【DUNLOP】4WD・SUV用タイヤのど真ん中!GRANDTREKシリーズ
ダンロップの4WD・SUV専用タイヤブランド『GRANDTREK(グラントレック)』。そのラインアップはとにかく魅力的だ。高い走破性で絶大な支持を受ける本格マッドテレーンタイヤ『グラントレックMT2』、オフとオンとをハイバランスしてオールマイティな走りを提供してくれる『グラントレックAT5』、オンロード性能に求められる快適性とハンドリングを追求した『グラントレックPT5』、そして冬でもカスタムやドレスアップを楽しみたいというユーザーの声を受けて誕生した、新しいコンセプトのスタッドレスタイヤ『グラントレックXS1』など、個性的なタイヤを揃えている。またグラントレックシリーズは、多くの新車に装着されていることからも信頼性の高さがうかがえる。
■GRANDTREK PT5
見た目は純正タイヤのような生真面目に思えるトレッドパターンだが、数多くの最新技術が採用されているグラントレックPT5。接地面においてはその幅を広げ、また接地面圧を均一化することで走行安定性を高めており、それをウエット時にまで対応させていることもポイント。静粛性の向上については、不均一とした横溝幅、外側へと放射音を伝えないデザイン、さらに接地形状を丸くすることで路面からの衝撃を緩和させて実現。乗り心地と操縦性は、サイドウォールが広い範囲で均一にたわむように設計された新円プロファイルの採用で、先代のPT3より遥かにブラッシュアップ。ウエット性能や低燃費性能を狙った4WD・SUV専用の〝低発熱密着ゴム〟の採用のほか、M+Sにも対応している。
グラントレックPT5は、先代のPT3からプロファイルを変更することでトレッド幅が広くなり、走行時の接地面積を従来比8%拡大。これは走行中のふらつき抑制にも効果を発揮し、従来比12%の操縦安定性能の向上を実現し、ウエット路面での走行性能向上にも貢献。さらに接地圧の均等化や接地形状、トレッドパターン設計の最適化などによりノイズを低減。静粛性も高められている。
トレッドデザインからはトガったパフォーマンスを感じさせるような〝派手さ〟は見当たらない。ただし実際にテストすると「コレはスゴイ!」と言わんばかりの性能が顔を出す。走り出してすぐに感じるのは、転がり抵抗をかなり抑え込んでいることと接地感が豊かである、という実に不思議なバランスだ。それは抵抗なくスーッと転がり出したかと思うと、路面をトレッドの広い面で均一に捉えてドライバーにしっかりと伝えてくる。アクセルを踏み増してもその印象は変わらぬどころか、接地感はさらに増え、ドライバーは心地良さを覚える。もちろん静粛性もすこぶる高い。それは静かというより、耳障りなノイズが存在しないといったもので、これはテスト車両のPHEVとの相性も良く〝アッパークラス感〟と表現できるほどだ。
加えて、高速道路では直進安定性という快適さがプラスされ、それでいながら操縦性に精密さが与えられて、素直にクルマが動くような印象がある。しなやかさを与えられたサイドウォールは理想のたわみを提供し、レーンチェンジでも不快な動きはなかった。
ワインディングでは、サイドウォールが剛性感を失わず、しなやかにたわませる走りを披露。グリップ感はつぶさに伝わってくるし、グリップに不満はない。それでいながら乗り心地は良く、さらに余計な動きがない。これが結論として、ドライビングが愉しくなる効果だ。
さて、ハードなオフロード走行は行なわなかったが、グラントレックを名乗るにふさわしい深溝構造やショルダーブロックのラグ溝(横方向の溝)により、先述のオンロード性能を誇りながらもしっかりとオフロード性能もバランスさせていることに驚きを覚えた。ダートではオンロードで感じたハンドリングの愉しさがしっかりと備わっており、単なるオンロード性能だけに特化させたモデルではないことをも確認できた。もちろん、浅雪にも対応できる〝M+S〟であることも美点となっている。
オンロードでは、路面を均一に捉える接地感の高さとしっかりとたわむプロファイルにより、乗り心地はすこぶる良い。この接地感の豊かさは、操縦安定性にも貢献(従来比12%アップ)。抵抗なくスーッと転がるのに、グリップ感もしっかりとハイバランスさせているのは驚きだ。またタイヤノイズも聞こえてこないため、テスト車両のクラスが上がったような静粛性と感じる。
オフロードでの印象だが、単純に〝コンフォート〟とは表現できないオンロードの快適性さは、林道といったラフロードにおいても十分に感じられる。さらに深溝構造やショルダーブロックのラグ溝(横方向の溝)によって、ダートでもハンドリングの愉しさが備わっており、グラントレックを名乗るに相応しいタイヤだと確認できた。浅雪にも対応させている〝M+S〟というのもオーナーには心強い。
サイズバリエーションは当初のラインナップからさらに拡充。今回マッチングしたアウトランダーPHEVやCX-60といったクロスオーバーモデル向けのサイズのほか、ランドクルーザープラドやジムニーといったクロカンモデルにまで対応させている。
今回のグラントレックPT5のテストドライブは、三菱・アウトランダーPHEVに、同車の純正タイヤにも設定のある『235/60R18』サイズを組み合わせて行なった。静粛性・滑らかなフィーリング・レスポンスの良さといった〝EVらしさ〟がさらに高められた印象があり、ハンドリングはより精密になって、操る愉しさが増していた。
■GRANDTREK MT2
WIDE Type
NARROW Type
硬派なオフロードファンから支持され、ハードなオフロード性能に特化したタフなマッドテレーンタイヤのMT2。そのポテンシャルは想像以上にハイレベル。大きな特徴は「ワイドタイプ」と「ナロータイプ」の2つのパターンへ完全に分けた異なるトレッドデザイン、そしてかゆいところに手が届くマニアなサイズ設定にある。写真上のワイドタイプのサイズはLT225/75R16~LT285/75R16。マッドタイヤとしての排土性能などを重視しながら、オンロードでの快適さに配慮したデザインだ。
一方の195R16C〜LT255/85R16までのサイズを揃える写真下のナロータイプは、さらにマッド性能に特化したパターンを持つ。シーエリアはワイドタイプでも58%を確保するが、ナロータイプは61%。これが泥にめっぽう強いタイヤと言われる由縁だ。両タイプともトラディショナルなパターンだが、しっかりダンロップならではのデジタル・ローリング・シミュレーション技術を採用したタイヤだ。
今回オールド・ランドクルーザー70に装着したのはグラントレックMT2・ナロータイプの255/85R16というサイズ。このナロー仕様は特にジムニーで履けるサイズを取り揃え、 195R16C、7.00R16、7.50R16、LT235/85R16などを設定。ただしこれらのサイズは装着する際、各部の補正・加工が必要となる場合もある。装着の際はショップに相談されたし!
荒々しいブロックパターンからゴツゴツなオンロードでの乗り心地をイメージするかもしれないが、そこまで不快感はなく、むしろブロックデザインながら接地感がしっかりと確保されている。速度域を上げるとロードノイズはやがて大きくなり、さらにパターンノイズも発するが、そこに唐突さはない。むしろ先に感じた接地感や不快でない乗り心地も手伝って、日常での不満もない。
ヒルクライムでは確かなトラクションが感じられ、低速のままで十分登ってしまうことができるのがポイント。ダートランでの走りの良さは言うまでもなく、高いグリップ力と安心感が愉しさを導き出している。特に横方向へのグリップ力は高く、センターブロック剛性の高さも相まって、アクセルコントロールだけでのドリフトを自由自在に行なえる。対して凹凸のあるモーグル路面ではトラクションコントロールの介入を必要とするラインをあえて選んでも、接地輪へと配分されたトルクを余すことなく路面に伝えてくれるため難なくクリアする。
■GRANDTREK AT5
グラントレックAT5は、偏摩耗が目立ちがちなショルダー部の剛性をアップしたパターンを採用したオールテレーンタイヤ。専用のプロファイルは接地圧を均一化しており、運動性能と快適性を両立する。こうしたブロック剛性の最適化などにより、圧のかかりやすいショルダー部の摩耗エネルギーを低減し、これがライフ性能の向上や静粛性に大きく貢献する。さらにトレッドパターンを見ると、センター部にブロックを配置して均一な接地面を確保していることが分かる。また曲線の溝が4本の主溝を横断することで、高い排水効果を発揮。さらにブロックには石噛みを防止するストーンインジェクターを配置し、タフなオフロード走行にも対応。
一方でショルダーからサイドにかけても、遊び心のあるアグレッシブなデザインを採用しているのも特長だ。とくにサイド部にはブロックを配置し、耐カット性を向上。通常のレイズドブラックレターのほか、今回装着した235/70R16などの一部サイズにはレイズドホワイトレターを用意。ルックスと実性能の両面からタフなキャラクターをアピールしている。
AT5の優位点のひとつが、オン・オフともに満足できる性能を持つことで、結論から言えば相当ハイバランスに仕上がっている。パターンノイズらしき「音」は伝わってくるが、音量が小さく耳障りなサウンドではないため気にならない。またオフロードでは、頼もしいだけでなく走りの愉しさも感じた。例えば岩にタイヤを乗せたところで向きを少し変えようとステアリングを操作しても滑ることはない。凹凸のあるモーグルでは、タイヤが路面を捉えているかどうかが分かりやすかったし、ヒルクライムではトラクションを失いそうになる瞬間はあるが、即座にグリップを回復できる。
アンジュレーションのあるシーンにおいては、デリカD:5のサスストロークをしっかりと使う乗り味に対して、グラントレックAT5はサイドウォールやトレッド面に与えられた〝しなやかな剛性感〟で受け応えてくれる。オンロードでは乗り心地だけでなく操縦安定性もハイバランスさせているが、アグレッシブなブロック基調のデザインながら静粛性は高い。さらに剛性も高いので、ハンドリングに安心感と愉しさが感じられる。
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