クルマにとって厳しい条件だからこそ
ドイツ車らしさが明確になる
15年ほど前、日本に輸入されるドイツ車の中でSUVが占める割合は少なかった。むしろ、フルサイズのランドクルーザーを筆頭とするコンパクト、ミドルサイズSUVは国産車の方が優勢だったのだ。ラインナップは豊富だったし、好みの1台を見つけるのも簡単だった記憶がある。輸入車に目を向けても当時は、SUVの本場であるアメ車を候補に挙げるのが一般的だった。
だが、今はどうだろう。ドイツ車メーカーもコンパクトからフルサイズまでフルラインナップで、それぞれに個性に溢れ、実に魅力的だ。クルマ好きの間ではセダン、ワゴンが本命かもしれないが、ボディが大きく、車重が重く、車高も高い。セダンやワゴンに比べて不利な条件が揃っているからこそ、剛性の高いボディと引き締められたサスペンション、数々の先進技術はドイツブランドの真骨頂。それらが組み合わせられ、アウトバーンを走り切る走行性能を持つジャーマンSUVは、国産車やアメ車にも負けない魅力に溢れている。
SUV大国であるニッポンでジャーマンSUVを選ぶ理由は決して少なくない。むしろ、もっと売れてもいいと思えるくらい、ドイツ車らしさを感じられるのではないだろうか。以前、メルセデスのセダンばかりを乗り継ぎ、メルセデスのGLシリーズに乗り換えたユーザーを取材したことがあるが、「食わず嫌いだったかも」というのが第一声だった。ジャーマンSUV、実は侮れない存在なのである。