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3シリーズ BMW

2022.02.01

【BMW歴代3シリーズ研究】2代目3シリーズ BMW E30 ①

 日本でも大ヒットとしたE30は現在も根強い人気を誇っている。軽量なボディと程よいパワーによって生み出される「クルマを操る感覚」は、3シリーズとは何たるかを教えてくれる。ツーリングは希少な存在だ。

操る楽しさを存分に味わえる
FRコンパクトサルーン

代表モデルの主要諸元 89年式320i
■全長×全幅×全高:4325×1645×1380mm■ホイールベース:2570mm■トレッド(前/後):1405/1415mm■車両重量:1210kg■エンジン方式:直6SOHC■総排気量:1990cc■最高出力:129ps/6000rpm■最大トルク:16.7kg-m/4300rpm■サスペンション形式(前/後):ストラット/セミトレーリングアーム

メカニズム解説/Mechanism

エンジンに電子制御式の燃料噴射装置を搭載

 E30の大きな魅力である「クルマを操る楽しさ」。その大きなポイントになっているのがエンジンとサスペンションだ。スモールシックスと呼ばれるSOHCの6気筒エンジンには、Lジェトロニックという燃料噴射装置を搭載している。インジェクターの開閉を電気的にコントロールすることで最適な燃料噴射を可能にし、排ガス規制にも対応。さらに燃料を完全燃焼できることで、効率良くパワーを引き出すことに成功している。ちなみに4気筒は後期型から新開発エンジンにシフトし、伝統のエンジンブロックに軽量化を施した。この直4ユニットは改良こそ加えられるものの、E46まで受け継がれていることからも素性の良さが感じられる。これらのエンジンに組み合わせられるATは電子制御式で、ダイレクトな変速と抜群のフィールを実現。機械式がメインだった当時のメルセデスに比べ、BMWが先進的であったことがよく分かる。
 サスペンションはフロントがストラット、リアがセミトレーリングアームという古典的なサス形式ではあるが、長くBMWが熟成させてきた足回りだけあって完成度は非常に高い。フロントのストラットはL字型のロアアームを搭載。その後E46まで採用されるが、元祖となっているのがE30なのである。リアのセミトレもBMWの集大成と言えるものだ。
 こうしたエンジンとサスペンションに加えて、軽量なボディがE30の操る楽しさを生み出しているのである。

メンテ基本情報/Maintenance

タペット調整はE30をよく知る修理工場に依頼

 まず点火系や冷却系といった消耗品の交換はキッチリとやっておくこと。何らかの不良を抱えたまま走り続けると、エンジンにも大ダメージを与えてしまうので注意しよう。
 スモールシックスと呼ばれるM20系の6気筒エンジンは、定期的なバルブクリアランスの調整が必要になるため年式なりに手間がかかるが、これを怠ると異音の原因になる。調整はマニュアルよりも若干詰めてやることがポイントなので、作業はE30をよく知る修理工場に依頼するようにしよう。ほかにもピストンリング回りの汚れなどによってブローバイが上がってきてしまいスロットル回りへの悪影響が出ることも。タペットカバーパッキンやパワステホースからのオイル漏れも定番だ。また、クランク角センサーの不良によりエンジンの始動不良やエンストが多発することがあるので注意。こうしたセンサー類に加えて、リレーやオルタネーターなど電気系のトラブルも多いので定期的に点検することがトラブル予防に繋がる。リレーなどは予備パーツを車内に常備しておくと安心感が高い。
 ツーリングもメンテナンスとしては基本的に同じだが、フロントのロアアームはアルミ製となっており、交換するとなるとセダンよりも高くつく。リアにレベライザーが付かないため他の足回りメンテはセダンとほぼ同じと考えていいだろう。希にヘッドライトの光軸調整がダメになることがあるので要チェック!

冷却系の要でもあるラジエター。冷却効率が低下していることも考えられるので、まだ未交換なら手を入れておくべきポイントだ。
タイミングベルト&ウォーターポンプは同時交換するのが基本。またエンジンは定期的なタペット調整が必要になる。
ブレーキパッド、ローターは基本として、ブレーキホースの交換やキャリパーのオーバーホールも忘れずに行なっておくこと。
カラカラという異音が発生したら触媒が劣化している可能性が高い。パーツが高いのがネックで、程度のいい中古品も少なくなっている。