60系から100系まで、ほぼ10年以内に次期モデルへとバトンタッチしていた大型ワゴン系ランドクルーザーの系譜だったが、200系から新型(300系)へは実に14年もかかった。これはクロスカントリーSUVとしてはほぼ完成に達していた200系から、新たな時代に合わせて更に進化させるのに困難が伴った…という証の一つだと思われる。そんな300系は、居住性や走行性能の進化に加え、唯一の弱点ともいえる経済性能をも引き上げ、新世代のランドクルーザーとして登場した。そんな300系に対し、万全の態勢でパーツ開発を行なっているのが4WD&SUVパーツメーカーのジャオスだ。トヨタ製SUVの頂点にして、キングオブオフローダーの二つ名を受け継ぐ新型ランドクルーザーに対し、どのような過程を経てパーツ開発が行なわれたのか。商品の企画・デザインを担当したジャオスの内田氏にインタビューを行なった。
「300系のパーツ開発に当たっては、まさにコンセプト検討の段階で壁に当たりました」と内田氏。「これまで、100系や200系などの大型ワゴン系ランドクルーザーは、エアロ+ローダウンというラグジー系のカスタマイズが主流でした。ところが、ひと足先にプラドの後期あたりからリフトアップ・オフロード系のパーツがじわじわ伸びてきたのです。これは世のオーバーランドスタイルブームに同期していると思われます。」オーバーランドスタイルとは、車中泊をしながら長距離を旅するアウトドアスタイル。数年前からオートキャンパーはもとより、特にSUVのカスタマイズスタイルとしても認識されてきた。そんな時流の中で、今までのように「大型ワゴン系ランドクルーザー=エアロ+ローダウン」というカスタマイズ方程式が踏襲されるのか。社内検討のために、様々なスタイリングのスケッチを何枚も描き起こしたという内田氏。更に、その迷いに追い打ちをかけたのが「GR-SPORT」の存在だ。
「車両の正式発表前から『GRグレードが存在する』という情報は得ていたのですが、もっと特殊なモデルだと予想していたんです。だから弊社では通常の売れ筋グレードであろうZXをデモカーとして導入しました」。ところが、蓋を開けてみると、程よいオフロード感を備えた「GR-SPORT」は予想を超えた人気グレードとなった。「それで余計迷いましたが、結局、主力であるZXをベースにGR-SPORTとは違うアプローチの『オーバーランドスタイル』を提案しよう…ということになりました。」 そこで、車両の雰囲気を決定づけるフロントパーツに、これまでのジャオススタイルとは異なる「バンパーガード」を設定。それを軸に全体スタイリングが構築されていった。
現在は「受注中止」という前代未聞の状態に陥っている300系だが、リリースされたパーツの販売は思いのほか好調だという。これはランドクルーザーに対するジャオスの想いがユーザーから信頼されている証だろう。エクステリアパーツのリリースは一段落し、これからはサスペンションなどが続くという。今後もジャオスの活動からは目が離せない。
LED フォグランプ 26C クリアー
フロントバンパーガード
リヤスパッツ
フェンダーガーニッシュ type-X
ドアハンドルプロテクター type-A
TRIBE CROSS
ツボを押さえたパーツで実現するジャオス流オーバーランドスタイル
これまでのジャオスのフロントパーツと言えば、バンパー交換タイプの「フロントスポーツカウル」か、チューブバーとプレートを組み合わせた「スキッドバー」が主流だった。しかし、新たなオフロードスタイルを表現するべく、アウトドアグッズなどのプロテクション形状をモチーフにして新たにデザインされたのが「バンパーガード」、そしてそのデザインをリアに引き継いだのが「リヤスパッツ」だ。アプローチアングルを確保しながらもボリューミーなスタイリングを実現したフロントに対して、リアはヒッチメンバーなどの装着にも支障のないようコンパクトにデザインされているあたりは、ランドクルーザーユーザーの趣向を把握している4WD&SUVパーツメーカーならではの設定だと言えよう。さらにダミーボルト付「フェンダーガーニッシュ typeX」や、爪によるスクラッチからボディを守る「ドアハンドルプロテクター」がボディサイドをグッと引き締めている。そしてホイールには、TEAM JAOSによる海外ラリー活動で鍛え上げられたTRIBE CROSSの新型ランドクルーザー(300系)専用20インチサイズを装着。無駄な派手さは狙わない、ジャオスらしいオーバーランドスタイルを構築している。