走行距離が少ない方が
維持がラクというのは間違い
走行距離は中古車価格を設定するための目安になっている。中古車相場は需要と供給の関係で成り立っているので、走行距離が多い、いわゆる多走行車になると買い手が少なくなることから、同じ車種でも価格が安く設定されるのが一般的だ。一つの目安としては、走行10万㎞を超えると買い手が少なくなる傾向が強く、それが車両価格にも反映されている。
買う側にとっても走行10万㎞を超えたクルマはトラブルが多いのでは? と不安になるから、余計にニーズが減少し値落ちは進んでいく。だが、多走行の中古車がすべてダメかというと、そうとは言い切れない。もう一つ付け加えると、走行距離が少ない方が維持費がかからない、というものでもないのだ。
クルマに使われているブッシュやベアリングなどは、長期間動かさないでいると一定方向に大きな負担がかかり続ける。低走行ということはそれだけクルマを動かしていないわけだから、消耗品の交換時期が通常よりも早いケースが多い。走行2万㎞の極上車であっても、いざ乗り出す時にはいろいろと手を入れなければならないわけだ。また、走行5万㎞くらいでほとんどメンテナンスされていないクルマよりも、9万㎞走ってひと通りのメンテナンスがされているクルマの方が維持の手間がかからないというのも事実なのである。
つまり、走行距離による価値とそのクルマが持つコンディションは別モノなのだ。上の写真にあるW210タイプのメルセデスEクラスは走行17万㎞を超えているが、機関面は好調を維持している。それは、前オーナーが定期的にメンテナンスをして日常的に走っていたクルマだからだ。仮にこのクルマが売りに出るとしたら20万円以下で入手できるはず。最初のコンディションが良ければ、あとは交換サイクルを守ってメンテナンスしていけば十分にドイツ車ライフを楽しめてしまう。これほどお得なことはないだろう。
走行距離による価値と
そのクルマがもつコンディションとは
別モノであると心得よう
般的な中古車とマニア人気の中古車では
走行距離に対する評価が違う!
往年の名車の評価は「距離」ではなく「状態」
市場に多く流通している一般的な中古車は走行距離による価格差が大きいが、往年の名車などマニア人気が高いクルマはコンディションが優先されるケースが多い。走行10万kmオーバーでも、コンディションが良いクルマはすぐに売れてしまうほど人気が高いからだ。クラシック世代になるとその傾向はより顕著になり、状態に加えて希少価値が加わる。