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【多走行車の買い方講座 vol.03】どんなモデルを選べばいい?/ GERMAN CARS アーカイブ/2014年9月号より抜粋

多走行車の購入においてもっとも重要なのがモデル選び。なるべく構造がシンプルな車種で、ベーシックグレードを選ぶのが鉄則だ。整備履歴がはっきりとしている中古車を選ぶことも大事なポイントになる。ちなみに記事はすべて2014年9月号からの抜粋なので、中古車の相場や「現行型」「先代」などの表記はすべて2014年当時のものとご承知おきいただきたい。

 

失敗しないモデル選びのキーワードは
「シンプル」&「整備履歴の有無」

 多走行車の購入でターニングポイントとなるのがモデル選び。多走行でも長く乗れるクルマを選ぶのが重要であり、ここでしくじってしまうとあえて多走行車を買う意味がなくなってしまう。購入で失敗しないためにも、多走行車に適したモデル選びをする必要があるのだ。
 まずポイントとなるのが、なるべく構造がシンプルなモデルを選ぶこと。年式が古いクルマほど構造はシンプルだが、この先5年、10年と乗っていくことを考えると、維持において必ずしも古いクルマの方が有利とは言えない。経年劣化によってこれまで手を入れてこなかった箇所のメンテナンスが必要になるなど、時間の流れには逆らえないからだ。それゆえ、それをカバーするオーナーの愛情次第でクルマのコンディションは大きく変わると言える。
 では高年式モデルはどうかというと、ハイテク装備をあまり持たない比較的シンプルなクルマもある。例えば、先頃フルモデルチェンジを果たし、先代型となったCクラス(W294)や、BMWでは先代3シリーズなど(E90)。メルセデスSクラスやBMW7シリーズといった上級車種は、エアサスペンションなど専用部品が多く価格もスペシャルなものだから、これを維持していくにはそれなりの覚悟が必要。12気筒エンジンなんて一般的な走行距離であっても手間も費用もかかるから、その後の維持を考えるとあえて多走行車を選ぶメリットは少ない。メルセデスCクラスやBMW3シリーズのように、シンプルであることが多走行車において重要なポイントになってくるのである。
 それゆえ、グレードにおいてもベーシックなのがベスト。車格を妥協したのだから、グレードくらいは上を狙いたいという気持ちは分かるが、上級グレードに搭載されるエンジンは車格が一つ上のクルマと同じエンジンというケースが多い。これなら最初からEクラスや5シリーズを選んだ方がいいだろう。ただし、ここでもベーシックなグレードを選ぶのが鉄則だ。
 そして、もっとも重要なのが過去の整備履歴がはっきりしているクルマを選ぶこと。これまでどんなメンテナンスをしてきたかによって、クルマのコンディションは大きく変わる。仮に走行10万㎞であれば、ある程度のメンテナンスはされていると思うが、その内容が重要だ。詳しくは次ページで解説するが、前オーナーが大切にしてきたクルマであれば、これまでの整備履歴は残っているはず。逆に、整備履歴が分からない多走行車は避けるべきである。
 流通している中古車の中には、多走行でもワンオーナーというクルマもある。新車を買える経済力があって、整備はディーラーで実施しているケースも多いので、こういったクルマはコンディションが良い可能性が高い。もちろん、整備履歴は確認するべきだが一つの目安にはなる。

(すべて GERMAN CARS 2014年9月号より抜粋 。相場や「現行型」「先代」などの表記はすべて2014年当時のもの)

BMWでは3シリーズを選ぶのが無難なチョイスと言える。年式によって構造は異なるが、先代型でも比較的シンプル。直4エンジンを積んだ320iなら維持するのは難しくない。
 
メルセデスSLクラスのようなスペシャルモデルを維持するには、それなりの覚悟が必要。多走行車を選ぶべきではない。
 
メルセデスの高年式モデルの中でチョイスするなら、新型の登場で先代型となったW204型Cクラス。
 

多走行車選びのポイント

【その1】なるべく構造がシンプルなモデル

年式が古くなるほど構造はシンプルになるが、高年式モデルにおいても、ハイテク装備をあまり持たないシンプルな車種を選ぶこと。メルセデスSLクラスのようなスペシャルモデルは、専用品部品が高いので維持費も特別だ。
 

【その2】ベーシックなグレードを選べ!!

車種を絞り込むことができたらグレード選びとなるわけだが、こちらもなるべくベーシックなグレードを選ぼう。エンジンによっても維持の手間や消耗品の数が変わってくるので、搭載エンジンを把握しておくことも重要だ。
 

【その3】整備履歴がはっきりしている

多走行車で一番重視すべきなのが、過去の整備履歴。これがはっきりしていないクルマは絶対に避けるべきだ。前オーナーが大切にしてきたクルマであれば整備履歴は残っているはず。これを参考にコンディションを見極めたい。
 
 

走行距離にまつわる噂の真相

Q. 高速メインの乗り方をしてきた
  クルマは元気!って本当なの?

A. 高速道路はドイツ車に適した
  環境であるためストレスが少ない

日本道路環境は過酷だ。都市部ではストップ&ゴーの連続でクルマにとってはジワジワとその負担がかかってくる。では、クルマにとってもっともストレスが少ないと言えるのが高速道路。走行距離が多いクルマであっても、高速道路をメインに使ってきたクルマは本当に調子が良い。ドイツ車はそもそもアウトバーンで最高のパフォーマンスを発揮できるように設計されているので、高速を走ることは負担にはならないのだ。この噂は本当だと言える。
 

Q. 法人ワンオーナーの
 低走行車は本当に極上なの?

A. 掘り出しモノがあることは事実だが
 必ずしも極上とは言えない

法人所有の低走行車はディーラーできっちりとメンテナンスされているから極上と言われているが、例えばメルセデス・ベンツでは、新車から3年間は保証が付いているので法人でも個人でも大きな差はない。また、Sクラスのような運転手付きで乗るクルマはアイドリング状態で待機している時間が長く、各部の熱害が進んでいるケースが多い。走行距離が少なくてもエンジンがかかっていた時間は長いという状況はクルマへの負担が大きい。
 
 
※すべて GERMAN CARS 2014年9月号より抜粋。
相場や「現行型」「先代」などの表記はすべて2014年当時のもの