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【JAOS】カスタマイズシーンで選ばれる名門の証「BATTLEZ」

自動車メーカーとの協業から海外モータースポーツーへの参戦など、年々活動範囲を広げるジャオス。しかし、2025年に40周年を迎えようとするその歴史の中で、輸入4WDを本格的に手掛けたのはJKラングラーアンリミテッドから…と意外に最近だ。
「我々はメーカーの人間である以前に4WDファンですから、もちろんJeepも大好きです。だからこそ、米製4WDの雄ともいえるJeep用のパーツ設定に若干抵抗があったのです。」とはジャオス企画宣伝部の内田氏。ところが、4ドアのアンリミテッド登場によってマーケットが広がったことで潮目が変わったという。
「生粋のJeeperの方からすれば乗りやすくなったJKですが、伝統のイメージに魅かれて購入された一般のユーザーからするとまだまだ手強い乗り物です。そこで、そんなユーザーにも楽しんでいただけるような乗り味を提供したい…というコンセプトでサスペンションの設定を決定しました。」
 前後リジッドという今となっては特異なサスペンションシステム故、その開発には国産4WDとは比較にならないほどの困難が伴ったというが、リリースされたJKモデル用リフトアップサスペンションは瞬く間にカスタマイズの定番となり、その定評はJLモデル用でますます増している。今企画では、そんなジャオスのラングラー用BATTLEZサスペンションについて紐解いてみたい。

JKからJLへのモデルチェンジでは、キープコンセプトな外観からは想像できないほどの変更が行われた。モノチューブダンパーの標準装備もその一つ。そこでサスペンション開発のハードルがワンランク上がったという。写真はJL用。

■BATTLEZ コイル Ti-W

(左)フロントコイル
(右)リアコイル
※写真はJL用

●リフトアップ(フロント35〜40mm/リヤ30〜35mm)
●バネレート(フロント96N/mm / リヤ右30N/mm / リヤ左34.5N/mm)
●線径(フロント 17.5Φ/リヤ 17Φ)

チタン配合により実現したパフォーマンス

チタン配合の高強度懸架ばね用鋼UHS1900を採用したBATTLEZコイルTi-W。その鋼材名の通り、高強度な材質によって線径を細くできることで軽量化の実現はもちろん、線間密着が起きづらいのでストロークにも優位。標準コイルと同じレートで設計しても乗り味は全く異なるという。まさにBATTLEZコイルの宣伝文句である「しなやかで腰がある」特性はUHS1900によって成立している。

自信があるからヘタリを保証

UHS1900は耐久性にも大変優れている。そこで、「使用過程においてへたった(車高が下がった)場合には当該商品が販売されている限り交換に応じる」という長期へたり保証が付随されている。Ti-WのWはワランティ(Warranty=保証)のWなのだ。

■BATTLEZ量産型自社開発サスペンションキット【LIFT UP KIT】

BATTLEZ リフトアップセットMS(ラングラー JL用)

標準でモノチューブダンパーが装着されているJLのため、BATTLEZの通常モデルとしては初のモノチューブダンパー「MS」が開発された。ツインチューブダンパーとは特性が異なるため、セッティングには高いハードルがあったという。

BATTLEZ リフトアップセット VFA(ラングラー JK用)

周波数感応バルブ「ハーモフレック」と、ダイヤルによる14段減衰力調整機能をあわせ持ったBATTLEZダンパーVFAがラングラーJKには用意されている。コイルとのセット交換が基本だが、純正コイルとの組み合わせでも効果を発揮する。

■BATTLEZ ダンパー MS

一般的に使用されるツインチューブダンパーはストロークによって減衰力が発生するが、高圧ガスが充填されたモノチューブダンパーは構造上常に伸びる方向に圧がかかっている。それ故に強力なロードホールディングが期待できるのだが、同時に「ゴツゴツした乗り心地」になりがちだ。そこでBATTLEZダンパーMSでは、徹底した試乗テストによってダンパー作動速度域での減衰力を改めて見直し、突き上げの低減と操縦安定性の向上を両立している。

(左)フロントダンパー (右)リアダンパー ※写真はJL用

●タイプ(高圧ガス式/モノチューブダンパー)
●減衰力(フロント:伸側3%、圧側4%(0.3m / sec / 純正比)リヤ:伸側5%、圧側0%(0.3m / sec / 純正比)
●ストローク(フロント:+30mm/リヤ:+2mm)
●ボディ径(フロント:Ø51.0/リヤ:Ø51.0)
●ピストン径(フロント:Ø46.0/リヤ:Ø46.0)

JK用にはハーモフレック機構を搭載

周波数感応バルブ「ハーモフレック」は、路面の荒れなど細かな振動時には減衰力を低減、コーナリングなどゆっくりとしたストローク時には高い減衰力を発揮するという相反した特性を両立している。
前段にてラングラーアンリミテッドJL用BATTLEZリフトアップコイル&ダンパー誕生の経緯を説明してきたが、それでは実際にはどのようなライドフィールなのか。同サスペンションキットが組み込まれたジャオスのデモカーである2.0ターボ(2021年モデル)を借り出して走ってみた。ちなみに、タイヤはトーヨータイヤのオープンカントリーR/T(285/70R17)。4WDらしいアグレッシブなルックスと快適な乗り味を両立した人気のチョイス。ラングラー用タイヤとしては最適解の一つだろう。
 シチュエーション別のインプレッションについては各項目を参照していただくとして、トータルの印象としては「運転しやすい」の一言だ。ハードなサスペンションを装着した車両の乗り心地が悪いというのは想像しやすいところだが、ソフトすぎると今度は車体が不安定になり、それはそれで乗り心地が悪く感じる。特に、ラングラーのように重いアクスルをコイルで吊るすリジッドサスペンションは、あまりソフトなセッティングにするとギャップを乗り越えた時などにアクスルが暴れてしまうのだ。しかし、絶妙にセッティングされたBATTLEZコイルとダンパーの組み合わせは、高い操縦安定性としなやかな乗り味を両立することによって「運転しやすい」と感じさせてくれる。そこにはジャオス開発スタッフの「Jeep愛」と「日本のJeepには日本のジャオス」と言い切る気概が込められているのだ。

テスト車両

ラングラーアンリミテッド“JAOS style”のスタイリングの要と言えば、JAOSスポーツカウルだ。4WDカスタマイズの定番であるオフロードバンパーだが、国内使用では不必要なほど強靭に作られているので非常に重い。そこで、そのデザインを軽量な樹脂で再現したのがJAOSスポーツカウルだ。また、ステップとサイドシルガードを兼ねたJAOSサイドステップも人気の逸品。

【林道】

「しなやかなで腰のある」BATTLEZリフトアップコイルTi-Wによって、ギャップの連続する林道でも快適で安定感のある走行が可能だ。

【一般道】

アスファルトの継ぎ目などでもアクスルが暴れださない程度のソフトさと、モノチューブダンパーらしい豊かな接地感によって快適なドライブが楽しめる。

【峠道】

ガチガチなサスペンションではないため、それなりのロールは発生するが、ロールスピードがコントロールされているので安心してステアリングを切ることができる。

【ラフ道】

しなやかなBATTLEZリフトアップコイルTi-Wが路面の起伏をいなし、BATTLEZダンパーMSの強力なダンピングによって車体の安定感が常に保たれている。