W124というクルマが
何たるかを感じられる
フルオリジナルの300E
年々、程度の良いW124が減ってきているのは事実なのだが、それでもここで紹介するような低走行の300Eに出会えるのだから、まだまだお宝のようなW124が出てくるのではないかと思ってしまう。だが、この300Eは希少色であるアンスラサイトグレー。他にあまりないカラーをオリジナルで探しているならぜひ注目してほしい1台である。
W124フリークにとっては知った内容かもしれないが、ここではそのキャラクター、本質的な魅力について解説していきたい。
W124は「最高の機械」として今でも多くのファンを魅了し続けている。分解整備できる部分が多く、さらに消耗パーツを定期的に交換することで長く乗り続けることができる名車だ。その驚くべき再生力を支えているのが、頑丈なボディ構造。分解整備できて、パーツ交換による再生が可能であっても、骨格となるボディの耐久性が乏しければ長く乗り続けることは難しい。強靱なボディがあるからこその再生力なのである。
W124のボディ構造を見てみると、基本となる骨格をガッチリと作り、フロアパネルやバルクヘッド、インナーフェンダーやルーフパネルなどの板状の構造材を張り付けて、頑丈なモノコックボディに仕上げている。ちなみにバンパーの裏側にあるフロントクロスメンバーは筒状になっており、左右のフロントメンバーに溶接されているのだが、この内部は別の鉄板が仕込まれている。さらにボディ本体のフレームに加えもう一つの骨格となるのがサブフレーム。W124はボルト固定ではなく、溶接によって接合されており、これがボディ剛性の要になっているのだ。
シートも手の凝った構造になっていて、W124の場合は5重構造。ウレタン材の下には有名なヤシ素材が使われており、乗員の体を面で受けて、ストローク量の多いスプリングによって快適な乗り心地を実現している。そのスプリングも、コイルタイプとリーフタイプを巧みに組み合わせ、面圧を分散させているのである。また衝突事故の際には、30センチ以上も深く沈み込みことで、腰への負担を和らげるといった安全性能まで備えているのだ。
このように、「機能美」という言葉がぴったりと当てはまる妥協のない作り込みは、今見ても感心させられる部分が多いのである。
取材車は前期型の300E。フリークの間では前期型の人気が再燃しているというが、ここまでのコンディションの300Eにはそう簡単に出会えるものではない。エンジン構造がシンプルな点も魅力のひとつと言っていいだろう。
加えて、エクステリアからインテリアまで使用感が少なく、機関面のコンディションも良好だ。前期型を探しているなら一度実車を見に行くことをお勧めする。一点モノと言われる、中古車とはいえ、一般的なモデルであれば似たような年式、スペック、カラー、価格のクルマをすぐ探せるがヤングクラシックとなるとそうはいかない。一期一会のヤングクラシックは、早いもの勝ちなのである。
フルノーマルのオリジナルで
動体保存された人気の前期型
使用感を感じさせない
各部のコンディション
走行距離が少ないということは、それだけクルマに触れてきた時間も短いということ。シートには張りがあり、アンコもしっかりとして絶品の座り心地を提供してくれる。純正オーディオも使用感がなく新品のようなコンディションだった。これから長く付き合っていくならこんなクルマがいいと改めて感じた取材スタッフであった。
【 U-CAR DATA 】
1991年 Mercedes-Benz 300E
●検5年12月 ●走行3.7万km ●AT ●フル装備
●右ハンドル ●ディーラー車 ●アンスラサイトグレー
●パワーシート ●運転席エアバック
●記録簿あり 価格:230万円
【SHOP GUIDE】
角目世代に強いプロショップが
トータルアクセス
東京都江戸川区にあるトータルアクセスは、長年、角目世代のメルセデスに特化してきたプロショップ。厳選したW124世代のメルセデス・ベンツを中心に販売を行なっている。自社工場も完備しており、購入後のメンテナンスも安心して任せられる。在籍しているメカニックもベテランなので、W124など角目世代のメルセデスの経験、知識は豊富にある。メルセデスに乗るなら長く付き合っていけるプロショップである。
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