インターネットの発展が部品業界に革命を起こした
流通革命と言っても過言ではないほど、ここ数年でその市場が大きく変わったのが輸入車の部品だろう。本誌が創刊した頃は、プロの整備工場でも大手の部品商社かディーラーから入手するというのがほぼ全てで、価格も売り手市場でコントロールされていた。
ところがインターネットの普及によって海外のOEMブランドや社外メーカーが広く知られるようになり、それらを輸入・販売する業者が一気に増える。今では純正部品から純正部品を納入しているメーカーが独自に販売するOEM品、社外メーカー品にニセモノの粗悪パーツまで、あらゆる品質の輸入車用補修部品が出回っている、まさに玉石混在の状態だ。
非常に閉鎖的だった日本の輸入車用部品マーケットがオープンになったのはユーザーとして嬉しいのだけれど、チョイスの幅が広がったということは、それだけ知識を持って注意して選ばないと失敗するということでもある。
単に安く買えればいい、というものではなく、品質を十分に見極めて選ばないと、中にはほとんど不良品のようなものも混ざっている。耐久性が低くすぐにダメになってしまっても、自分でも出来るくらい交換が簡単であれば、また換えればいいが、部品代より工賃のほうがかかるような部分であればダメージは計り知れない。
こういった場所には信頼性と耐久性が何よりも重要になる。部品の種類によっても、価格と品質のバランスで選ぶと最適なものというのは変わってくるわけだ。
しかもこれは、自分で部品を手に入れて修理工場に持ち込むという人に限った話ではない。修理工場にとっても整備に使う部品は当然安く手に入れられる方がいいわけで、経験や知識の乏しいところでは知らずに粗悪なパーツを使ってしまうことも十分に考えられる。
純正部品を使ってキッチリと整備してもらったと思っていたら、半年後にはその部品が原因で思わぬトラブルに見舞われてしまう、なんてこともあり得る。ユーザーが部品についての知識を持つ必要がある時代になったのだ。
しかし輸入車を維持するコストの中で大半を占めるのが消耗部品代であることも事実。色々な部品を上手に選んで使うことで、維持費を大きく節約することも可能になる。今ではメンテナンスの鍵を握るのは、補修部品の選び方だといえる。
補修部品の種類は大きく分けて3つ
上手に活用すれば費用を抑えつつクルマの調子を維持できる
現在、日本に輸入されている補修用パーツブランドはヨーロッパ系だけでも多数あり、それにアジアなどを加えれば相当な数が輸入されていることになる。しかも、パーツメーカー同士の合併やグループ化によって、パッケージと中身のパーツブランドが異なるといったケースもある。
インターネットが普及する前はディーラーや修理工場が部品を手配するのが当たり前で、ユーザーが部品を選ぶことはできなかった。だが、現在ではたくさんの補修用パーツが選べるようになり、インターネットを通じて自分で購入できるほど、クルマの補修用部品というものが身近な存在になってきている。
メンテナンスに使用する補修用部品には、大きく分けて3つの種類がある。まず、純正部品。これはメーカーが品質を保証している新品パーツ。通常は国内のディーラーが取り扱っているが、海外から直輸入された純正部品もある。2つめが、OEM部品。純正部品を製造している下請けメーカーが、独自の品質基準とパッケージで販売しているパーツだ。純正に準ずる性能だが、同一ではない。そして3つめが、それ以外の社外品や社外パーツと呼ばれるものだ。
例えば、同じエンジンマウントでも、純正、OEM、社外の3つの中から選ぶことができ、もちろん価格帯も変わってくるので自分の予算に合う部品を選べるようになっているのが、今の補修パーツ事情なのである。
こうしたチョイスが広がったことで、ドイツ車を気軽に楽しめるようになったことは大きなメリット。維持費を抑えられることで多くの人がドイツ車に乗るようになり、現実的な予算で維持できるようになった。
だがその一方で、品質に問題がある激安パーツが流通するなど利便性が高まったことによるデメリットもある。部品を少しでも安く買いたいと思うのは当然のことだが、それを見極めるのは難しい。安くても品質に問題がないパーツもあるから、必ずしも価格だけでは判断できないのだ。そう考えると、どこから買うかと悩んだ方が失敗は少ない。電話での対応や保証の有無などを確認して、自分が信頼できるショップから購入することがポイントだ。
もうひとつの方法が、馴染みの工場のメカニックにアドバイスをもらうこと。日々、様々な部品を扱っているメカニックだからこそ、その善し悪しを経験していることが多い。ただし、メカニックは実績と信頼性を重視するのでこちらで手配したいというのがホンネ。気兼ねなく相談できる相手なら、参考程度に聞いてみるといいだろう。