失敗事例その1
“整備済”のクルマを購入したが
納車後に故障が続出している
あいまいなワードは購入前に必ず確認
プライスボードに記された〝整備済み〟という案内に安心し、別途費用が必要な納車整備は行なわず、通信販売でE90型BMW3シリーズを購入したM・Nさん。陸送会社によって届けられたそれは、数週間後にカムセンサー不良、イグニッションコイル不良というトラブルが立て続けに出たとのこと。販売店にトラブルが出たことを伝えると、納車整備を行なっていないので、修理費用は自己負担になるという返答とのことだった。
ここで学ぶべきことは、プライスボードなどに記された整備済みというワードは、その内容を購入前に確かめることが重要だということ。オイル交換や診断機による点検の実施だけでも整備済みと記されることがあるためだ。また、購入後のトラブルについて、どこまで保証してくれるのかも確認するよようにしたい。
成功のポイントは?
どこをいつ整備したのか
購入前に確認すベシ!
納車整備はショップによって
その内容が異なる!
失敗事例その2
購入してから半年後にエアコンが
利かなくなり保証外といわれた
保証期間内に作動チェックを実施!
真冬に先々代型のCクラスを購入し、快調な状況を維持していたというW・Jさん。ところが半年が経過し、エアコンを使用する季節になると冷風が出ないという状況になっていたとのこと。販売店にその旨を伝えると、保証期間は3カ月または走行3000㎞までなので、修理は有償になるという返答だった。販売店での修理は冷媒ガスの補充のみで完治し、かつ費用もサービスという好待遇で済んだとのこと。
良心的な販売店からの購入だったこともあり、失敗と言うべき事例ではないが、保証付きの中古車を購入する場合、その内容は事前に十分チェックすることが重要。と同時に、保証期間内に作動チェックを徹底的に行ない、問題があった場合は保証で対応してもらうというのがユーザー側のセオリーである。
成功のポイントは?
保証付きで満足せず
その内容を確認すベシ!
エアコンやATなどは
保証外という場合も少なくない
失敗事例その3
オーバーホール済みに惹かれて
購入したがトラブルが多い
「OH = 新品同様」とは限らないのが中古車
エンジンとATはオーバホール済みというリーズナブル価格のW211型Eクラスを購入したT・Hさん。何の不調もなくしばらく乗っていたが、ふと気が付くと駐車場にオイル漏れの跡が。下回りを覗き込むと、オイル漏れが進行していたという。
このオーバーホールという言葉、いまや非常に曖昧なものとなっており、エンジンヘッドカバー回りのパッキン交換やATFのスクリーン交換程度でも、オーバーホール済みと記されることがある。また、オーバーホールから長い期間が経っていた場合も同様。そのため、オーバーホール済みというクルマを購入する場合には、どの部分を、いつどのような分解整備を行なったのかをきちんと確認する必要がある。本格的なオーバーホールを行なった場合は、その記録や明細が残されていることが多い。
成功のポイントは?
オーバーホールの時期と
内容を事前にチェック
オーバーホール直後でも
オイル漏れが発生することも!
失敗事例その4
契約をしにショップへ出向くも
ローンの審査が通らなかった!
販売店の実績が
個人の信用を高める場合も
比較的若い人にありがちな購入トラブルが、契約直前でローン審査に通らないことが発覚するというもの。また、勤続年数の長い40代以上の人でも、住宅ローンの融資状況やその他の支払い状況などによって、審査結果がNGとなる場合も少なくない。金利が低めの状況にある現在、月々の支払い額を低くできる長期ローンは、魅力的な支払い方法だ。しかし、それには審査に通ることが大前提である。この審査、融資金額が低くなればなるほど審査基準は低くなるため、頭金をできるだけ用意するというのが正攻法。そのほかには、ローンの取り扱い実績が高い販売店から購入するという手法もある。審査自体はあくまで個人の支払い能力で決められるものだが、ローンの取り扱い実績が高い販売店では、審査が優遇されることもある。
成功のポイントは?
販売店によって審査が
通りやすいこともある!
残価設定型なら
比較的審査は通りやすいことが多い!
失敗事例その5
購入して3日後にリバースに
シフトしても後退しなくなった!
ATFの温度によって変速が変わる!
何を隠そう、これは筆者の実体験。かつて格安のアウディを購入したとき、3日後にバックしなくなるという状況に陥ったのでした。原因は、リバース時におけるAT内部の油圧不足。そのため、Rへシフト後、アクセルを深く踏み込むと、ドカンという大きな音とともに変速する場合もあった。修理にはバルブボディの分解およびシールやスプリングの交換。さらに、クラッチドラムやバンド類の交換も必要で、つまりATのオーバーホールを行なうことになった。
このAT、購入前の段階では全く問題なくどのポジションも変速していたのだ。ところが、ATFが暖まって粘度が低下すると、リバースだけ変速しなくなることが購入後に発覚! 希にこのような事例もあるので、ATFが暖まった状態での作動チェックもお勧めだ。
成功のポイントは?
安い中古車のATは暖機後の
作動状況も確認せよ!
温度が上昇しにくいATFだからこその
チェック方法
ATFの温度を素早く上げるには、Dレンジのままで停止状態にすること。ただし、事前に販売店の許可をもらうか、販売店のスタッフに確認作業をしてもらうことをお勧めする。
※全て GERMAN CARS 2015年10月号より抜粋。
相場や「現行型」「先代」などの表記は
全て2015年当時のもの