エアコンガスの補充は専門店がベスト
夏が来る前に全体の点検を受けておこう
エアコンを使う機会が増えてくると、利きが悪いと感じるケースも出てくる。エアコントラブルで最も多いのがコンプレッサーの不良だ。これはエンジンの回転を利用して冷媒ガスを14気圧程度まで圧縮し、液化させる装置である。エンジンのサイドや下側にクランクシャフトと並行に取り付けられて、マグネットクラッチを介してベルトによって駆動される。複雑な構造であるためエアコンシステムの中で最も高価な心臓部である。
そのため、エアコンのトラブルは高額というイメージがあるが、ユニットやセンサーの不良といったことも多いので、やはりドイツ車に詳しい修理工場で点検してもらうのが重要となる。エアコンガスの不足も性能を低下させる原因。構造上、エアコンガスは自然リークしてしまうから、定期的にガスの量を点検して、補充しておくことがトラブルを防ぐポイントになるのだ。
埼玉県久喜市にあるオートフィールドでは、TEXAというエアコン整備マシンを導入している。これは車両に残っているエアコンガスを回収、クリーニングしながら規定量を補充してくれるもの。エアコンガスは規定量を守ることが重要で、多すぎても少なすぎてもいけない。TEXAには車両データがインストールされているから規定量を補充できる仕組みになっている。
前述したようにガスは自然リークしてしまうので、現状で異常を感じなくても、点検しておくことでトラブルを未然に防ぐことができる。オートフィールドでのテストでは、エアコンに異常を感じない車両にTEXAを施工したところ、冷房温度マックスで4~5度下がったという。さらにコンプレッサーオイルも回収、クリーニングできるので、高価なコンプレッサーの寿命を延ばすことにも繋がるのだ。エアコンは、夏を迎える前にメンテナンスするのがベストだと言える。
現在のエアコンガスはR134aだが、このTEXAは次世代のR1234rfにも対応している。クルマの進化とともに、整備マシンも大きな進化を遂げているのである。
タンブルフラップ不良はV6エンジンに多い
最近のメンテナンス傾向も紹介しておこう。サンプルカーとして選んだのはメルセデス・ベンツSクラス(W221)。エンジン回りを中心に見ていくと、V6エンジンではタンブルフラップの不良がいまだに多く発生している。フラップが折れてしまうことが原因で、アルミ製の社外対策品も出ているほど。この他の対処法としてはOEMのインマニを使う方法もあるという。マグネットクラッチからのオイル漏れも定番だ。ここはメーカーから対策品が出ているのでそれを使うのがベスト。意外なオイル漏れポイントが、エンジンの後ろ側にあるカバー。オイル漏れは早めに対処しておかないと二次被害を起こすこともあるので、定期的にチェックするようにしたい。
センサー関連では、足回りに備わるスピードセンサーの不良が多く発生している。停車しているのに勝手にスピードメーカーが上がってしまうことがある。そうなると車両側は走っていると認識してしまい、ドアロックがかかってしまうケースがあるというから気をつけたい。
こういった細かなポイントを知っているのは、メルセデス・ベンツに強い修理工場ならではと言える。
最近のトラブル傾向 メルセデス・ベンツSクラス(W221)
目的に合わせて選べるブレーキパッドを用意
●HELLA PAGID シルベラミック
●ATE セラミックブレーキパッド
取材協力:オートフィールド
●TEL:0480-25-4811
●URL:http://www.autofield.co.jp/