メルセデスとBMWの技術は60年代から凄かった!
ドイツのプレミアムブランドとして、日本でも多くのユーザーから支持されているメルセデス・ベンツとBMW。目指す方向に違いはあれど、それぞれのメーカーが持つクルマとしての性能や技術は、世界でもトップクラスであることは間違いない。それは過去のモデルに遡ってみても、飛び抜けた実力が見て取れるのだ。
戦後のメルセデス・ベンツは、高級車メーカーとして今でいうフルサイズサルーンを中心にラインナップを増やしていく。その中でクラシックファンにとってお馴染みの存在と言えば、縦型のヘッドライトを持つ「タテ目世代」だろう。テールフィンが付いた通称「ハネベン」や名車300SLの後継であるW113などは、今でも多くのファンが存在するクラシックカーである。程度の良いクルマなら今でも高値で取引されるほどの人気ぶりだ。
そんなメルセデスのクラシックカーの中で、ひときわゴージャスで当時のメルセデス・ベンツを象徴するモデルが600シリーズである。フランクフルトショーでお披露目された600は、全長が5540ミリ、全幅が1950ミリ、全高が1500ミリ、ホイールベースは3200ミリもある巨体だったのである。補助席を加えた7(8)人乗りのプルマンでは、全長が6240ミリ、ホイールベースは3900ミリにも達する。この巨大なボディを持つ600には、非常に凝った作り込みと、当時考え得る最高の技術が投入されたのだ。
集中ドアロック、サイドウインドー、後席のパーテーション、トランクの開閉まで油圧を使って作動するパワー機構を搭載。シャシーは当時使い慣れたものをベースとしているあたりはいかにもメルセデスらしいところだが、リアはエアサスペンション、ブレーキは4輪ディスク、エンジンは90度のバンク角を持つ6.3ℓV8SOHCを搭載し、最高出力250psを発揮している。現代の高級車と比べても遜色のない性能と装備を、コンピュータなどない60年代に実現していたのである。もちろん当時は一般向けのクルマではなかったけれど、きちんと整備されていれば現在でも実用になるという信頼性は特筆すべきものと言える。中古車は日本にもまだ残っているが、専門店によると世界中から買い取りのオファーが来るとのこと。そんなクルマ、そう多くはない。それだけ特別な価値を持つクルマとして、今も愛されているということなのだろう。