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2022.10.25

【直すか?買い替えるか?ドイツ車人生決断のヒント】運命の決断をする前に知っておきたいこと

 クルマの買い替えか、それとも直して乗り続けるか、という運命の決断に迫られた時にどうするべきか。最終的には自分が決めなければならないと分かっていても、今乗っているクルマへの愛着、予算の問題、家族の説得など費用が高くなればなるほど悩みは増していくもの。本特集では、後悔のない決断をするために必要なあらゆる可能性を探ってみた。まずは、ドイツ車人生における運命の決断の前に知っておきたいことからスタートしよう。

重大な決断だからこそ
メリットとデメリットを把握しておく

突発的なトラブルをどう乗り切るかが問題

 例えば住宅において、現在住んでいるマンションから一戸建てを購入するか、今のマンションをリフォームするか、それとももっと条件の良い新築マンションを探すかといった悩みは人生における大きな決断のひとつ。残っている住宅ローンや現在のマンションが希望の価格で売却できるのかどうか、さらに賃貸にするべきかなど大きなお金が動くだけに慎重に決断しなければならない。
 住宅の次に高い買い物となるクルマも同じようなことが言える。このまま整備しながら今のクルマに乗り続けるのか、それとも新しいクルマを購入するのか、今乗っているクルマはいくらで売却できるのかなど、ドイツ車人生における大きな決断になる。
 そのターニングポイントになるのが、突発的なトラブルが発生した時だろう。想像以上に費用が高く、直すのか、それとも買い替えるかの決断を迫られることもある。
 まず、買い替えとなった時に、今のクルマよりも新しい世代に乗り替えるのが一般的だと思う。例えば、メルセデス・ベンツW211からW212、BMW・E46からE90といった具合だ。この時にチェックしておきたいのが構造の違いを把握しておくこと。維持費は構造の違いによって変わってくるから、今後のメンテナンスにも大きな影響を与える。また、メルセデスからメルセデスといったように同ブランドでの乗り替えではなく、BMWやアウディといった他のドイツブランドをチョイスするのであれば構造はより大きく異なるので、その違いはしっかりと把握しておくべき。
 同型車への乗り替えというチョイスもある。例えば、メルセデス・ベンツW124から、現状よりもコンディションの良いW124に乗り替えるというパターン。根強い人気を持つクルマほど、同型車への乗り替えが多い傾向にある。気分を変えたいとか確信の理由があるなら迷うことは何一つないが、整備費用がネックである場合の乗り替えでは、工夫次第で乗り切れるかもしれないし、乗り替えたことでより費用が嵩む結果になることも考えられる。もちろん、その逆も。それゆえ、これまで自分が行なってきたメンテナンスと、購入予定のクルマで今後必要になるメンテナンスを信頼できるプロと相談しながら整理する必要があるのだ。
 そして、もうひとつが旧世代に戻るパターン。これまで本誌で取材したユーザーの中にも、このパターンでの乗り替えを実践しているのを数多く見てきている。この場合、そのクルマにゾッコンであるケースが多いので何があっても乗り切れるだけの愛情を持っていると思うが、例えば10年前と今では部品代は変わっているし、経年劣化により10年前には考えられなかったトラブルが発生することもある。だからこそ、知識としてそういった事例を覚えておけば突発的なトラブルがあったとしても乗り切れるはずだ。

乗り続けることも趣味として素敵なチョイス

 中古車は一点モノ。運命の一台に巡り会えたのであれば、とことん付き合っていくというのは趣味として素敵なこと。ベテランユーザーになると突発的なトラブルで費用が嵩んだとしても、知識と工夫で乗り切る術を分かっている。
 また、定期的にメンテナンスしているクルマは、所有年数が長くなるほど、頻繁に乗り替えを続けるよりも経済的にリーズナブルに済んでいるケースが多い。長く付き合っていくうちにトラブルの対処方法も身に付いていくから、早め早めの対処によって重症に陥ることが少ないのである。今のクルマととことん付き合うと決めたなら、積極的に動いて、信頼できる修理工場、メカニックを見つけることが重要になってくる。
 買い替えることも、直して乗り続けることも、ドイツ車人生にとっては重大な決断。前述したように中古車は一点モノであり、今回の特集はシミュレーション的な内容もあってすべてのパターンに当てはまるわけではないが、今後のカーライフに最適な判断をする助けになれば幸いである。