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【GERMANCARS特別コラム】ちょっとマニアックなエンジンの話 その2

ドイツ車のエンジンをちょっとだけマニアックに掘り下げる「GERMANCARS特別コラム」その1に続いて、もっと深くクルマのエンジンについて考えていくと、メンテナンスのポイントもなぜメンテナンスが必要なのかも見えてくるはず!

深刻な状況でも黙々と仕事をこなす我慢強い性格ゆえ注意したいこと

 エンジンにはかなり深刻な問題を抱えていても黙々と回り続けてしまうという面もある。燃料や点火電流の供給が止まってしまえば一瞬でストップしてしまうガソリンエンジンだが、バルブシールの劣化によってオイルが燃焼室に入り込んでいたり、ピストンリングが摩耗して首を振っているような状態になっていても、とりあえず回り続けるし、走り続けることもできてしまう。この「我慢強さ」が、焼き付きなど非常に深刻な状況を発生しやすくしていることは確かだ。単なる機械として見れば、問題があっても簡単に止まらず機能し続けることは評価するべき要素だが、大切な愛機として付き合って行く上では、この性格を十分に理解して乗り手が気を付けてやらなければならない。

 走ろうと思えば走れるのだけれど、それをやってしまうと修理代が大変なことになるというケースには次のようなものがある。まず最も多いのがオーバーヒート。高速道路など直ちに停車するのが難しい場所ではつい「次のインターまで……」と考えてしまいがちだが、高速走行中はエンジンが十分に冷却されるのが普通。高速でオーバーヒートするのはよほど大きな問題があるわけで、そんな状況で走行を続けるのはエンジンブローに直結する危険な行為だ。

 またインパネの油圧警告灯がチカチカと点滅して、エンジン回転を上げると消えるという場合も危険。オイルポンプの機能が低下して、十分な油圧がかかっていない可能性がある。そのまま走り続けるとエンジン内部に大きな摩耗が発生して、カムシャフトなどの重要な部品交換が必要になったり、焼き付きを起こす可能性もある。オイルジョッキのような形の警告灯は、油量不足ではなく油圧の低下を警告しているものなので「足せばいいや」と走り続けてはいけない。

 ベルト回りのプーリーから出る異音でもベアリングのロックによる不動トラブルの可能性があるが、エンジン内部からの音にはより注意が必用だ。カチャカチャとメカニカルなノイズが出ている場合、チェーンのテンショナーが緩んで遊びが出ている可能性がある。バルブタイミングが狂ってピストンのヘッドとバルブが干渉する可能性もあるので、早急に点検するべき。タペットノイズの場合でも、自動調整機構の問題か、それが備わっていない旧式のエンジンであれば調整が必要なタイミングということになる。

 その他、オイル漏れが見あたらないのにオイルが減る、マフラーの出口から青黒い煙が出るといった症状がある場合は、オイルが燃焼室に入り込んで燃えている可能性が高い。ほとんどがヘッドのバルブにあるステムシールが硬化して、ここからオイルが燃焼室に入り込むオイル下がりが原因。これは即走行不可能というトラブルではないが、早急にヘッドのオーバーホールが必要だ。

 このようにエンジンのトラブルは、止まってしまう前に問題を把握して手を打つことが大切。エンジンの健康状態を見極める1つのバロメーターに、燃費があることも忘れられない。普段と同じような使用条件なのに、燃費が急に悪くなったと感じたら何か問題があるかもしれない。そんな時も、早めにチェックしておくことをお勧めしたい。

燃料と点火電流の供給が止まってしまうと簡単にストップしてしまうエンジンだが、それ以外では重大なトラブルを抱えていても黙々と回り続けてしまう。そのためより深刻な状況になってしまうケースが少なくない。このような特性やエンジン内部のメカニズムを理解して、異常を感じたらすぐに対処することが修理費用を最小限に抑えるためには欠かせない。

こんな症状はエンジンからのS.O.S

インパネの油圧警告灯が時々点灯する

インパネにあるオイルジョッキのようなマークの油圧警告灯がチカチカと点灯する場合、オイルポンプの問題や汚れによるオイルラインの詰まりなどでエンジン内部に正しい油圧がかかっていない可能性がある。オイル量が足りないという警告だと思っている人も多いが、これは無視すると危険。摩耗によってエンジン内部に深刻なダメージを与える可能性がある。

マフラーの出口から煙りを吐くようになった

マフラーの出口から青黒い煙りを吐き出している場合、エンジンオイルの減りが早くなっているはず。継ぎ足しながら乗ってる人もいるが、これはオイルが燃焼室内部に入り込んで燃えている証拠。放っておくと触媒など周辺部分にも悪影響が及んでしまうので、速やかにオーバーホールをするのが正解だ。ヘッドだけで済む場合と、シリンダーにも問題があることも。

カチャカチャとメカニカルなノイズが気になる

バルブタイミングの狂いによるタペットノイズか、カムシャフトを駆動するチェーンの伸びやテンショナーの故障によってチェーンが遊んでしまっているのか、原因は色々と考えられるものの、エンジンからの異音は放置しても自然には直らない。気にしなければなんの問題もなく走れてしまう場合が多いが、そのまま乗らずに点検してもらうことが大切だ。

近、極端に燃費が悪くなったような気がす

費はエンジンの調子を示すバロメーター。極端に悪化した場合はトラブルが潜んでいる可能性が高い。インジェクターの故障でガソリンを過剰に噴いてしまい、シリンダー壁のオイルを洗い落として摩耗によるボーリングが必要になったというケースもあるので、同条件で通常より20%以上燃費が悪化したら一度点検してみる必要がある。