(写真:aldenjewell)
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ジムニーの原型はスズキではなかった
1967年、今から48年前にジムニーの原型は生まれた。
オート三輪のメーカーだったホープ自動車が、「ホープスターON型4WD」という、三菱ジープを当時の軽自動車サイズに縮小し、三菱製の軽自動車用エンジンを搭載した軽四輪駆動車が始まりだった。
「ON」により軽四輪自動車の分野で再起を図ったホープ自動車だったが、販売不振で軽自動車事業を断念し、当時のスズキ自動車常務、鈴木修(現会長)にONの設計図と製造権を売り込んだ事で、その後の「ジムニー」が生まれた。
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初代ジムニーは軽4WDのパイオニア
「ホープスターON」の製造権を購入したスズキは、「軽自動車規格に収めた、悪路走破性に優れる軽四輪駆動車」というコンセプトをそのままに、自社の軽トラック「キャリイ」のエンジンや駆動系を流用してスズキ仕様とした。
ボディも新デザインで一新され、「ジムニー」と名付けられて1970年に発売されると、大好評となる。
当時は乗用車の4WD車どころか、4WD自体が初期のトヨタ・ランドクルーザーや日産・パトロール(後のサファリ)、それに三菱・ジープしか無かった頃で、小型軽量簡便で取り回しのいいジムニーは、大変重宝がられたのである。
初代ジムニーは550ccエンジンへの変更など小改良を加えられながら、1981年まで11年間生産された。
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2サイクルエンジンの最後を飾った2代目ジムニー
1981年にデビューした2代目「ジムニー」は、まるで軍用車両のような潔い簡素さを持った初代から、街中で見ても違和感の無いスマートなデザインに変更され、舗装路での走行性能も考慮されたモデルだった。
それでも初期にはまだ低速にトルクに優れた2サイクルエンジンを搭載しており、この時期のジムニーは「パパン、パンパン」と独特の排気音を上げながら軽々と崖を登っていく事からオフロードイベントでもすぐ識別でき、今でも「2ストジムニー」の人気は高い。
オフロードでの走破性のため、2ストロークエンジンに換えて4ストロークターボエンジンをいち早く搭載しており、その後も800cc以上の小型車規格モデルを除けば、ジムニーは全てターボ車である。
2代目も途中でエンジンを660ccに変更、デザインまで大幅に変わるような改良を加えられながら、旧規格最後の1998年まで17年の長きに渡り生産された。
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新規格化後の3代目ジムニーは既に最長寿モデル
3代目ジムニーは、1998年10月、軽自動車が新規格に移行したのと同時にデビューした。
全体的に丸みを帯び、現代の都市の中でも違和感の無いクロスオーバーSUV風のデザインとなり、FR(後輪駆動)の2WDモデル「ジムニーJ2」も設定される。
しかし4WDモデルの中身は「ジムニー」そのもので、2代目の末期に舗装路での快適性向上のため、リーフスプリングからコイルスプリングに変更された以外、初代と何ら変わらないものだった。
「ランドクルーザー」や「パジェロ」が高級化し、三菱が「ジープ」を生産中止した後も、数少ないオフロードメインのヘビーデューティー4WDモデルとして、3代目のデビューから15年たった今も後継車は登場していない。
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ジムニーのロングセラーの理由は何か
その歴史の中で、ダイハツ・タフト/トヨタ・ブリザードや三菱・パジェロミニ、ダイハツ・テリオスキッドとライバル車が存在したにも関わらず、ジムニーはひたすらマイペースに各代ともに10年以上の長いモデルライフを保った。
初代からの根強いファンがいる事や、スズキが日本最大級の軽自動車メーカーである事を生かした、エンジンや部品の安定供給を続けてこれた事もその理由だが、確実な走破性や、「崖から転げ落ちてもまだ走れる」と言われる耐久性が評価されている。
気づけばライバルが全て消滅している事もあり、「ジムニー」はこれからも軽4WDの、そしてヘビーデューティー4WDの代表として生産が続けられるだろう。
何といっても、郵便や宅配、山林事業など、ジムニーが無かれば困る人たちがたくさんいるのだから。
日本で一番、これからも安心して乗り続けれるというのが、ずっと売れている理由かもしれない。
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