【Mclimb/Weed】フルレストアとフルドレスアップの2車は原点回帰を掲げたWeed流シン・サーフ
国内最大のカスタムカーの祭典・東京オートサロンは、かつては4WDとは無縁のイベントだったが、SUVの台頭や人気と共に出展車数が増加。ハイラックスサーフの専門店『ウィード』も20年ほど前から、毎年欠かさずに出展を重ねている。ウィードは近年デリカD:5やランクルシリーズの販売もしているが、あくまで同社の主軸は今もなおサーフ。そんな功績が認められているからか、現在185サーフをビンテージ4WDとして求めるユーザーが増えているとか。ウィードの創業当時は〝手頃に買えるカッコいい4WD〞だったが、現在は〝今のクルマにはない個性的な4WD〞を求めるユーザー層へとシフトして、見た目だけでなく安全性や信頼性が重視されているようだ。そんな現状を踏まえ、〝原点回帰〞というコンセプトで製作されたのが、今回の2台の185サーフ。ブラックの車両は可能な限り純正の新品パーツを使用し、まさしく〝フルレストア〞と言っても差し支えないクオリティを目指したコンプリートで、サーフ専門店の底力を感じさせてくれる。
■HILUX SURF 185 NORMAL TYPE
可能な限りの新品の純正パーツを使用して、〝新車の185サーフを再現する〟といったコンセプトで製作されたのが、この原点回帰というテーマにふさわしいブラックの185サーフ。外装はもちろんのこと、しっかりと下回りのサビも補修。エンジンもWeedオリジナルのリビルト品を搭載して、ユーザーに安心と信頼性を提案する。ちなみにウィードで販売しているほとんどの185サーフはエンジンのラジエターを交換済みだ。膨大なサーフをチェックして販売してきたノウハウと実績により、185サーフのウイークポイントは熟知しており、トラブルの芽を未然に防いでいる、というワケだ。
なお今回の車両は今後〝レストアコンプリート〟としてレギュラーモデル化も検討していくとのこと。すでにこの車両はウィード本店にて販売中で、700万円弱のプライスとなる。ユーザーからの反響次第で、もっと気軽に〝新車状態のフルノーマル〟の185サーフに今から乗れる日も来るかもしれない。
185サーフに新たな命を宿すメニューWeedオリジナル[リビルトエンジン]
四半世紀前のクルマと考えれば、各部が経年劣化しているのは当然だろう。だが今のクルマよりもシンプルな構造なので、エンジンオイル/冷却水/電気をメンテナンスしてやれば、エンジンは良好なコンディションを維持できる。その一環としてウィードではラジエターの交換を行なってきた。そして、さらなる上を目指してこの車両にはリビルトエンジンが搭載される。実はウィードはサーフに新たな心臓部をリフレッシュして載せ替えることも提案しているのだ。ファクトリーから戻ったエンジンはリビルトエンジンの証として赤くペイントされる。さらにプラグ類のエンジン補機なども、もちろん新品に交換される。このようにリフレッシュすることで驚くほど快適な走りが実感できる。
エクステリアだけでなく、内装も徹底的にリフレッシュ済みで、インパネやセンタークラスターもオリジナルのままとなる。当時の雰囲気を完全に再現するため、2DINナビをあえて搭載せず、ラジカセとCDチェンジャーをセットした。また、シートは徹底的にクリーニングを実施されたほか、キーシリンダー周辺の樹脂部品も美しく復元。20年以上前のクルマとは思えない、まさに新車クオリティなのだ。
ウィードで通常販売されているモデルはドアの内張りを張り替えるが、今回の仕様は〝ノーマル〟のため、純正部品でリフレッシュしていることがポイント。ただし内側のウレタンがボロボロに劣化していたため、新たに製作した土台を使用しているのだ。まさに見えないところや細部にまでこだわって製作された車両といえる。一方、フロアマットオリジナルを使用。ブラックの色調が落ち着いた雰囲気を醸し出し、ほぼ純正に復元された室内ともマッチする。さらに純正ステアリングを張り替えたオールレザーのウィードのオリジナル品も装着。
実はフロントガラスも新品に交換済み。本来は全窓を交換する想定だった、残念ながら入手できなかったそうで、徹底的に洗浄&磨きを実施した。ウロコ模様の汚れもなく、まさに〝新車のサーフ〟と思えるほどだ。
足回りはスプリングもショックもノーマルを使用。ウィード=カスタムというイメージを払拭するため、あえてレストアという新たな方向性にチャレンジ。ちなみにマフラーも純正で、こちらも新品を入手。徹底的にオリジナルのスタイルを再現している。なお、タイヤやホイールは真っ先に交換してしまいがちだが、ここもあえてノーマルを再現。さすがに当時の新品タイヤは入手できないが、その後継モデルとなるグラントレックPT1(265/70R16)はトヨタ純正部品として入手可能だとか。
ボディサイドのデカールは、当時の画像を元に新規製作し、ヘッドランプやウインカーも新品にリフレッシュ。ベースモデルは中期型だが、リヤコンビランプだけは意図的に後期型の部品をチョイスした。
■HILUX SURF 185 CUSTOM TYPE
ブラックのノーマルサーフとは全てにおいて対照的なカスタマイズバージョンの185サーフ。最大の特徴は立体的に見えるフレークペイント!さらに大幅なリフトアップを行なうことで、35インチタイヤを装着したアグレッシブさもある。さらに前後を金属製のアイアンバンパーに変更して、そこにアウターロールケージも装着。ここもボディと同系色とすることで、クルマ全体の統一感と派手さを演出している。
バンパーだけでなくグリルガードやスキッドプレートまでを一体的にデザインしたアイアンバンパー。オーバーフェンダーもパイプで構成されており、キャビンはアウターロールケージも装着。ここをシルバーのテクスチャーペイントとすることで、一般的なカスタムカーにはない異彩を放っている。
20インチサイズのWeed/MClimbオリジナルホイール『KANONE(カノン)』を装着。光沢を強調するためミラークリアを選び、タイヤは荒々しいジオランダーX-MTの35インチとコンビ。なお、スペアタイヤは特製のマウントで装着し、ダートを疾走するラリーカー的な後ろ姿を演出している。
ショックとスプリングはノーマルのままで、フレームとボディの間にブロックを挟み込むボディリフトによって車高をアップを実施。これはドライブシャフトなどに負担を掛けずに、より大きなタイヤが装着可能となるひとつのカスタム手法なのだ。
インテリアにもオリジナルパーツをふんだんに装備。大きなパンチングホールが特徴的で、新作のレザーシートカバーの装着のほか、ステアリングもレザータイプに変更。またインテリアパネル全体をラプターペイントしてイメージチェンジを実現。ちなみにアメリカンな雰囲気を感じさせるため、あえてヘッドレスト無しで展示したのも憎い演出だ。