ココがPOINT!
コンピュータは重要な役割を担っている
高度な電子制御によって非常に快適で安全なクルマとなった、現代のドイツ車。各部にセンサーを取り付けて、そこからの信号をコンピュータが受け取り、燃料噴射から点火のタイミングなどを統括的に制御している。横滑り防止装置などの安全装備も、ABSセンサーや横Gセンサーなどからの情報を元にコンピュータが制御し、安全な走行を実現しているのだ。現代のクルマにとって、コンピュータはクルマの頭脳というべき部分なのである。
しかし、経年劣化によってトラブルが発生すると思わぬ出費に繋がってしまう。新品のコンピュータは高価で、部位にもよるが10~30万円。メルセデスのAMGやBMWのMシリーズはノーマルに比べてさらに高く、希少なクルマになると100万円以上することもある。ここまでくると乗り続けるのを諦めてしまいそうになるが、心配は要らない。こうした高価なコンピュータを分解修理してくれる業者が存在するのだ。
そもそもコンピュータが劣化する原因は、熱や経年劣化によるものが多い。例えば、コンピュータ内部に使われている基板のハンダにクラックが入ってしまったり、電解コンデンサがパンクしてしまうというケース。ハンダにクラックが入ってしまうのは熱や経年劣化が原因だし、電解コンデンサは有効寿命がある部品で、その寿命は温度(熱)によって左右される。とくに古めのクルマはコンデンサ容量のマージンが少ない傾向にあるため、いつかは寿命がやってくる部品なのである。また基板を見ると電気の通路を示した地図のようになっているが、目視では確認できない基板の内部にも通路が張り巡らされているのだ。このようにコンピュータの不良といっても様々な原因があり、開けてみないと分からないというのも事実なのである。
また、コンピュータ以外の不良により壊れてしまうことも。例えば、エンジンハーネスが劣化してショートしてしまうと、コンピュータにも悪影響を与えてしまう。コンピュータ本体が寿命を迎えることよりも、ハーネスの不良によるトラブルのほうが圧倒的に多いので、ここは定期的に点検しておきたい。予防整備も検討しておくべきだろう。
コンピュータの分解修理を行なっている業者は、各部を徹底的にチェックして不具合の原因となっている箇所を探し出す。そして、壊れた部品を新品にして修理するのだ。費用は業者や劣化状況によって異なるが、約10万円といったところ。新品で30万円以上するコンピュータが、10万円で直るのは嬉しい。ただし、劣化や破損状況によっては修理できないこともある。今回、話を聞いたリペアニーズではその場合の修理代金は返金してくれるとのことだ。
コンピュータの分解修理は現品修理が基本なので、壊れたコンピュータを送る必要がある。また、エンジン不調などの原因は必ずしもコンピュータだけではない。それゆえ、その車種に詳しい修理工場でしっかりと原因を特定して、そこを通じて依頼するのがベストな方法だ。