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Jeep JeepsterCommando

2022.10.04

【トップランカー】新と旧をつなぎ革新的な車を創る

 昨年、ユタ州のモアブで開催された「2021イースター・ジープ・サファリ」で現行型ラングラー ルビコンをベースにジープスター コマンドをモチーフにコンセプトカーとして初公開されたジープスター ビーチ。〝太陽の下でジープを楽しむ〟をコンセプトにグリル回りやフェンダーアーチ、オープンルーフの形状まで再現されたソレは、多くの注目を浴び、SEMA SHOWでは当時モノの60年代の赤いジープスター コマンドが出展されるなど、本国ではGM、FORDに続いてJeepブランドも旧車志向が高まりつつある。
 こうした本国のトレンド事情を察知して、日本ではまだまだJLカスタムが主流ではあるが、先陣を切って日本へ持ち込んだのが、京都のトップランカー。「40インチ履きも珍しくなくなってきた昨今、あえてCJをベースに17インチのメソッドホイール×NITTOリッジグラップラーのマウントや、レンズ類を最新のものへアップデートさせるなど、JLに固守せずに、歴代モデルのジープで細心のアフターパーツを融合させていけば、もっと個性的でクール、そしてディープなジープカスタムを楽しめるのでは?」と山口さん。
 そんな同社がこの夏、一際個性的でレアな個体をベースに製作した新コンセプトのデモカーが紹介するジープスター コマンドである。その強烈な個性と色気の中に、時折見せるファニーでキュートな印象は、ジープファンのみならず旧車ファンも虜となる。

350エンジン換装で見た目とは裏腹に軽快!

Willys JeepsterとWillys Commando fire Truckから名を継承して、小型4WDとしては初のATを搭載したJeepster Commando。当時のライバルは言わずもがなアーリーブロンコだ。Commandoのフェンダーアーチはフロントとリアでかなり形状が異なるため、リフトアップする際の上げ幅も至難の技。現車は17インチメソッドレースホイールにニットータイヤの新作、リッジグラップラー(33×12.5R17LT)をマウント。リアエンドの立ち上がりが強めの幌、そして個性的なプレスラインを相手にバランスの良い上げ幅を見いだす場面は、JLラングラーカスタムとは全く異なる切り口となる。エンジンはANCのオリジナルからシボレーC10等に搭載される350エンジンへ換装されており、見た目とは裏腹の軽快な走りを実現させている。JLカスタムと並行して、歴代モデルをベースに柔軟な姿勢で新しいアイテムを取り入れていく独自のスタンスもまた、同社ならではの魅力である。

70年代の味わい深きボンネット造形やフォルムに、違和感なくフィットする最先端のヘッドライトやKCフォグの組み合わせが絶妙。”旧いのに新しい”この独特な表情が、一癖も二癖も個性を増して魅力的に映る。
CJに似ている様に見えて、フェンダーがグッと内側へレイアウトされてヘッドライト横に大型のウィンカーが配置されるなど、どことなく異なる独特のフェイス、そしてリアゲートの絶妙な傾斜がジープスターコマンドの個性。
当時のメーターパネルはシンプルな必要最小限となり、水温、油圧、電圧メーターはオートメーター製をダッシュ上へ。ドア内張りも鉄板むき出しでシンプルイズベストな造形に。
Motobilt社製のフロントスチールバンパーにWARNのウィンチキットをインストール。キュートなフェイス周りにワイルドなアクセントの組み合わせが粋!
前後共に赤いパウダーコート仕立てのクーリーデフへ換装。ワンオフマフラーはリーフスプリングの上両サイドを通してレイアウトする。

ローバックタイプのバケットシートは張り替え済み。71yモデルなのでヘッドレストは不要。フロアが高いので乗車ポジションは良い意味でジープらしからぬ姿勢となり、ドライビングフィールも独特。
フリーハブで手動切り替え式となるボトムスはメソッドの17インチレースホイールにリッジグラップラーの33インチをマウント。JL御用達のホイールが半世紀前のモデルに違和感なくインストールされている点も特筆物。

5.7L V8を搭載したコマンドの走りはとてもトルクフルで全くの別モノ!

ジープに限らず、本国では旧車にLT1エンジンをスワップするカスタマイズは珍しくない。この個体は本国で350エンジンへ換装されており、AMCのオリジナルエンジンではなく350エンジン換装を条件にベース車輛探しに徹していた山口さんの希望通りであった。整備やメンテナンス性、アフターパーツの豊富さと、むしろメリットだらけで間違いない選択と言える。