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ハイラックス

2021.08.07

「TEAM JAOS」新しい戦いの舞台への扉を叩く!全日本ラリー選手権に挑戦!

2020年に続き、モータースポーツの国際大会の中止が相次ぐ中、海外ラリーを軸に活動してきたTEAM JAOSが7月2日~4日に開催された全日本ラリー第7戦「ARKラリーカムイ」にハイラックスで参戦!舞台は北海道、スノーリゾートとして知られるニセコを起点に2日間でSS総距離108.84㎞のグラベルコースで競うもので、オープンXCクラス(OP-XC)新設によって今回の参戦が実現した。OP‐XCはまだ細かい規定が設定されておらず、JAFが定める安全規格を満たしたナンバー付きクロスカントリー車両であればエントリー可能。そして、今大会にはTRDのハイラックスも参戦。
TEAM JAOSのハイラックスはアジアクロスカントリーラリー(AXCR)2019でクラス優勝を飾った豪州仕様の4.0ℓガソリンモデルだが、今後のラリーに向けてずっと改良を重ねてきた。しかし昨今の状況で出番はなく、この全日本戦が約2年ぶりの実戦投入となった。一方TRDはタイ仕様の2.8ℓディーゼルターボモデル。ピックアップトラックらしからぬ甲高いサウンドで駆けるTEAM JAOS、野太いサウンドを放つTRDの対照的なハイラックスの走りは、今季初の有観客・全日本ラリーとなった第7戦に訪れたファンを楽しませた。

今回のTEAM JAOSの参戦体制は監督にジャオス代表の赤星大二郎氏、ドライバーには同じくジャオスの能戸知徳氏、コ・ドライバーはKYBの田中一弘氏、メカニックは群馬トヨタグループから選抜されたメンバーが帯同するなど、これまでの海外ラリー参戦と基本的なスタンスは変わっていない。これについて赤星氏は「TEAM JAOSはこれまで色々な人たちの協力を得ながら活動してきました。やはりラリーの主役は人なんです。だから今回の参戦はいつもとは違う形のラリーではありますが、これまで同様の体制で臨む事が我々にとっては大切だったのです。人と人が同じ目標を掲げて活動し続けることはTEAM JAOSにとって大きな意義を持つのです」と今回の参戦について語った。
長引くコロナ禍で数々のモータースポーツ活動が中止となっているが、海外を主戦場としてきたTEAM JAOSへの影響はとりわけ大きかった。そして、今回国内ラリーの最高峰である「全日本ラリー」にクロスカントリーモデルが参戦できる新クラスが新設されたことは、TEAM JAOSにとっては渡りに船。もちろん体制の規模やマシンの方向性に違いはあるものの、チームの活動を止めないという点において参戦の意義は大きい。また、海外では盛んなピックアップトラックが参加できるスピード競技が、国内のメジャーな舞台で新設されたことも実は大きなトピックだ。
2019年にAXCR(アジアクロスカントリーラリー)で初のクラス優勝を果たして以降、約2年の間本格的なレース活動の舞台を失っていたTEAM JAOS。その再始動の場に選んだのが、今回の全日本ラリー。日本のラリーを牽引して来たマシンとともに、パルクフェルメに佇む2台のハイラックスにカメラを向ける来場者や関係者も多かった。
今回のラリーは距離が短くフラットなステージであったため、サスペンションのセッティングに大きな変更は加えなかったとか。もちろん耐久性に不安はないが、久々の実戦だけに走行後の足回りのチェックは丁寧に行なう。
今回、TEAM JAOSのクルーとして帯同したメカニックは、群馬トヨタGRガレージの中島淳一氏とネッツトヨタ高崎の深澤拓氏。世界のオフロードレースを走破する堅牢性の高い仕様のマシンだけにトラブルは皆無であり、作業自体はディーラーで行なう通常のメンテナンスに近いものを中心に対応。両者は口を揃えて「ラリーは様々な状況が起こりうるため、柔軟な対応を鍛えるいい経験になる」と話した。
TEAM JAOSに帯同した群馬トヨタグループの代表取締役社長・横田衛氏がこんなコメントをしていたのが印象的だ。
「普通の乗用車に乗っている人が、数多くラリーを観戦しに来ているのは新鮮な光景でした。自分が同じクルマに乗っているとか自分も同じ競技をやっているからではなく、トップドライバーの走りを堪能するために家族連れも観戦しにくる。こういうカタチのレースも良いものですね」と楽しそう。確かに日本で根強い人気の野球もサッカーも、観戦する人が必ずしも競技経験者ではない。〝観て楽しむスポーツ〟として成立しており、結果競技人口を支えている。
そう、「ARKラリー・カムイ」で2台のハイラックスが魅せた全開の走りは観戦者にとって新鮮だったようだ。実際現地では好意的な声を多く耳にした。レギュレーションについては路面へのダメージを考慮し使用タイヤをATに限定するなど試行錯誤中だが、よりスピードに舵を切った新しいクロカンモデルの楽しみ方、観るスポーツとしてTEAM JAOSのハイラックスが叩いた〝新しい扉〟のこれからは実に興味深い。また、これまでクロカン競技で走り続けて来たユーザーにとっても全日本選手権という大きな舞台が用意されるのは、今後の起爆剤となる可能性を秘めているだろう。
次にOP‐XCクラスが設定されるのは9月11日に開幕するラリー北海道。国際格式で開催されるこちらも楽しみだ。

今まで経験のないカテゴリーでドライビングを進化させます‼

TEAM JAOS・ドライバー 能戸知徳選手

ジャオスへの入社およびTEAM JAOSに加入する以前は、地元・北海道を中心にオフロード・ドライバーとしての経験を重ねて来た能戸知徳選手。今回の「ARKラリー・カムイ」は、言わば凱旋ラリーとなった。ラリー専用に鍛え上げられた全く異なる仕様のディーゼル・ハイラックスを駆るベテラン平塚選手のタイムを睨みながらも、「市販車をベースとしたガソリン・ハイラックスでの参戦でしたが、無駄を削ぎ落として攻めるようなスプリントラリーの経験はドライビングの幅を一層広げることになりました。一方で8月には、アメリカで開催されるオフロードレースの中でも最長の550マイル(約880㎞)の『Vegas to Reno』にUTVで参戦を予定しています」と語った。TEMA JAOSとしての活動範囲は広がりをみせているし、ドライバーとしてのさらなる進化も期待できそうだ。
タイヤは全日本ラリー選手権の規定によりA/T限定のため、今回はTOYO TIRESのOPEN COUNTRY A/T plusをハイラックスにセット。装着サイズは265/65R17というハイラックスの標準サイズと同じで、SSとSSをつなぐ移動区間のリエゾン(ロードセクション)はもちろん、12本のSS間でも一度も交換することなく、1セットで走り切った。今回のラリーにはカーゴベッドに積載されたスペアタイヤやウインチは不要だったが、これからも挑戦し続ける海外ラリーを念頭に置き、あえて今までと同じ仕様で臨んだ。ちなみに2020年から導入したプロジェクトミューのブレーキシステムの実戦投入は今回が初だった。

ハイラックスの可能性をもっと知って欲しい

TRDハイラックスREVO・ドライバー
平塚忠博選手

今回、OP-XCクラスから出場しているもう1台のハイラックスはTRDから。マシンはタイ仕様2.8ℓディーゼルターボで、各所に専用のモディファイが施されたラリースペックだ。ドライバーは30年以上のキャリアの中でダートトライアルやラリーで多くのシリーズチャンピオンを獲得してきたベテラン平塚忠博選手。ピックアップトラックによるスピード競技の楽しさを日本のファンにもっと知ってもらいたいという想いをTRDと共有しての参戦となっている。

●TEAM JAOSメインパートナー