2023年1月、インドで開催された「Auto Expo 2023」において、ジムニー5ドアとともに発表されたスズキの新型SUV『フロンクス』。クーペスタイルを特徴としたコンパクトモデルで、写真を見る限り、Bセグメントとは思えぬ存在感をアピールしていた。そんなフロンクスが今秋日本へ上陸を果たす!そのコンセプトを変えることはないが、ただし日本向けとして、質感の向上や4WDモデルの設定など、特別な仕様となる。
デザインは、スタイリッシュさを作り込んだクーペスタイルが特徴的だ。フロントフェイスはシャープなランプデザイン、大型グリル、さらにはランプ類を収めたブレーキダクトライクなデザインからフェンダーにかけてのスポーティさが印象的だ。
サイドではドアパネルの張りを強めつつ、リアへとすっと流しながらピタッと止めているデザインを採用。これだけさまざまなテイストを組み合わせながらも、そのボディサイズはなんと全長4mを切っているというからオドロキ!実際目にすると、大胆なデザインと流麗なフォルム、そのコンパクトさが織りなすバランスに目を奪われるほど。
パッケージングは、シートはフロント、リアともに不足ないサイズを備えているが、むしろその広すぎない感にちょうどいい安堵を覚える。そう、これでいいんじゃない?そう言いたくなるサイズ感がある。
さて、今回このフロンクスをクローズドコースでプロトタイプに試乗する機会を得た。搭載される1.5ℓエンジンは不足を感じさせないパワーと中回転域のトルク感を備えており、6ATとの組み合わせもあって、実用的であることはもちろん、そこに愉しさがあふれていた。ワインディングでのハンドリングはスポーツカーのような超キビキビではないものの、ステアリングを切った分だけ素直にノーズがインを向いてくれるといったフィーリングによって、ついつい速度を上げたくなる印象が強くなる。
コーナーにおけるタイヤのグリップ感も明確だ。さらにドライバーを含めた乗員に不安を感じさせるようなロールフィールも見当たらず、これもまた愉しさに繋がる。ブレーキもペダルを踏めば踏むほどに制動力が立ち上がってくるフィーリングがあり、扱いやすさと安心感を提供する。
さて日本仕様向けに設定された4WDはコーナーにおける安定感を引き上げていただけではなく、ハンドリングにも何かネガティブさを感じさせないところがポイントといえよう。また、乗り心地も重量が増している分、しっとりとした動きを手に入れているなど、個人的には4WDのバランスの良さに惹かれた。
もうひとつ着目しておきたい点がリアシートにおける静粛性。このフロンクスは、Bセグメントモデルでは優先順位の高くない静粛性にこだわりをみせており、ストレスなく会話を愉しめるレベルに仕立てていた。それはすべてがシーンとした高級車たる静けさではなく、フロントからはエンジンやトランスミッションからのノイズが聞こえてくるものの、ホイールハウジングやリアガラスといったリアセクションからのノイズが整えられている、そんな印象だ。
それこそ、ひとクラス上のモデルのような印象を受けたほどであった。
- 新型フロンクス専用サイト https://www.suzuki.co.jp/car/fronx/