4WDのカスタマイズで、スタンダードなメニュー〝リフトアップ〟。その意義はノーマルより大きなタイヤを装着するためにサスペンションを交換して、フェンダーとタイヤの隙間を拡大する…というもの。タイヤサイズが大きくなれば、対地クリアランスが拡大してオフロード走破性は高まる。ただしそれと同時に重心位置が上がると、ロール量は増加することとなる。
先述した『ブラッドレー』シリーズがオフロード性能を意識しているように『カントリーサズペンションキット』もまた〝リフトアップしつつオン/オフを問わない安定感と快適な乗り心地を追求する〟というコンセプトで開発されている。これはデリカD:5に限った話ではないが、ノーマルサスの乗り味は、様々な年代の人が乗っても、不安なく運転できることを第一としている。つまりその性格は最大公約数的であり、、良くも悪くも際立った特徴のない仕様だ。スポーツカーならノーマルより乗り心地が硬くなってもロール感の少ない仕様が好まれるだろうが、様々なシチュエーションで活躍するD:5の場合、毎日の通勤や買い物、ファミリーでの週末レジャーまで、ありとあらゆるシーンで快適さを重視する必要がある。
そこで4×4エンジニアリングでは、本当の意味での万能な性能を目指して本サスペンションを開発。車高はノーマルに対して20〜25㎜リフトアップ。フロントショックには低速域での振動を抑制するHLSバルブを搭載し、リヤショックはダイヤルを回すだけで8段階に減衰力が切り替えられる構造を採用(自分の好みの乗り心地にセット可能)。ちなみに荷物満載時と空荷であったり、重さが異なるアグレッシブな夏タイヤとスタッドレスタイヤでバネ下重量が変わった際も、ダイヤルを操作するだけで好みの乗り味に調整できるのは大きな魅力といえる。
さて、今回オンロードは高速コーナーが連なるシーンでテストを実施している。車高アップを微塵も感じさせない安定感は快適そのもので、ノーマル以上のドライビングプレジャーすらある。一方またオフロードではわずか25㎜アップとはいえ、安心感が格段に向上。細かな振動もHLSバルブが即座に吸収してくれるため、バタつくような挙動は感じられなかった。このバランスの良さこそ、カンサスの実力だと再認識させられた。
カントリーサスペンションキット(デリカD:5専用約25㎜リフトアップサスペンション)
しなやかながら適度なロールで車体を維持し、操縦安定性と乗り心地を両立する味付けが絶妙なサスペンションの〝キモ〟となるのは『BIGカントリーショック』。ストローク量を優先して、フロントショックには路面からの入力に対して自動的に調整を行ない、減衰力を最適化するHLSバルブを採用。例えば極低速での振動をしっかり抑制し、安定感をアップできる。一方、リヤショックにはダイヤルで8段階の調整が可能な減衰力調整機構を備える。キャンプ道具などを満載した時は普段よりも1つハードにセットするのもアリだ。積極的に試してみたい。
ノーマル車高派に向けてショックセットのみも用意
デリカD:5(M/C後)用のBIGカントリーショックの対応リフト量は0~+30㎜。つまり、カンサスキットのリフトアップコイルだけでなく、純正コイルスプリングと合わせてもそのポテンシャルを味わうことができる。ノーマル車高派でも要チェック!
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