレードはコイルスプリングを組み合わせている。TZ-Gはオンとオフロードで制御を変化させるKDSS機能も採用。
剛性の高いボディ&シャシーで、まず悪路でも安心して踏み込める頼もしさがある。サスペンションはフロント独立式だけに、粘り強く路面を捉えるような走りはできないが、アクティブトラクションコントロールの緻密な制御で、難所をクリア。対地アングルも見た目ほど悪くない。TZ-Gのエアサスは車高を高めてもまだ、サスペンションが伸縮する余裕があり、以前のモデルにあった突き上げが解消されているのが印象的だった。
上級車種はウッド&レザーのギミックでまとめ、高級感たっぷり。TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ、左右独立式フルオートエアコンなど快適装備も充実。最上級グレードのサードシートは電動格納式だ。

OFF-ROAD

ON-ROAD

プラドの乗り味は高級SUVそのものだ。シャシースペックは本格オフローダーそのものだが、滑らかな乗り心地は高速クルージングも快適そのもの、とくにロングドライブでその熟成ぶりをうかがえる。2.8ℓクリーンディーゼルはややパンチ感と高回転の伸びが物足りなかったが、今回のエンジン改良で、それもカバー。

◆TOYOTA HILUX

海外ではシングルキャブやガソリン搭載車など、様々な仕様がラインナップするが、日本でリリースされるのはダブルキャブのみ。全長は5mを超える堂々たる体躯だ。今回の変更ではマスクを、よりアグレッシブに。デッキは最大積載量500kg、防錆鋼板採用でタフに使える。
搭載エンジンは2.4ℓクリーンディーゼル。ターボチャージャーの見直しとアイドリングストップ機能追加でWLTCモード燃費は従来より15%向上、11.7km/ℓをマーク。トランスミッションは6速ATを組み合わせている。
サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン・コイル独立懸架式、リヤにリーフ・リジッドを採用。リヤのリーフは従来、最大積載量500kgを想定して、かなりハードな設定だったが、今回のマイナーチェンジで少しソフトライドに。後席の乗り心地がよくなった。
室内スペースはダブルキャブならではの広さ。リヤシートは簡単な操作で分割式にチップアップ可能、積載も自由自在だ。インパネまわりはSUVライクな上質な作り。上級グレード「Z」にはメッキの加飾も多用されている。

OFF-ROAD

3mを超えるホイールベースと、20度台のアプローチ&ディパーチャーアングルゆえ、局地的なオフロード走行は苦手だ。ただ、溝などの通過で対角線にタイヤが浮いても、アクティブトラクションコントロールが穏やかに効き、少しのスリップを伴いながらスムーズに脱出する。ダート走行はオートLSDと引き締まった乗り味で、ポテンシャルの高い走りを披露。

ON-ROAD

試乗した「Z」には、オンロードのハンドリングや直進安定性の確保に有効な“オートLSD”を新採用。それまでのハイラックスは長いホイールベースもあって“曲がらない”印象が強かったが、自然なコーナリング性能を身につけた。乗り心地は、リーフのソフト化で少し改善されている。