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「ELFORD」〝パーツ考察〟特許出願中の独自機構を備える新機軸のオフロードホイール「Blood Stock SL」

◆Blood Stock SL

カスタムの第一歩でもあるアルミホイールへの交換。ではそこに求めるものは何か?真っ先に思い浮かぶのは、やはりスタイルやデザイン性。もちろん否定はしない。ただしホイールも機能部品の1つで、その選択次第で愛車の走りが変わることを知って欲しい。
4WD・SUV総合パーツメーカー「エルフォード」からリリースされているオフロードホイール「Blood Stock(ブラッドストック)」シリーズは、ファーストモデルの誕生から20年を超えるヒストリーを刻んできた名作ホイール。もちろん、歴史の中で様々な試みやモデルを〝進化〟して生み出してきた。今回紹介するのは、その最新ホイール「ブラッドストック・SL」。SL(=スーパーライト)という名称からも分かる通り、ホイールに求められる軽さを満たす機能パーツだ。

最大の特長は、鋳造フローフォーミング製法を採用し、強さと軽さとデザイン性を満たしていることだが、他にもポイントがある。実はこのSL、特許出願中の独自のホイールシステムを採用しているのだ。それが「アンチエアリークシステム」と「インナーロックシステム」という2つの特殊機構。簡単に言えば、タイヤと接するリム部分に突起を設け、エア漏れやタイヤがホイールから脱落するビード落ちを防止する…というもの。イメージとしてはOリングが入っているようなものだ。さて、理屈は分かるが実際の効果はどうなのだろうか?エルフォードでは、ホイールのリム部に加工を施し実証実験をおこなったが、その効果は如実に表れた。そう、アンチエアリークシステムの有用性が証明されたのだ。
つまり、オフロード走行で岩などにホイールをヒットさせてしまいリムを破損した場合やエアーを落として走る機会には真価を発揮するということだ。そもそもこうした試みは、まさに長きに渡ってオフロードホイールと向き合ってきたエルフォードだからこその発想だ。それは、オフロードでも不安無いホイールであることを前提に、剛性や圧倒的に高い強度性能のある異形丸穴ディッシュデザインへのコダワリりにも現れている。
この新たなリム形状システムは、現在販売しているブラッドストック・シリーズではまずSLに採用されるが、現行のブラッドストック1ピース・シリーズにも順を追ってアンチエアリークシステムを採用していく予定とのこと。安心してオフロードを走れる機構を備えた超・機能性により、オフロードホイールの未来と凄味を見た!

エルフォードの特殊ホイール機構を採用するオフロードホイール「Bloodstock SL」とは?

独自の機構をホイールに搭載するほか、その名の通り軽さを追求した20インチホイールの「ブラッドストックSL(スーパーライト)」。フローフォーミング製法によって鍛造ホイールに迫る強度と軽さを確保しつつ、鋳造ホイールのデザイン性や価格を実現できることもポイント。ブラッドストック史上、最も大きな開口部を持つ究極のラウンドホールにはミーリング加工が施され、肉抜きによる軽量化と放熱性の向上を実現。

エルフォードの特殊ホイール機構【特許出願中】

アンチエアリークシステム

アンチエアリークシステムは、エア漏れを防ぐために通常フラットなビートシートに深めの2本のリブを設けた独自のホイール機構。オフロード走行などでタイヤが変形した場合でも、アンチエアリークシステムによって接地圧力は高くなり、タイヤとの密着性は増す。結果、勘合部(リム)からのタイヤの空気漏れを防いでくれる。

インナーロックシステム

アンチエアリークシステムと共にビードシートに採用される特殊機構がインナーロックシステム。パンクなどでタイヤ内の空気量が減少した場合でも通常のハンプと異なる凸凹形状としたことによって、タイヤのビード部がハンプを超えるのを防ぎ、タイヤがホイールのリムから外れるのを防止できるシステムとなる。

ホイールの破損を想定した試験でアンチエアリークシステムの効果を実証!

歩道・縁石への乗り上げ、オフロード走行での隠れた岩や木など、気を付けていてもホイールをぶつけてしまうことがある。こうしたリムの破損やリム曲がりなどを想定した実験をエルフォードが実施。その方法は、アンチエアリークシステム有りと無しの同サイズ・2種類のホイールを用意してリムを80㎜カット。そこに同メーカー・同銘柄・同サイズのタイヤを組み込んで3kPa(キロパスカル)の空気圧に設定。その時のエア漏れをチェックするというものだったが……。

【無し】アンチエアリークシステム 従来型ホイール(通常リム)

【有り】アンチエアリークシステム 新機軸のホイール(改良リム)

従来のホイール機構では、例えばオフロード走行で岩にタイヤが乗り上げるようなシーンではタイヤが変形することによって、隙間からタイヤ内の空気が漏れてしまうことがある。一方「アンチエアリークシステム」を採用したブラッドストックの場合、タイヤ自体は変形してもエアリークシステム接触圧力によってタイヤとの密着性が増して隙間は生まれない。結果、タイヤのエア漏れは防げるということ。
リムの破損を想定してあえてリムをカットし、リムの破損状態を再現した実証実験の結果は上記写真の通り。通常リムではエア漏れが発生している証拠に泡が噴出してきているが、アンチエアリークシステムを採用した改良リムでは、空気が一切漏れることはなかった。エルフォード独自のもうひとつの特殊機構「インナーロック」と共に現在、特許出願中だ。

●装着タイヤ:PARADA Spec-X
275/55R20

●装着タイヤ:OPEN COUNTRY R/T
LT285/55R20

※フローフォーミング製法とは?

鋳造したアルミ素材を回転させながら、ローラーで熱間鍛圧(スピニング)加工を行ない、リム部の板厚形状を完成品と同等まで成形する製法。リムを引き伸ばし肉薄化することで鍛造特有の金属結晶組織であるメタルフロー(鍛流線)を鋳造で生み出すことができ、鋳造でありながら鍛造と同等の剛性や伸び等の強度性能を実現。また、リムを引き伸ばして肉薄化することで、軽量化をも実現できる製法だ。

【お詫びと訂正】
『レッツゴー4WD 5月号』P68-69について

2021年4月発行『レッツゴー4WD 5月号』P68-69のエルフォード〝特殊機構を備えた新機軸ホイール〟記事におきまして、一部に誤った内容が記載されていました。関係各位に謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。

『レッツゴー4WD 5月号』P68-69
誤 → 大阪産業大学短期大学部(自動車工学科)の協力のもとで実証実験を行なった
※編集部の誤認によるもので、実際には上記大学との協力関係はありません。