MTで楽しむ
ドライバーとクルマとの対話
AT全盛の現代でも
MTを設定する
ドイツ車の中でもMTを設定しているメーカーは数少ない。旧世代モデルであればポルシェ911やフォルクスワーゲンのGTIなどにMTが設定されマニアックなファンに支持されていた。MTならではの操る楽しさは今も健在。
BMWのトランスミッションはAT、MTのほかに、2ペダルMT的なクラッチレスをラインナップしているが、ご存知のとおり、これがEVへと完全移行してしまうと、トランスミッションという存在は消え去ってしまう。
印象としては、不完全ゆえに曖昧さがドライバーに操る愉しみを与えている内燃機関にとっては必要不可欠な存在なのかもしれないが、制御によってすべてを正確に操作しようとするEVには、不要、といわれているかのようにも感じるのだが。
さて、BMWはAT、MTともに多段化という、イマドキのトレンドに乗ることはなく、ATは8速、MTは6速に止めている。ただし、先にも述べたように、今後、トランスミッションはなくなる運命にあることから、先を見据えて開発を止めようとしているようにも受け取れる。ちなみに、ATでもシフトレバーにおいてマニュアル操作によって任意のギアセレクトを可能としているが、モデルによってはステアリングコラム部で操作可能なパドルシフトを標準装備している。日本でのMT搭載モデルは、M4クーペ、M2クーペのみ。ちなみに海外では3シリーズのいわゆる標準モデルにもMTをラインナップしており、日本でも、先代3シリーズ(F30)までは、一部グレードにMTを設定していた。現在は、手に入らない組み合わせとなってしまったこと、そもそも販売台数が少なかったこともあって、中古マーケットでは高値で取引されていることはご存知のとおりだ。
もちろん、スポーティな走りに特化させたトランスミッションもある。ここでは、M3に搭載された8速MTテップトロニック・トランスミッションと、M4クーペに採用された6速マニュアル・トランスミッションについて紹介しておこう。BMWによれば、ハイパフォーマンスモデルにおいては66速MTを組み合わせているモデルはないとか。そう言われて、周囲のライバルを見渡してみるとたしかにない。MTのアドバンテージとは、ドライバーとクルマとの対話を愉しむためのツールのひとつであり、そのことをBMWも知っていることの現れでもある。このMTの特徴はショートストロークによる確実な操作性と、シフトアシスタントによる快適性と走行安定性の提供だ。後者については、コーナー手前でのブレーキング時にシフト回転数を制御して、シフト操作(ダウン)後にタイヤがスリップしないように、つまり、安定方向へと導いてくれるもの。もちろん、ギア比は、専用となる直6エンジンに合わせた設定とされており、また、ベル・ハウジングを軽量化(8速MTテップトロニック・トランスミッションよりも約25㎏も軽い)したことで、先代よりもスポーティな走りを提供している。
印象としては、不完全ゆえに曖昧さがドライバーに操る愉しみを与えている内燃機関にとっては必要不可欠な存在なのかもしれないが、制御によってすべてを正確に操作しようとするEVには、不要、といわれているかのようにも感じるのだが。
さて、BMWはAT、MTともに多段化という、イマドキのトレンドに乗ることはなく、ATは8速、MTは6速に止めている。ただし、先にも述べたように、今後、トランスミッションはなくなる運命にあることから、先を見据えて開発を止めようとしているようにも受け取れる。ちなみに、ATでもシフトレバーにおいてマニュアル操作によって任意のギアセレクトを可能としているが、モデルによってはステアリングコラム部で操作可能なパドルシフトを標準装備している。日本でのMT搭載モデルは、M4クーペ、M2クーペのみ。ちなみに海外では3シリーズのいわゆる標準モデルにもMTをラインナップしており、日本でも、先代3シリーズ(F30)までは、一部グレードにMTを設定していた。現在は、手に入らない組み合わせとなってしまったこと、そもそも販売台数が少なかったこともあって、中古マーケットでは高値で取引されていることはご存知のとおりだ。
もちろん、スポーティな走りに特化させたトランスミッションもある。ここでは、M3に搭載された8速MTテップトロニック・トランスミッションと、M4クーペに採用された6速マニュアル・トランスミッションについて紹介しておこう。BMWによれば、ハイパフォーマンスモデルにおいては66速MTを組み合わせているモデルはないとか。そう言われて、周囲のライバルを見渡してみるとたしかにない。MTのアドバンテージとは、ドライバーとクルマとの対話を愉しむためのツールのひとつであり、そのことをBMWも知っていることの現れでもある。このMTの特徴はショートストロークによる確実な操作性と、シフトアシスタントによる快適性と走行安定性の提供だ。後者については、コーナー手前でのブレーキング時にシフト回転数を制御して、シフト操作(ダウン)後にタイヤがスリップしないように、つまり、安定方向へと導いてくれるもの。もちろん、ギア比は、専用となる直6エンジンに合わせた設定とされており、また、ベル・ハウジングを軽量化(8速MTテップトロニック・トランスミッションよりも約25㎏も軽い)したことで、先代よりもスポーティな走りを提供している。
高度な電子制御により
自然なフィールを生む
モード選択での制御が
大きく進化している
現在のBMWのメインとなっているのが電子制御式の8速AT。この他にツインクラッチ機構をもDOCT搭載モデルもラインナップしている。
ATは、8速Mステップトロニック・トランスミッションはドライブロジック付となる。エンジンパワーに合わせたそれぞれのギア比は大きく確保され、時に豪快な加速を引き出すために、一方で日常での経済性に貢献できるようにとセッティングされていることもポイントだ。もちろん、シフトスピードはスポーティと呼べるほどに素早く、また、トルクコンバーターは発進直後からロックアップを行い、ダイレクト感あふれるパワーを愉しめるように仕立てられている。
また、マニュアルモードにおいて、アクセルをフルスロットル状態まで踏み込み、左側のパドルスイッチを引くと、ローギアまでシフトダウンし、急加速を提供。また、オートマチックモードではブリッピングを伴ってコーナリングを行なえるため、ムダなトルクを発生させることなく、確実なグリップを感じながらスポーティな走りを楽しめるように仕立てられている。ドライブロジック機能は、快適性重視、スポーツ走行用、サーキット走行用の3パターンが設定されており、シフトフィールの違いも愉しむことができるなど、まさに、ドライバーのFUNを引き上げてくれるロジックなのだ。
昨年末に登場した2シリーズアクティブツアラーには、最新世代の7速ステップトロニック・ダブル・クラッチ・トランスミッションを採用。
ダイレクト感あふれるスポーツ性能を特徴としているユニットだが、シフトフィールといった快適性にウィークポイントをもっている。最新世代ではかなり整えられてきたが、ディーゼルのようなトルク変動が大きく出るエンジンとの組み合わせでは、シーンによっては音や振動が顔をだす。ただし、それをあまりウィークポイントとして語りたくない。なぜなら、日常でも感じられるスポーティフィールに富んでいるから。特に、スポーツモード使用時には、パワーからシャシーまで一体となっていて、Mスポーツ不要では? と思えるほどの、ハイパフォーマンスを提供してくれる。
また、マニュアルモードにおいて、アクセルをフルスロットル状態まで踏み込み、左側のパドルスイッチを引くと、ローギアまでシフトダウンし、急加速を提供。また、オートマチックモードではブリッピングを伴ってコーナリングを行なえるため、ムダなトルクを発生させることなく、確実なグリップを感じながらスポーティな走りを楽しめるように仕立てられている。ドライブロジック機能は、快適性重視、スポーツ走行用、サーキット走行用の3パターンが設定されており、シフトフィールの違いも愉しむことができるなど、まさに、ドライバーのFUNを引き上げてくれるロジックなのだ。
昨年末に登場した2シリーズアクティブツアラーには、最新世代の7速ステップトロニック・ダブル・クラッチ・トランスミッションを採用。
ダイレクト感あふれるスポーツ性能を特徴としているユニットだが、シフトフィールといった快適性にウィークポイントをもっている。最新世代ではかなり整えられてきたが、ディーゼルのようなトルク変動が大きく出るエンジンとの組み合わせでは、シーンによっては音や振動が顔をだす。ただし、それをあまりウィークポイントとして語りたくない。なぜなら、日常でも感じられるスポーティフィールに富んでいるから。特に、スポーツモード使用時には、パワーからシャシーまで一体となっていて、Mスポーツ不要では? と思えるほどの、ハイパフォーマンスを提供してくれる。
ドライビング・パフォーマンスコントロールが備わり、エンジンやミッションのシフトタイミング、ダンパーの減衰力などを統合的に制御。どんなクルマでもBMWが理想とする乗り味を実現しているのだ。高度な電子制御のたまものと言えるだろう。