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【BMWエンジンタイプ別メンテナンス】トラブルが多いエンジン回りをピンポイント解説!

BMWの魅力は何といってもエンジン。そのフィーリングを堪能するためにもメンテナンスは欠かせない。ここではBMW専門ファクトリーである「ポールポジション」で最近の傾向とエンジン別の注意点について聞いてみた。

 

全てのBMWに共通するのは
オイル漏れと水回りの不良

 BMWを選んだ人にどこが好き? と聞くとエンジンや走りと答えることが多い。メーカーの哲学として「駆け抜ける歓び」を貫いているからこそ、そこに惚れ込み購入に到るのだろう。
 BMWのエンジン回りにおけるメンテナンスを聞いてみると、共通するのはオイル漏れと水回りだった。
「ヘッドカバーパッキン、オイルフィルターハウジングガスケット、バノス用ソレノイドバルブのOリングなどは、どの世代のエンジンでも多く発生しています。どれも消耗品ですから、定期的に交換しなければならないんですが、放置されるケースも多いんですよ。にじみ程度なら、というのはよく聞く話ですが、その判断についても相談してもらうことが一番だと思っています。これまで多くの事例を見ていますから、オイル漏れの程度についても把握していますし、オイル漏れが原因で高価なパーツを壊してしまうこともありますから、しっかりと診断してもらうことがトラブル予防に繋がります。
 水回りはウォーターポンプとサーモスタットが定番ですが、高年式モデルではラジエターの不良も増えています。個人的にF11型5シリーズツーリングも所有しているのですが、ラジエターがすぐにダメになってしまいました。同様のケースがユーザーさんのクルマでもありましたから、水回りには注意が必要ですね。
 N型の6気筒エンジンではウォーターポンプが電動式になりました。従来のベルト式に比べて水漏れは減ったんですが、電気的な不良で警告灯が点くケースがありますね。
 古いクルマは維持が大変というイメージを持つ人が多いと思います。でもじつは、構造がシンプルなので大きなトラブルが少ないんですよ。部品もOEMを使えば安く手に入るので、維持費もリーズナブル。僕のE30なんて基本的なメンテナンスだけですがATもエアコンも快調です」
 エンジン別の注意点については下記を確認してほしいが、エンジン内部についてはオイルと水の管理が重要とのこと。粘度にも気を配りながら、冷却水も定期的に全量交換するなどの基本メンテナンスを怠らないようにしたい。

 

エンジンオイルと冷却水の管理が
快調を保つポイントになる

01 ENGINE TYPE→直4SOHC(M20)/直6SOHC(M30)

代表的な搭載モデル
●2代目3シリーズ(E30)
●2代目5シリーズ(E28)
●初代6シリーズ(E24)
直6のM30は「絹のような滑らかなフィーリング」と表現されるようになり、ここからシルキーシックスと呼ばれるようになる。シンプルかつ頑丈な作りで、今でも十分に実用になるエンジンである。

エンジンの設計に合ったオイルをチョイスすること

年式的に見ても、基本的なメンテナンスを怠らないことが重要。最近では低粘度のエンジンオイルが主流になっているが、設計が古いエンジンに入れるのはNG。オイル漏れが起きる可能性が高くなり、油膜を保持できなくなることでエンジン内部に大ダメージを与えてしまうこともある。ポールポジションでは10W-40をオススメしているとのこと。また、エンジン回りの消耗品については2回目の交換時期を迎えているケースも少なくない。とくに水回りは重要な部分なので、定期的に手入れすることが快調の秘訣。

 

02 ENGINE TYPE→直4DOHC(N42)/直4DOHC(N46)

代表的な搭載モデル
●4代目3シリーズ(E46)
●5代目3シリーズ(E90)
●初代1シリーズ(E87)

DOHCに切り替わった直4がN42。スロットルを廃止して、世界初の可変バルブ機構であるバルブトロニックを採用したのがトピック。N46はN42の進化版で多くのBMWに採用されている。

バノス用ソレノイドバルブからのオイル漏れに注意

ウォーターポンプのベアリング劣化による異音、シールの劣化による水漏れには注意したい。ラジエターとアッパーホースの劣化により水漏れが発生することも。ラジエターのサブタンクに亀裂が入って水漏れを起こすと走行不能になることもあるので、これまで一度も交換していないようであれば予防整備しておくと安心だ。バルブトロニックについては希にエキセントリックシャフトセンサーやモーターの不良がある。バノス用のソレノイドバルブに備わるOリングが劣化してオイル漏れを起こすケースも増えている

 

03 ENGINE TYPE→直6DOHC(M52)/直6DOHC(M54)

代表的な搭載モデル
●3代目3シリーズ(E36)
●4代目3シリーズ(E46)
●4代目5シリーズ(E39)

軽量なアルミブロックを採用しており、吸気や排気を効率的に制御するバノスという技術が投入されている。M54はM52の改良版であり、基本的には同じ構造を持つエンジンである。

コンピュータ診断でセンサーの状態を把握しておく

ウォーターポンプのベアリング劣化による異音、シールの劣化による水漏れには注意したい。ラジエターとアッパーホースの劣化により水漏れが発生することも。ラジエターのサブタンクに亀裂が入って水漏れを起こすと走行不能になることもあるので、これまで一度も交換していないようであれば予防整備しておくと安心だ。バルブトロニックについては希にエキセントリックシャフトセンサーやモーターの不良がある。バノス用のソレノイドバルブに備わるOリングが劣化してオイル漏れを起こすケースも増えている。

 

04 ENGINE TYPE→直6DOHC(N52)

代表的な搭載モデル
●5代目3シリーズ(E90)
●5代目6シリーズ(E60)
●初代1シリーズ(E87)

スロットルバルブを廃止してバルブトロニックを搭載したN52エンジン。世界初となるマグネシウム合金を用いたエンジンブロックにより軽量化も実現。2.5ℓと3ℓ版が用意されている。

ウォーターポンプが電動式になり水漏れは減ったが……

6気筒エンジンがN型に切り替わり大きく変わったのがウォーターポンプ。これまではベルト駆動によって作動していたが、電動式に変更されたのである。ウォーターポンプといえば、シール部分の劣化などにより水漏れするのが定番だが、電動式になってからは減ってきているという。だが、警告灯が点灯した場合は即交換。しかもベルト式に比べてパーツ代が高くなっている。そのためOEMや社外品などが流通するようになってきたが、取材したポールポジションでは信頼性を重視して純正品を使ってほしいとのことだ。

 

05 ENGINE TYPE→直6DOHC+TT(N54)

代表的な搭載モデル
●5代目3シリーズ(E90)
●初代1シリーズ(E87)

335iや135iに搭載される直噴の直6ターボ。NAの直6(N52)とは構造的に異なり、エンジンブロックはアルミ合金製となっている。インマニと一体となるタービンは高温に耐える素材やハウジング形状を持つなど、エンジン屋ならではのこだわりが詰まっている。

 

高圧ポンプの不良はプログラムの問題であることも

いまでは主流となった直噴エンジン。インジェクターから噴射される燃料は非常に高圧になっており、通常の燃料ポンプのほかに高圧ポンプが装着されている。このポンプ不良が頻発したのがアメリカで、アクセルを踏んでもエンジンが吹けないといった症状が出る。日本でも発生事例があるがリコールにはなっていない。プログラミングが問題であるケースもあるようだ。トラブルの予兆が分かりにくいため、少しでも違和感があったら、早めにコンピュータ診断を受けてエンジンの状態をチェックしておくことが大切。

 

取材協力 BMW専門修理工場
Pole Position (ポールポジション)

ピットや敷地内には整備や修理を待つクルマがいっぱい。それだけ多くのユーザーに支持されているということだ。ネオクラシックから最近の高年式までBMWなら何でもお任せのファクトリーである。
■ 住所: 神奈川県横浜市都筑区池辺町1820-3 ■ ☎: 045-945-1331
■ URL: http://www.poleposition.co.jp/ ■ 定休日: 月曜日/第1・3火曜日