TOP > 記事 > 【TOYO TIRES】刷新された「A/TⅢ」を オン・オフ試乗でチェック

【TOYO TIRES】刷新された「A/TⅢ」を オン・オフ試乗でチェック

現在、トーヨータイヤの4WD・SUV用タイヤ『OPEN COUNTRY(オープンカントリー)』シリーズは、キャラクターの異なる6種類をラインナップしているが、名実ともにオープンカントリーの中核をなす全地形型の“オールテレーン”タイヤが『OPEN COUNTRY A/TⅢ(オープンカントリー・エーティースリー)』へとフルモデルチェンジ!!

 従来のオープンカントリーA/T plusは〝オンロード寄りのA/Tタイヤ〟という印象があったが、今回の『A/TⅢ』は日常の使い勝手をアップグレードしつつ、さらに非日常のオフロード性能にも配慮。その最大の特長はトレッドデザインだ。従来のストレートグルーブ基調から、ジグザグブロックが並んだ〝ラージトラクションブロックデザイン〟に変更して、オフロードでのトラクションをより強化。さらに騒音・ウェットグリップ・環境性能(燃費)というオンロード性能も、欧州基準を満たすなどして向上させている。一方スクエアショルダー&バイティングエッジ、バットレスデザインを採用し、サイドウォールと相まったワイルドなルックスに進化。これらもトラクションや耐カット性といった、オフロードポテンシャルの強化に貢献する。
 今回試乗したのは、トーヨータイヤとパートナーシップを締結し、同タイヤの開発にも協力しているJAOSのデモカー(デリカD:5)。装着したサイズは、純正タイヤ215/70R16と「225/55R18」の中間に位置する「225/65R17」だ。
 テスト車両はルーフラックを中心に各種エクステリアを装着していることもあり、走り出しでは意外と重さが感じられたが、言い換えればしっかり感があった。そう、操縦安定性にも寄与している高剛性プライ構造であるがゆえなのだろう。実際は耐摩耗性・スノー性能を向上したコンパウンドの採用と先述のトレッドパターンにより、欧州の高い環境基準(騒音、転がり抵抗、ウェットグリップ性能)をクリアしているし、トルクフルなディーゼルエンジンの効果で、走り出せばスムーズそのものだ。
 その一方、高評価のポイントがオンロード走行時の静粛性と直進性の高さだ。加えてソフトな乗り味をベースとしながら、コーナーではしっかり感をみせるしなやかなフィーリングは秀逸だった。サスペンションをJAOS仕様に変更していることもあるのだろうが、静かで乗り心地の良い走りは、カスタム志向でない一般的ユーザーのリプレイスタイヤとしても十二分だ。
 さらにA/Tタイヤらしさを印象づけたのがオフロードシーン。“キャンプなタイヤ”の異名を持つこの『A/TⅢ』をアウトドアフィールドに持ち込んだが、ガレ場走行の乗り心地の良さは、先代『A/T plus』から大きく改善されている。また河原や砂、泥でのグリップの強さも好印象で、快適さとトラクションによる〝安心感〟はA/Tタイヤのレベルを一段と進化させていた。メーカーによれば、ジグザグのブロックにジグザグ溝を刻み、横溝を多く(ラテラルグループデザイン化)することで、トラクション指数は従来型を100とすると、A/TⅢは〝141〟にまでアップしている……というのも納得だ。
 さらに耐摩耗・スノーポリマーを増量したコンパウンドとともに、降雪時における性能も向上。スノーフレークマークの要件を満たし、圧雪路でのブレーキング性能を従来比で13%良化していることもトピックだろう。
 性能と環境への配慮を両立し、トラクション性能や乗り心地、さらに静粛性を大きく向上させるなど『A/TⅢ』は、まさに新世代のオールテレーンタイヤ。その名にふさわしい“オールラウンド性能”を充実させている。

■オープンカントリーA/TⅢの特徴

ラージトラクションブロックデザイン

バットレスデザイン

トレッドパターンは、ワイルドなラージトラクションブロックを基調に、ジグザグブロックやジグザグ溝などを配して、横溝のエッジ効果を向上させるなど、オフロードやスノートラクションを強化したデザイン。さらに周方向に段差を設けたスタッガードショルダーに加え、サイドにスクエアショルダー&バイティングエッジ、バットレスデザインを採用して性能とアグレッシブなルックスを両立。
 コンパウンドは耐摩耗・スノーポリマーを増量することで、耐摩耗性とスノー性能を向上し、グリップポリマーによってウェット性能も強化。さらにオンロードの乗り心地や騒音性能、転がり抵抗の軽減や燃費性能も充実させながら、オフロードでのトラクション性も向上。まさにさまざまな地形と気象、多くのユーザーにフィットする〝アウトドアタイヤ〟なのだ。
シビアスノー要件を満たしたスノーフレークマークやM+Sが打刻済み。

OPEN COUNTRY A/TⅢ 一特長を表す技術的キーワード一

●トレッドパターン
 ○5ピッチバリアブルパターン ○スタッガードショルダー
 ○ストーンイジェクター ○ラージトラクションブロック
●サイドウォール(バットレスデザイン)
 ○スクエアショルダー&バイティングエッジ ○バットレスデザイン
●構造
 ○ジョイントレスキャップ&エッジプライ ○高張力スチールベルト
 ○高剛性プライ構造

ON ROAD

しやなかやフィーリングながらタイヤ剛性は高く、コーナリング中の腰砕け感もない。さらにトレッドパターンやコンパウンド、タイヤ構造がハイバランスされ、ハンドリングなどの操縦安定性も高い。ノイズも気になるレベルではないし、総じてスムーズな感覚がある。

OFF ROAD

オフロードにおいても、快適な乗り心地は健在。ガレ場のような場所でもしっかりと路面をつかんでくれる印象があり、蹴り返しの強さを脚もとから感じられる。トラクション性能はすこぶる高く、とくに前後方向に対するグリップの強さには安心感を覚えるほどだ。従来のA/T pulsからオンロード性能はもちろん、オフロードでの安定性能も飛躍的に高まった印象だ。
乗り心地の良さと静粛性が際立った高速走行。直進性もすこぶる良好で快適なグランドツーリングを実現できる。一方、街中を流すようなシーンでもストレスを感じることはない。アグレッシブな見た目とオンロード性能を両立するオープンカントリー『R/T』と比べても、その静かさや乗り心地の良さは特筆ものだった。
全29サイズをラインアップするOPEN COUNTRY A/T Ⅲ。都市型SUVから本格4WDの純正サイズを中心に揃え、その性能とも相まってリプレイスタイヤとしても選びやすい。

●OPEN COUNTRYブランドアドバイザー

株式会社ジャオス
開発部兼TEAM JAOSドライバー
能戸知徳さん

しっかりとしたブロックパターンや高剛性な構造、新しいコンパウンドの採用により、従来のA/T pulsよりもさらに〝オールラウンド〟な4WD・SUVタイヤに進化を遂げた印象があります。静粛性が高く舗装路では快適、少しハードなオフロードに踏み込んでも地面を捉えて頼もしく、オンロードとオフロードのパフォーマンスがハイバランスされています。よりアグレッシブな見た目と性能を求めるなら『R/T』や『M/T』もオススメですが、スノーフレークマーク付きでもあるため、オールマイティさを望むならばオススメのA/Tタイヤです。
TEAM JAOSのレース活動の中で、オープンカントリー・ブランドアンバサダーの能戸さんもA/TⅢの開発テストに協力。