暖機運転中にデスビ内部の湿気を
除去することでトラブルを予防
ヤングクラシック世代のEクラス、Sクラス、SLクラスなどに搭載されるV8エンジン(M119)で多いのがディストリビュータ(以下、デスビ)の不良。点火系の重要パーツで、プラグに飛ばすための点火電流を気筒ごとに分配する役割を持つ。これがダメになるとエンジン不調を引き起こす。その原因としてキャップに備わる接点が磨耗してしまうことに加えて、内部に湿気が侵入してしまうケースがある。
ここで紹介するアイデアパーツは、湿気によるトラブルを解決するものだ。とくに湿気が多い時期にトラブルの発生率が高く、エンジン始動直後からアイドリング不良、エンジンが吹けないなどの症状が出る。
そんなトラブルを解決するアイデアパーツを開発しているのが、愛知県名古屋市にあるボッシュ・カー・サービス「ナガセ自動車」。同店ではこれをデスビキャップ・ドライ・システムと呼んでおり、デスビキャップにダクトを加えウレタンホースを通じて室内に逃がし、ファンによって湿気を除去する仕組みとなっている。ファンの電源は自宅ガレージなどから100Vを取るか、クルマのアクセサリー電源を100Vに変換するキットを使ってファンを作動させる。湿気が除去されればエンジンは正常になるので、暖機運転中に使用するパーツなのである。
湿気によるデスビのトラブルはエンジン始動直後に発生することがほとんど。そのため始動直後から空吹かしをする人が多いのだが、それで解決するというものではない。空吹かしを続けるとエンジンに負担がかかり、新たなトラブルに繋がってしまうこともあるのだ。ナガセ自動車ではそれを避けるために、このパーツを開発したのだという。
クルマを毎日使っているような乗り方であれば湿気によるトラブルは少ないのだが、週末しか乗らないなどエンジンをかける頻度が少ないクルマほどトラブルが多い。
ナガセ自動車では試作品の製作、テストを繰り返しており確かな効果を得ているという。価格は3万500円からとのことなので、気になる人は問い合わせてみよう。