TOP > 記事 > 【素材別ドイツ車メンテ術 vol.01/エクステリア編 ①《塗装》】着色以外にもボディを守る役割を果たしている
メンテナンス

2022.04.22

【素材別ドイツ車メンテ術 vol.01/エクステリア編 ①《塗装》】着色以外にもボディを守る役割を果たしている

自動車の塗料は、カラーイメージもさることながら、ボディをサビから守ったり表面を滑らかにしたりと、機能的にも重要な役割を担っている。昔は溶剤にシンナーなどを用いた油性塗料が主流だったが、近年では環境に配慮した水性塗料も開発されている。

 

ワックスなどで薄い皮膜の

バリアーを作っておくことが大切 

塗装には大きく二つの目的がある。一つは、ボディの素材を劣化から守ること。ほとんどのクルマのボディは鉄でできているので、サビからクルマを守るためといってもいい。もうひとつは、外観の化粧として役割。鉄板むき出し色もある意味迫力があっていいかもしれないが、ほとんどは何らかの着色がされている。
 そういう理由で施されている塗装は、もちろん塗料で行なわれる。では塗料とは何かというと、これは何らかの樹脂でできていて、大昔にはラッカーやエナメルといった塗料も使われていたが、現在ではまず間違いなくウレタン系の樹脂を使った塗料だと思って間違いない。着色には岩石や金属から作られる顔料が使われる。この調合技術に優れた世界的企業は世界に数社しかなく、BASFというドイツの企業はその中でもトップクラス。ポルシェ好きには有名なグラスリットも同社の商品名である。
 さて、顔料で着色された樹脂と溶剤で構成された塗料は、溶剤が乾燥すると樹脂分だけが残る。言ってみれば乾いた接着剤と同じようなイメージだ。それゆえ塗膜のケアは、樹脂よりも硬いもので擦らない、樹脂を冒す酸性やアルカリ性の強い液体や環境から隔離すべく、ワックスなどで薄い皮膜のバリアーを作っておくことが大切となる。
 ちなみにワックスとコーティング剤とどっちのほうがいい? という疑問がよく聞かれるが、どちらでもいいからバリアーの被膜を欠かさないこと、というのが正解である。

 

大気中の酸が塗装を壊す

特に降り始めの雨には、大気中に排出された硫化物などの化学物質が大量に含まれている。この雨のシミを放置しておくと、塗装だけでなく下地の金属をも腐食させる可能性がある。
 

洗車の時はまず水洗い

砂やホコリがボディに付着した状態でいきなり拭いたりすると、確実にクリア層を傷付ける。クルマを洗う時は、まず水をかけて表面の汚れを落としてやることが必要だ。
 

撥水コーティングの危険性?

水をバンバン弾く撥水コーティングは、見た目にも効果が分かる気持ちの良いものだが、水滴がボディに残るとその部分がウォータースポットの原因にもなってしまう。いわゆる「ウロコ」と呼ばれるこのシミは、雨や水に含まれるカルシウムが空気に触れることで発生するもので、一度ボディに付着してしまうと通常の研磨ではまず落ちない。これを避けるためには、同じコーティングでも水を「切る」特性を持つ、親水性コーティング剤を使ってみるなどの工夫が必要になる。