日本では特別なクルマ
というイメージが強いが
海外では身近にある〝いいクルマ〟
ブランドやイメージが
不安要素に繋がっている
メルセデス・ベンツが持つブランド力やイメージが、はじめての人にとっては不安要素になっているのだと思う。「いつかはメルセデスに乗る!」と、頑張ってきた人にとっては一つのゴールを達成する瞬間でもあるし、中古車を手に入れようという人には「維持できるのか?」という不安のスタートでもある。
日本でのメルセデスは特別なクルマというイメージが強すぎるように思う。海外では数ある自動車メーカーのひとつという認識だし、日本へは装備が充実した仕様が輸入されているが、本国では装備を簡素化した極めてベーシックなグレードが存在する。ドイツではメルセデスのタクシーが走っているくらいだから、もっと身近にある、いいクルマというイメージなのである。
近年ではAクラスやBクラスといった低価格帯の新車が数多くラインナップされ、身近な存在になってきた。とはいっても、まだまだ日本においては特別なクルマとして認識されているのが一般的だ。もちろん、それが所有する満足感にも繋がるわけだが、メルセデスに乗るのに早すぎるなんてことはない。大排気量の上級クラスは確かに特別。だが、ベーシックなクラスであれば、他の輸入車となんら変わることはない、誰でも乗れる実用的なクルマなのである。
ここでは、はじめてのメルセデスに最適なモデル選びや中古車の買い方、さらに気になる維持の真実について分かりやすく解説していく。クルマに限らず新しいことを始めるには勇気が必要だが、一度足を踏み入れてしまえば意外とどうにかなるというのはよくあること。この企画がそのきっかけになれば、本誌としても嬉しい限りである。
どんなモデルを
選べばいいのか?
構造がシンプルなベーシックなモデルと
じっくりと付き合ってメルセデスを知る
日常の足として使えて
かつ維持しやすいクルマ
同じメルセデス・ベンツというブランドであっても、一括りにはできないほど色々な個性を持つモデルがラインナップされている。メカニズムも、搭載されるエンジンも様々だ。このためどんなモデルを選ぶかで、購入してからのメンテナンスも大きく違ってくる。どんな苦労があってもゾッコンで維持費を注ぎ込む1台というのも素敵だが、そこまでマニアックにはなり切れない人にとっては、日常的な足としても高い実用性を持つ維持しやすいクルマを求めたいところだろう。
そこで最初のクエッションでは、現在手に入る新車・中古車の中から手軽な予算で入手できて、メルセデスらしいステイタス感と実用性を備えているモデルをセレクトしてみた。はじめてのメルセデスとして選んでも後悔することがないよう、故障が少なく維持しやすいという点をポイントにベスト3を選んでみた。
そこでチョイスしたのがCクラスのW204。まず中古車価格がリーズナブルなこと、メルセデスらしさを知るという意味においては王道のセダンであることがお勧めする理由のひとつ。メルセデスらしさとかそういったものを抜きに、とにかく気軽に乗ってみたいと思うならBクラスのW246。ミニバンのようなデザインが気に入ればなかなかの実力派。まずは最近のメルセデスに触れてみるという意味においても入門用として最適だ。最近では中古車の数も増えてきている。もう一台はEクラスのW211、E320CDI。ディーゼルモデルはメルセデスの実用車としての魅力を凝縮したもう一つのランドマークでもある。
もちろん、いきなりタテ目のクラシックモデルから入っても、憧れのゴーロクマルを手に入れたとしても、メルセデスの場合は整備費用さえ用意すれば乗れなくなるということはない。現在もこういったクルマを通勤に使っている人がいるのも事実。決してはじめて買うのは無難なモデルでなくてはいけない、ということではないが、いきなり30万円も40万円もするような修理代が必要になると普通の人は嫌気が差してしまうと思う。まずはじっくりと付き合ってメルセデス・ベンツの良さを知り、次第によりディープな世界へ足を踏み入れればいいだろう。
そういった意味でも、メルセデス・ベンツとの出会いとなる最初の1台は、イメージを決定する大切なチョイス。信頼性と魅力を両立した素敵なクルマと出会って欲しい。
お勧め No.01
W204 Cクラス
セダンのCクラスこそ、メルセデス・ベンツの入門用には相応しい。ボディ剛性が非常に高く、安定感ある走りと広い車内は大きく進化した印象。メルセデスらしい高級感もあって、かつ実用性も高い。信頼性の面でもトラブルが多かった先代とは比較にならない進化を遂げている。万人に勧められるチョイスである。