ワックスなどで薄い皮膜の
バリアーを作っておくことが大切
塗装には大きく二つの目的がある。一つは、ボディの素材を劣化から守ること。ほとんどのクルマのボディは鉄でできているので、サビからクルマを守るためといってもいい。もうひとつは、外観の化粧として役割。鉄板むき出し色もある意味迫力があっていいかもしれないが、ほとんどは何らかの着色がされている。
そういう理由で施されている塗装は、もちろん塗料で行なわれる。では塗料とは何かというと、これは何らかの樹脂でできていて、大昔にはラッカーやエナメルといった塗料も使われていたが、現在ではまず間違いなくウレタン系の樹脂を使った塗料だと思って間違いない。着色には岩石や金属から作られる顔料が使われる。この調合技術に優れた世界的企業は世界に数社しかなく、BASFというドイツの企業はその中でもトップクラス。ポルシェ好きには有名なグラスリットも同社の商品名である。
さて、顔料で着色された樹脂と溶剤で構成された塗料は、溶剤が乾燥すると樹脂分だけが残る。言ってみれば乾いた接着剤と同じようなイメージだ。それゆえ塗膜のケアは、樹脂よりも硬いもので擦らない、樹脂を冒す酸性やアルカリ性の強い液体や環境から隔離すべく、ワックスなどで薄い皮膜のバリアーを作っておくことが大切となる。
ちなみにワックスとコーティング剤とどっちのほうがいい? という疑問がよく聞かれるが、どちらでもいいからバリアーの被膜を欠かさないこと、というのが正解である。