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【AXCR 2025】30周年大会仕様のハードな設定に苦しめられた前回T1G覇者〝FLEX〟

俳優 哀川翔が総監督を務める『e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRES』の戦いについても触れて起きた。同チームは昨年はドライバーに川畑真人選手を据えて劇的なクラス優勝を果たしていたが、AXCR2025ではどうだったのか?今回のドライバーは山崎元彰選手/コ・ドライバー中田昌美選手、マシンは熟成されたトヨタ・ランドクルーザー150プラドFLEXラリーSPEC.(140号車)。8月8日LEG0は、けたたましい音量のネオン街パタヤのウォーキングストリートにマシンが並び、スタートを待つ。同チームも哀川翔総監督を先頭にFLEX GIRL(寺地みのり)やチームメンバー、メカニック、クルーと車両が多くのメディアや関係者から注目のされる中、セレモニースタート!!

SS1はかなり長めの設定で、前半は比較的平坦な農道だが、ロックとギャップというより大きなV字型な穴が連続。そしてほぼ中間のPCサービスまで戻ってきた時、マシンはフロント部分が押し出された感じに右タイヤ側面を損傷。しかしサービスタイムはものの5分程度で、タイヤ交換などに手間取って給油が整わない中で後半スタート。

その終盤、他チームも苦しめられた沼地でスタック。さらに他車の救出などもあって、大幅にタイムロス。チームサービスも駆け付け何とか抜け出したが、燃料エンプティであえなくコースエスケープを選択。それにより10hのペナルティを受けてしまい、クラス5位。まさにAXCRの過酷さを物語るLEG1をとなった。
LEG2はカオヤイ国立公園のナコーンラーチャシーマーに至る岩だらけの行程だが、ミスコースもなく果敢に走り切って、クラストップタイムでフィニッシュ。LEG3もカオヤイ国立公園周辺の山岳コースだが、ここでチーム最大の危機が訪れる。後半スタート直後に車両が大きくガタガタとふらつきアンコントロールに。コース脇になんとか止まるも、フロント右足周りが曲がるトラブルが勃発。原因は右ピロボールジョイントの破損。さらにその他アーム類やドブイブシャフトも破損。当然コースエスケープを選択したが、ホテルサービスに戻ってもとても修復困難な状況…。結局レッカーを手配し、車両とドラシャやアーム類などの交換部品と別々にバンコクに輸送して修理することに。
これが後半の山岳地帯だったり、また破損付近の池に脱落していたらと思うともうどうにもできない状態だったため、まだ救いだといえる。
続くLEG4はカンボジア国境近くを走るため紛争の余波が残り、コースキャンセル。そこからメカが深夜まで最終チェックして、無事LEG5を迎えることができた。しかし後半にエンジンがストールしてスピードが出ない状況でのフィニッシュに。LEG6もコースキャンセルとなり、整備DAY。エンジンストールの原因を突き止めるべく、様々な対策が取られたが、最終的に燃焼に問題有りと判断してプラグ交換を選択。それが功を奏して、深夜に症状が改善。クルー・メカ・チーム員が深夜に安堵してLEG7の朝を迎えた。
そのかいあってかLEG7では2度目のクラストップタイムでフィニッシュ。LEG8は、湖畔沿いをなぞる赤土のフラットダートだが、最後の最後でクラッシュする車両も出る中、無事にフィニッシュ。幾多の困難を乗り越えつつ、T1G
クラス4位で完走を果たし、歓喜のセレモニアルゴールを迎えることができた。
ちなみにT1Gクラス1位は、絶えず安定した走りを見せたインドネシアラリーチーム(一度もトップタイム無し)、2位、3位はジムニー勢が占め、SHOWGARAGE Racing、3位は常連の
garage monchi。総合順位は、先述の通り、総合優勝をチーム三菱ラリーアートが奪還した。

「e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」にとっては、まさにAXCR2025は苦難の連続であった。あわやリタイヤか、というトラブルのたびにチーム一丸となってマシンを復帰!まるで不死鳥のように甦り、無事にT1Gクラス4位での完走を果たした。同チームもAXCR参戦歴はかなり長い。とっさの判断や対応力・技術力が自然と身についているということなのだろう。

哀川翔総監督からコメント

完走おめでとう。自分も選手として過去に経験しましたが(2011年、2012年、2018年)アジアンラリーは本当に過酷な競技です。今年もマシンに色々とトラブルがある中で、よく頑張ってくれたと思います。ご支援・応援ありがとうございました!」とコメントして、チームクルーをねぎらっていた。

ドライバーの山崎 元彰選手は「我慢の連続となったAXCR2025でした。前半で心が折れそうになりましたが、気持ちを立て直し、なんとかフィニッシュ。全日本でも活躍するコ・ドラの中田昌美さんはほぼミスなく、また僕の気持ちが行きすぎないよう完璧にコントロールしてくれました。近年、AXCR参加車両や選手のポテンシャルは格段に上がっています。その中で勝つために必要なことも見えたラリーでした。困難や不運に直面しても心を折らずに前へ進み続ける——そんな姿勢をチームで学んだAXCR2025。ドライバーとしての総合順位はこれまでで最も厳しい経験となりましたが、多くの学びとクラス4位のトロフィーを持ち帰ることができました」と、ひとまず完走できた安心をにじませた。

チーム名『SGR(Showa Garage Racing)』としてエントリーし、T1Gクラス2位の快挙を成し遂げたのがショウワガレージの和田/伊神組。現地には専属メカニックも帯同し、チーム一丸となって挑戦した結果といえよう。ラリー仕様のジムニーシエラJB74は、過酷な環境を乗り越えるべく、各部を徹底的に強化されているが、ショウワガレージはこのラリーで培った技術、得られた経験を今後の商品開発やサービスに活かし、ジムニーを愛するお客様にフィードバックしていく。

LEG1でクラス1位と47分の差をつけらたが、以降の全SSで猛追して最終日には直接対決で抜き去った!しかし結果はトータルタイムで一歩届かずT1Gクラス2位での完走となった。