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【 ドイツ車世代別メンテ / 高齢世代 (新車から21年以上) / vol.06 突然やってくる電装品の寿命 オルタネータとスターターのメンテナンス 】

クルマに必要な電力を生み出す源となるオルタネータと、エンジンを始動させるきっかけとなるスターターは一般的に電装品と呼ばれる部品だ。これらの耐久性は高いのだが、さすがに高齢世代になってくるとメンテナンスが必要になる。

 

オルタネータとスターターの不良は
エンジンが始動できなくなる恐れがある

 

Parts Data

✔このパーツの役割は?

電気を生み出すのがオルタネータ

 オルタネータは全ての電動パワーの源になる部品で、ベルトによって駆動され、エンジンの回転を電気に替えている。スターターとはエンジンを初爆から始動へと導くモーターのこと。一般的には電装品という括りになるが、どちらも自動車にとって重要な仕事を任されている。

✔壊れるとどんな症状が出る?

 オルタネータが壊れると発電できなくなってしまうため充電警告灯が点灯したり、ベアリングの不良で異音が発生することもある。スターターが壊れるとエンジンがかからなくなる。

✔長持ちの秘訣は?

ベルトを適正な張りにすることが大事

 オルタネータのベアリングなどの不良はベルトのテンションの掛け方によっても寿命が変わってくるので正しい作業をすること。オートテンショナーの場合はテンショナーの状態にも気を配ること。スターターモーターはなるべく動かしてやることが寿命を延ばすことに繋がる。

 

オルタネータは
機械的な部分の不良が多い

 ここで紹介するオルタネータとスターターは高い耐久性を持っているが、新車から21年以上経過した高齢世代になるとメンテナンスが必要になってくる。
 まずはオルタネータについて解説していこう。すべての電動パワーの源となるのがオルタネータで、ベルトで駆動されてエンジンの回転を電気に替えている。発電中はかなりの熱を持つため、ケースには穴が開けられていて、冷却用のファンも備えられている。最大負荷=発電中の抵抗はかなりのもので、エンジンパワーを3〜5馬力も消費すると言われている。
 オルタネータにはブラシと呼ばれる回転する軸の電極に接触している接点部分があり、接触していることで摩耗する。スプリングによって押しつけられる構造になっていて、接点は削れた分だけどんどん押し出されるように長く作られている。エンジンが回っていた時間に比例して必ず摩耗する部品だ。最近のものは10万㎞以内でなくなることはまずないが、高齢世代のドイツ車で走行距離が多いクルマはブラシの交換を含めた、オルタネータの点検をしておくことが重要だ。 
 オルタネータのトラブルとして多いのがベアリングなどの機械的な部分の不良。とくにオルタネータの位置でベルトの張り具合を調整する旧式のVベルトの場合は、張り過ぎがベアリングに大きなダメージを与えてしまう。力の加減をよく分かった人でないと、適切なテンションに調整するのは難しい。またオートテンショナーを持つ一本がけのマルチベルトの場合は、テンショナーが古くなってベルトが緩むとプーリーがキッチリ回らなくなって、発電不良を起こすことが多い。
 いずれの場合も、アイドリング時の音に注意すると、「キュルキュル……」といった音や「ガラガラ……」という音など、簡単に異常と判別できる音が出ているので、これに気付いたらすぐに点検してもらうべきだ。ベアリングがダメになった状態で使用を続けると、最悪の場合はベアリングがロックしてプーリーが固まってしまい、その上を滑るベルトから火が出て車両火災になることもある。運良く単なる路上ストップで済んだ場合でも、オルタネータを丸ごと交換するしかなく、リビルト品でも10万円以上の出費になってしまう。トラブル前のオーバーホールならば、半額以下で新品同様の性能にすることが可能なのだ。
 また、もしインパネのチャージ警告灯が点灯した場合は、バッテリーに残された電気の分しか走行することはできない。晴れた日の昼間でも渋滞なしで30分前後、それ以内で駆け込める修理工場を探すか、止まってしまう前にレッカーを呼ぶのが最善の策と言えそうだ。

物理的に消耗する接点部分であるブラシ。10万km程度を走ったら、ブラシの交換を含めたオルタネータの点検整備を検討したい。
回転数によって変動する発生電圧を一定に保つなどの制御をしているICレギュレータ。これが壊れてしまうと発電できなくなってしまう。
オルタネータはベルトによって駆動している。そのためベアリング部分にガタが出ると異音を発生させる。このトラブルは非常に多い。
オルタネータがダメになると充電警告灯が点灯する。もし点灯してしまったら無理をせずにすぐにクルマを止めてレッカーを待とう。
 

スターターには安価な
リビルト品が流通している

 エンジンを始動させるきっかけとなるスターター。キーを捻ると「キュルキュル」と音がするのはスターターが仕事をしている証拠だ。スターターは、バッテリーからの電気でフライホイールを回すモーターである。
 モーターの原理について少し解説しておくと、永久磁石で囲まれた駆動軸にセットされたコイルに電流を流し、断続的な反発力を発生させて回転させるもの。必要な力の大きさや求められる回転速度によって様々な大きさや形があり、ワイパーや電動格納式ミラーなどもモーターによって作動している。構造上はどれも似たようなものだ。
 さて、スターターはセルモーターと呼ばれることもあるが、フライホイールに刻まれたギアをモーター(スターター)を使って駆動させ、エンジンを初爆から始動へと導く。
 そんなモーターのメンテナンスは、とにかく動かさないで放置しないこと。モーター本体の可動部ももちろん、それを使って作用する部分も、動かさないでいることで抵抗が大きくなって、大きな力がないと動き出せなくなってしまう。モーター、つまりスターターが一番大きな仕事をするのが動き始めで、流れる電流もこの時に最大になるため、抵抗が大きくなっていると過電流でヒューズが飛んでしまうことも。一度回り出してしまえば、後は慣性力も加わり仕事量は小さくて済む。エンジンが始動できないときに軽くスターターを叩くと、一時的に動き出すのもこういった理由によるものだ。
 唯一の消耗部分は接点で、ここは磨耗していく部分なので使用時間が増えていくにつれて劣化する。シンプルな構造なのでトラブルが起きるケースは少ないのだが、車齢21年を超えた高齢世代のドイツ車は注意する必要がある。
 スターターには新品のほかに、内部の消耗品を交換したリビルト品が流通している。費用的にはこれを使うのがもっともリーズナブルな方法で、車種によっては信頼性の高い国産のモーターを使ってリビルトしたスターターも存在する。
 スターターの不良はそう多くないものの、いざ壊れるとエンジンを始動できなくなってしまうため非常にやっかいだ。もし出先でエンジンが始動できなくなったら、まずはキーを捻ってスターターが回るかを確認。スターターが回るのであればバッテリーに問題があるケースが多い。逆に回らない場合は、スターターの不良が考えられる。スターターが原因の場合はゴムハンマーなどで軽く叩いてみて、それでも復活しなければ諦めてレッカーを呼ぶしかない。

ベアリングの不良が起きるのはベルトの張り具合によるところが大きい。テンショナーの状態に気を配ることも重要なメンテナンスだ。
オルタネータは、内部の消耗部品を新品にしたリビルト品を使うのがリーズナブルな手法。ブラシだけなど、部分的な分解修理もできる。
スターターが壊れてしまうと、キーを捻ってもエンジンがかからなくなってしまう。出先でトラブルが起きるとやっかいだ。
スターターにもリーズナブルなリビルト品が流通している。トラブルは多くはないが、年式的に高齢世代のドイツ車は注意しておきたい。