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「MAXXIS」泥や岩をつかみながらトラクションを稼ぎつつ排土性にも優れた「使える」マッドテレーン

自動車用はもちろん、自転車、オートバイ、トラック&バス用まで、世界180カ国以上で愛されるタイヤのグローバルブランドが「MAXXIS(マキシス)」だ。ただし我々、日本の4WDファンからすれば、オフロード色の強いトラクションタイヤのメーカー、といった方がピンとくるかも?
そう、MAXXISといえばオフロードや競技に特化しているようなイメージだ。そのシンボル的な存在「クリーピークローラー」はヘビーデューティなバイアス構造のみのラインナップ、また豊富なサイズ設定で人気を集める「トレパドール」もラジアルのサイズも選べるものの、主力はバイアス。両者とも苛酷な路面、ロックなどでのトラクション能力の高さは、各種オフロード競技での装着率の高さからも明らかなのだ。
そんなMAXXISだが、実はトラクションタイヤ以外で一般ユースの4WDに向けたラジアル系マッドテレーンやオールテレーンも充実しているのをご存じだろうか?

たとえば今回、レポートするのは「RAZR(レーザー)MT」は、15~24インチ、外径も最大40インチまでを揃えるラジアル構造のマッドテレーン。オフロードのトラクション性能だけでなく、オンロードや日常ユースでの快適性や、長寿命性までをも実現したタイヤなのだ。アグレッシブなブロックパターンは、もちろんドレスアップにも貢献。今回はラングラーに装着したが、プラドやハイラックス、FJクルーザーなどにも対応する。

◆MT-772 RAZR MT

マキシスMT-772 RAZR MTの特徴

今回のタイヤサイズは10PRと、剛性の高い構造。マッドやガレ場、あるいは尖った石の並ぶロックセクションへも、安心して踏み込んで行ける。タイヤそのものはサイドがしっかりして、トレッドブロックがやや柔らかめ。トレッドがしっかり路面を捕まえながら、トラクションを確保するイメージだ。ダート走行ではヨコ方向へのグリップに安心感が高かった。

STYLING

トレッドパターン自体はトラクションタイヤのクリーピークローラーを彷彿されるもの。彫りの深い大きなブロックが並び、サイドウォールにもアグレッシブなパターンが施されている。ただしコンパウンドは新技術・HSRフィルターコンパウンドが採用され、快適な乗り味や高耐久性、長寿命性、そしてトラクション性能を充実させている。さらにオンロードでの静粛性の高さも、このタイヤの特徴だ。サイズは最近の4WD&SUVにマッチするラインナップを用意。
ランドクルーザープラド、ラングラー、ハイラックスなど、ミドルサイズ以上のクルマに適応する。最大40インチ径も用意し、エクストリームな使用もOKだ。

ON ROAD TEST

クリーピークローラー風のルックスで、オンロード性能は心配…ではあったが、杞憂だった。今回はJLラングラーに35×12.5R17LTを装着、エア圧はLT規格ということで2.9kg/cm2と高めの設定だったが、乗り味はしなやかそのもの。トラクションタイヤやMTタイヤにありがちなゴツゴツ感も抑えられているし、タイヤノイズも気にならないレベルなのだ。

DIRT TEST

今回のダート走行は、取材時の時間の関係上、エア圧1.5kg/cm2のままで行なったが、さすがに少しステアリングの安定感が乏しく、また挙動の遅れも気になってしまった。ここはできれば車両指定の2.5kg/cm2くらいで走るのがベストだろう。もちろん基本的なトラクションの高さはしっかり感じられるし、とくにリヤが滑り出しそうなスピード域でも姿勢の乱れがほとんどなかったのは好印象。このトレッドパターンならマッディな路面でも安定した走りをもたらしてくれるはずだ。

CROSS COUNTRY TEST

溝の深いトレッドブロックは、クリーピークローラーのものより柔らかい印象、さらにブロックに刻まれたサイプの貢献度も高く、泥や岩をつかみながらトラクションを稼ぐ印象。柔らかめのブロックはまた、溝に詰まった泥を吐き出す能力も高く、それも力強いグリップを得続けるポイントになっている。ちなみにオフロード走行時、エア圧は通常時の2.9から1.5kg/cm2まで落としてみたが、スタティックな状態でサイドのたわみはほとんど現れず。それだけサイドがしっかりしている証拠だ。もちろん岩場などの乗り越え時はほどよくたわみ、トレッド面のグリップ力をアップ。それでもビード落ちの心配はなく、安心して走れるのはRAZR MTのアドバンテージのひとつだろう。オンロードの快適性に加え、このオフロードポテンシャルの高さは、街乗りメインのユーザーにもオススメできるスペックだ。

◆取材協力◆