The history of BMW M Series
BMW 初代型M3(E30)
絶品のチューニングエンジンを
フルに発揮するために与えられた
高いシャシー性能
BMW M社は、BMWの研究開発を担当する関連会社。前身のBMWモータースポーツ社では、主にモータースポーツ関連の研究開発、車両生産を行なっており、そこではツーリングカーからF1まで全般的に手がけ、数々のタイトルを獲得した。現在では高性能スポーツとの位置付けになったMモデルの開発や、限定モデルの企画、アフターパーツ関連やトレーニングスクールの運用などを行なっている。
そんなMシリーズの中でもっとも知名度が高いのがM3だろう。「エムスリー」、「エムサン」。呼び名は人それぞれでも、クルマ好きの間では完全に認知される存在になった。日本車党でも一目置く、それどころか、日本の自動車メーカーのエンジニアたちは、このクルマを手本として開発をしていることも珍しくない。しかもそれはエンジンであったり、足回りであったり、クルマの根幹に関わる部分なのだ。M3は他のメーカーにとって手本となるほど、基本の理論に忠実で理想的な作りが成されているのである。
Mとはモータースポーツの略であり、BMW MM社が開発やエンジンの生産を担当している。BMWの中でも飛び切りのスポーツ性能を誇る特別なモデルに与えられた称号だ。レース用の部品やマシンを開発したり、レース活動、さらには特別なマシンの製作を受け持ってきた。それはBMWの本来の姿そのまま、と言ってもいい。M社の前身となるBMWモータースポーツGMBHが設立された73年以前から、BMWはレース活動をしており、BMWの研究開発部門からモータースポーツ部門が独立して子会社となったのがM社へと発展したのだ。
そんなM社が初めて生産したクルマがM3(それ以前にM1というスーパースポーツも存在するが、ランボルギーニ社が生産を担当)。レシプロエンジンとして最高のパフォーマンスとフィールを追求し、そのエンジンの性能をフルに発揮させることができる高いシャシー性能を与えるというのが、M3のコンセプト。だからこそ運動性能に優れたコンパクトな3シリーズをベースとし、そのボディに収まるバランスのいいパワーユニットを作り上げ、フットワークのいいスポーツマシンを作り上げるのだ。
速いマシン、ドライビングが楽しいマシンが欲しいと思っても、スパルタンな2シーターのピュアスポーツでは実用性に乏しく、それ1台で全ての用途をこなすのは無理だ。日本は雨の多い気候とあって、耐候性の高さも重要な要素。また大排気量の高性能車ではその高速性能を生かし切ることは難しい。渋滞の多い状況では、MTは辛いという人も多かろう。そんな人にはSMGというセミATもある。日本においてはベストストリートスポーツと言ってもいい存在。それが歴代のM3なのである。