メルセデスクーペをベースに生産される電動開閉式のソフトトップを持つ4シーターカブリオレ。W124から新たなラインナップとして加わり、93年に登場。翌年には後期型にスイッチして、ボンネットやトランクリッドなどのデザインが変更されている。
カブリオレはW124シリーズの中でも新車価格が高額であったため、セダンやワゴンに比べると生産台数は少ないが、ヤングクラシックとなった現在では希少な趣味車として多くのファンを魅了し続けている。
型式はA124。シャシーはクーペと同じでサルーンに比べて全長&ホイールベースが85㎜短いが、ボディ剛性を確保するために、1000点もの新設計パーツが採用されている。セダンのような剛性の高さと走行安定性を両立しながら、4シーターオープンカーとして高いレベルを実現しているのだ。
ソフトトップは対候性が高く、ドイツ車らしい素材の良さを感じるもの。トップは電動タイプを採用しており、センターコンソールにあるボタン操作で開閉が可能。SLクラスに搭載されたオートマチックロールバーも装備し、オープンカーの不安を払拭する高い安全性を手に入れている。
搭載するエンジンはDOHCの直列6気筒のM104ユニット。3199㏄の排気量から225ps/32.1㎏‐mのパワーを発揮する。スムーズな吹け上がりで往年の直6ユニットらしいフィーリングを楽しめるのも魅力だ。これに組み合わせられるトランスミッションは、機械式の5速。セダンやワゴンでは4速になるが、カブリオレ(クーペも)はそれをベースに5速ギアと、電気的にシフトチェンジを促すソレノイドバルブが追加されている。
カブリオレの生産台数は約7000台、セダンが約200万台という数字から見ても、現存しているカブリオレがいかに希少であるかがお分かりいただけるだろう。今、このクルマに乗れることは、メルセデスW124ファンにとって最高の喜びになるに違いない。
取材車はエンジンハーネスやオルタネータ−、ラジエター、エアコンのエバポレーターなど大きな整備実績がある。さらに信頼性を高めるために、アイディングではエンジンオイル、ATF、ブレーキオイル、デフオイル、パワステオイル等の油脂類を交換。ウォーターポンプ、ラジエーターロアホース、マグネットSW、アイドラプーリー、タイミングカバーガスケット、FRカバーガスケット、ATリアシール、リアロワアームサポートブッシュ、エンジンマウント、バイバスホース、ワイパーブレード、フードインシュレーターなども新品に交換して徹底的なリフレッシュが実施されている。タイヤも新品のレグノに交換、四輪アライメント調整も行なうなど、安心して走りを楽しめるカブリオレに仕上がっている。