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3シリーズ BMW

2022.02.01

【BMW歴代3シリーズ研究】2代目3シリーズ BMW E30 ②

 年式や走行距離を目安とした整備ではなく、どこまで手が入っているのかが重要になるE30。そんな中で、最近では大物修理の一つであるATの中古品が非常に入手しにくい状況になっているのをご存じだろうか。

ATトラブルが今後の維持を左右する
オーバーホールか? 乗り換えか?

 E30が持つ本来の性能を取り戻すという前提において、壊れたところだけを直すというスタイルでは効率的なメンテナンスはできない。あそこを直しても、こっちがダメになる……といったモグラ叩き状態になりかねないからだ。専門ショップで販売されているE30は納車時にしっかりと整備をしてくれるところが多いのだが、それでも水回りや点火系などセクションごとにまとめて整備していく必要がある。
 そうした整備の中で必ずやってくるのが、ATやエアコンといった大物修理。ここにトラブルが起きた際にどう対処するかが今後のポイントになる。エアコンは専門の業者が多数存在するので心配は要らないのだが、問題となるのはAT。現状ではトラブルは少ないが、長く乗り続けていくうちに必ずATのメンテが必要になる。修理方法としては、中古ミッションの載せ替えかオーバーホール。一般的なオーバーホール費用は脱着工賃を合わせて50万円というだけあって、これまでは中古を使うユーザーが多かった。しかし、最近では程度のいいミッションが非常に少なくなっているのだ。ユーザーの傾向としては、オーバーホールの費用で新たなE30が購入できるため乗り換える人が多いようだが、メンテナンスはゼロからスタートということも忘れてはならない。それにE30自体の流通量も年々減ってきており、コンディションの良いクルマはそれなりの金額になることが予想される。それなら愛着のある自分のE30ともう一度向き合ってみるのもいいと思う。投資に見合った楽しみや満足感を、古き良き時代に生まれたE30ならきっと感じさせてくれるはずだ。

E30に搭載される4速ATはダイレクト感のある変速が魅力。世界中を探せば中古品の入手は可能だが、時間はかかるだろう。

オーバーホールと同時に交換すべきパーツ

より効率的にATのオーバーホールをするために、下記の部分もチェックしてほしい。劣化していたら同時に交換しておこう。

☑オイルストレナー
☑オイルパンガスケット
☑リアシール
☑ミッションマウント
☑ディスクジョイント

ディスクジョイントは劣化しやすいポイントなので、オーバーホールと同時に交換すると効果的だ。

プロペラシャフトを支えるセンターマウント。劣化すると写真のように切れてしまうことも。忘れずにチェックしておこう。
ATのリアシールからのオイル漏れは定番。ミッションを降ろす際には新品に交換しよう。

シルキーシックスを堪能するためにチェックしておきたいポイント

突然起こるエンジン不調ほど不安になるものはない。その原因は様々だが、燃料系のパーツをもう一度しっかり見直しておこう。

インタンク式となるE30の燃料ポンプ。フィルターとともにリフレッシュしよう。
見逃しがちなのがインジェクターノズルの詰まり。洗浄によるメンテナンスも可能だ。

インジェクターの詰まりがエンジン不調を引き起こす

 突然のエンスト、アイドリング不調、パワー不足など、エンジンのトラブルはとても不安になる。その原因の一つとして挙げられるのが、燃料系パーツの不良で、もちろんE30でも例外ではない。そこで見直しておきたいのがインジェクターノズルの詰まり。E30は電子制御式の燃料噴射装置を搭載しており、インジェクターの噴射部分に電気的なバルブを備え、噴射時間を電気信号によってコントロールしている。この燃料の出口となるインジェクターには小さなフィルターが付いているが、それでも長期間の使用により詰まりが生じてしまう。これにより最適な燃料が噴射できなくなり、トラブルが発生するのである。
 この詰まりを除去するために有効なのがインジェクター洗浄。クルマからインジェクターを取り出し超音波で洗浄した後、上の写真にもあるように噴射状態をチェック。6気筒のうち、一つがダメでも調子を落とすことがあるので、これなら全てのノズルを確認することが可能だ。修理工場によってはこの洗浄機を置いていないかもしれないが、詳しくは下記のホームページにアクセスしてほしい。
 また、洗浄作業に合わせてプレッシャーレギュレーターも交換しておきたい。ポンプによって送られてきた燃料はデリバリーパイプを通ってインジェクターから噴射され、このプレッシャーレギュレーターによって燃料圧を調整し、余分な燃料がガソリンタンクに戻るという仕組みになっている。それだけにこのプレッシャーレギュレーターも燃料系においてはキモになる部分なのである。もちろん燃料ポンプ、フィルター、ホース類に気を配るのは基本だ。
 燃料系パーツのメンテナンスはエンジンの調子を取り戻すだけでなく、安心感を得るための手段でもある。多少過剰整備と思うくらいの気持ちで、しっかりと手を入れておきたいところだ。

■問い合わせ:ASNU(アズニュー)

■URL:https://asnu.jp/