Q.3 メルセデスの維持は大変なの?
輸入車に対する正しい接し方とメンテを怠らなければ何も恐れることはない
知らずにいると自分が壊しているケースも
メルセデス・ベンツはよく壊れるとか、修理代が異常にかかる、などと言われているのは、ごく一部の人が流している間違った情報だ。新車価格が1000万円以上するような高級モデルを100万円そこそこで買って、ろくな整備もしないで手荒に乗り回していれば、そりゃあ壊れるのは当然。常識的なコンディションのクルマを買って、輸入車の扱いに慣れた人が運転し、定期的な点検と整備を行なっておけば、まず路上で止まってしまうことなどない。
まず、是非とも避けたいのがドライバーがクルマを壊しているというパターン。クルマが止まった状態でハンドルを思いっきり切り返す、しっかりと停止する前にRレンジにシフトしていきなりアクセルを踏みつける、エンジンが回っている状態でキーをスタートの位置へ回してしまうなどなど、落ち着きのない荒っぽい操作はNG。それでもしばらくは耐えるように作られている国産車とは違い、そんな操作は想定外なのだ。
また整備に出して壊されるという残念なケースも非常に多い。国産車が専門でメルセデスの知識がない修理工場で、純正外のクーラントを入れられたり、指定の締め付けトルクを知ろうともせず適当に締め付けられたり。残念なことにこのようなケースが非常に多く、結果として本来は必要なかった高価な修理代が発生してしまい、「メルセデス・ベンツの維持は費用が大変だ!」などと言って回るユーザーが多かった。本来なら、意味不明な壊れ方をすることがなく、信頼性が高いのがメルセデス。また部品の交換が必要になった場合にも、細かなパッキンやネジに至るまで単体で部品が供給されているため、部分的な修理で直せて費用も割安で済むというケースが少なくない。維持における過失がなければ、メルセデス・ベンツの維持費は他ブランドの輸入車よりむしろ安いはず。
こういったことを裏付ける1つの資料として、下の表を見て欲しい。これは1974年式、タテ目世代のコンパクトを購入したユーザーが、2年間に支払ったメンテナンス費用の内訳だ。購入時には納車整備として冷却系や電気系などに手を入れているが、それ以降パワーウインドーの調子が悪くなったことと、一度エンジンの調整をした程度で2年間乗れてしまっている。2回分の車検に必要な自賠責保険料や重量税などの法定費用まで含めて、その費用は30万円程度。部品代を含めた修理の単価もごく普通。半ばクラシックカーのようなクルマでもこの程度で維持できてしまうのだ。フェラーリやロールスロイスなどとは違い、メルセデス・ベンツの維持費は決して高くはないことが分かってもらえると思う。
2008年10月(納車時)
□油脂類 エンジンオイル/フィルター交換 約1万5,000円
□水回り関係 ウォーターポンプ交換/ラジエターオーバーホール 約5万円
□電装品関係 バッテリー交換/オルタネーター修理他 約10万円
□ブレーキ関係 前後ブレーキホース交換 約1万5,000円
□駆動系 デフマウント交換 約2万円
□足回り関係 スタビライザーリンケージ交換 約1万2,000円
□AT関係 ATF/シフトリンケージブッシュ交換 約1万2,000円
2009年4月
□装備品関係 パワーウインドーレギュレータ交換 約3万円
□油脂類 エンジンオイル/フィルター交換 約1万5,000円
2010年4月
□ボディ関係 ウェザーストリップ交換 約3万5,000円
2010年7月
□エンジン関係 点火プラグ交換/水温センサー交換/ディスビ清掃他 約3万円
2010年10月
□車検・法定費用 車検整備/諸費用 約10万円
□油脂類 エンジンオイル交換/ブレーキフルード交換 約2万円
□エンジン関係 エンジン内部洗浄 約2万5,000円
□ブレーキ関係 フロントブレーキパッド交換 約2万円
2011年11月
□油脂類 エンジンオイル/フィルター交換 約1万5,000円
上の表は1974年式のコンパクトクラスを購入したユーザーの、購入後2年間の整備記録。車検整備以外はパワーウインドー不良と一度エンジン調整をしたのみで、とくに大きなトラブルもなく乗れている。費用についても、車検の法定費用を含めても約30万円。月にすれば1万3000円ほどで、この先24カ月は車検も取得しているのでさらに安くなるはず。実用モデルなら低年式のクルマでさえも、この程度の維持費で乗れてしまうのがメルセデス・ベンツの真実なのだ。