4輪ハイドロも超絶レスポンスな
エンジンも健在のエボⅡ
自動車遺産である名車を
2380万円で販売中
DTM(ドイツツーリングカー選手権)におけるBMWのM3対抗すべく、メルセデスが本気でレースに勝つために投入された限定モデルが、メルセデス・ベンツ190E2.5-16エボリューションⅡだ。その系譜は86年に190E2.3‐16をカタログモデルとして登場させ、89年には2.5‐16エボリューションⅠ、そして90年に登場した最後のエボモデルが2.5-16エボリューションⅡ。M102エンジンをベースに英国のレーシングエンジンビルダーであるコスワースがDOHC16バルブヘッドを開発し、2.3‐16では175ps/5800rpm、22.9㎏‐m/ 4750rpm、エボⅠでは231ps/7200rpm、23.5㎏‐m/5000rpm、エボⅡになると235ps/7200rpm、25.0㎏‐m/5000〜6000rpmへと進化を遂げる。なお、エボⅠ、エボⅡともにホモロゲーションを取得するため、500台+αという生産台数であった。
そしてここに登場するエボⅡは、クロコカーズが仕入れた車両で、並行輸入ゆえに初年度登録は1996年という個体だ。走行距離は13.6万㎞で、内装は当時のオプションであるフルレザーのシートが備わり、シフトノブで確認できるシリアルナンバーは「297」という1台。今や販売車車両を見かけること自体が少ないが、それは限定500台という生産台数からも分かりきっていた事実であり、そのため、流通する個体は程度が良いというのがエボⅡの中古車事情である。
また、程度は良いがカスタムされている個体も多いのがエボⅡの特長。特に油圧式の4輪ハイロドサスペンションは、コンベンショナルな車高調などに変更されている個体が多いのだが、これはノーマルのまま。しかもその機能はしっかりと維持されており、油圧式ならではのスムーズな車高調がスイッチひとつで使える。特筆すべきは、エボリューションモデルらしい鋭いエンジンレスポンスが味わえること。ヘッドカバーは美しい状態に保たれており、かつ大きなタペット音や異音もない。もちろんハイドロポンプ回りからのオイル漏れも見られず、レーシーな回転フィールを十二分に楽しむことができる状態にあるのだ。
内外装の状態も上々。注視すればキズなども見受けられるが、年式を考慮すれば奇跡と呼べるほど良好な状態にある。もちろん、あの大きなリアスポイラーもオーバーフェンダーも健在だ。
気になる価格はありがちなASKではなく、2380万円という車両本体価格。折からの旧車ブームもあり、仕入れ価格も相当なものだったそうだが、本当に欲しい人のためにあえて価格を提示しているとのこと。
CROCO CARS
クロコカーズ
今こそヤングクラシックメルセデスにカッコよく乗る
このエボⅡを筆頭に、W124型の500E/E500やW126などのヤングクラシックメルセデスの販売・整備などを得意としているのがクロコカーズで、それらを仕入れているのが鰐部代表だ。
「このエボリューションⅡは希少な上に非常に状態の良い個体です。これを日常的に乗るという方はさすがにいないと思いますが、この状態を大切に維持してくれる方に乗って欲しいですね。購入希望者が現れなかった場合は、当時のDTMカラーへとラッピング施工してみるのも面白い、なんて考えたりもしています。
一方、500Eを含めたW124は、まだまだ日常的に乗りたいという方が多いので、カスタムも含めて今風に乗るメニューを用意しています。そのひとつがルーフライナー。経年劣化で垂れてしまうことが常なので、よりスタイリッシュなスェード調のルーフライナーへの交換などもお勧めしています。ただ、W124もW126も、価格は上昇傾向にあるので、これらを日常的に乗りたいという人は早めの決断がお勧めです。状態の良い個体を、今よりも相場が上昇する前に購入し維持する。それが現在におけるヤングクラシック世代のもっとも賢い乗り方だと思っています」と鰐部代表は話してくれた。
このほかにも同店では、ダルマベンツこと220S PONTON(1958年式・418万円)、250SEクーペ(1968年式・888万円)など、コレクターズアイテムともいえるヴィンテージモデルも在庫している。旧車ファンには堪らない注目のショップである。