✔簡略化された装備が逆に新鮮
✔個性をアピールできる本国仕様
✔W124の雰囲気を活かしたボディワーク

ドイツMIESEN社による見事なボディワーク

　MIESEN 124Lのベースとなっている230TEは、日本に正規輸入された仕様とは若干異なる部分がある。ATシフトの前にある灰皿は後方に移動されており、お馴染みのセンターコンソールにはパワーウインドーのスイッチがない。それもそのはず、このクルマは前後のウインドーが手動式になっているのだ。完全な趣味車となったW124においては、装備が簡略化された仕様であった方がむしろ新鮮であり、そこに価値を感じるという見方もできる。人とは違った個性をアピールすることが可能だ。ちなみにエアコンは装備されているので、室内では快適に過ごすことができる。
　ボディは歴史あるドイツのコーチビルダーであるMIESEN社だけに、きっちりと作り込まれている。ボディラインもとてもキレイで、このへんはさすがドイツの老舗らしい仕上がり。フロントセクションはベース車と変わらないが、リアドアとの間が若干延長されているのが特長。全高が高くなっているので、リアドア自体は専用品となっている。これに伴いウインドーの面積も広くなり、後席に座っているときの開放感は特別なもの。もちろんリアゲートもノーマルのワゴンよりも大きい。
　エンジンはベースである230TEと同じSOHCの直列４気筒を搭載。パワフルなエンジンではないが、高速を全開で飛ばすような性格のクルマではないので、日常的な使用において不満を感じる場面は少ない。まったりとしたフィーリングは重厚感があるもので、往年のメルセデスらしい走りを味わうことができる。
　このクルマで移動販売をしたいと考えている人はS124の良さをよく分かっていると思うので、そういう意味では仕事と自分の趣味を両立できるクルマだと言えるだろう。ルーフが高くなった独特なスタイルは、街中での注目度も抜群。商売の面においても良い効果を発揮してくれるはずだ。
　足回りはフロントがストラットでリアがマルチリンク。リアには油圧式のレベライザーが備わっているので、重い荷物を積んでもボディが沈み込むことはなく、一定の車高を保ってくれる。何かと荷物が多い移動販売車ほどその効果は実感しやすいと言える。
　前オーナーの移動カフェである「RADIO CAFE」は別のクルマで営業しているという。このままの仕様で移動カフェを開業してみてもいいし、これをベースに新たなコンセプトで更なるリメイクを加えていくことも可能。ベースとなるMIESEN 124L自体が非常に希少なクルマであることに加えて、遊び心がある一台なので、自分色に染めて楽しむことができる貴重なS124だと言えるだろう。

機関部のメンテナンスは230TEと共通

Detail Check

パーツや各部の作りに至るまで細かく見てみる!

日本仕様と異なる点が多数
個性をアピールできるのが魅力

前後のウインドーは手動式

センターコンソールにパワーウインドーのスイッチがないと思ったら、前後ともに手動式だった。全高が高くなっているためリアドア自体は専用品。

灰皿の位置がノーマルとは異なる

日本仕様ならＡＴシフトの前にある灰皿だが、このモデルは後席側に装着。こうした装備の配置の違いは新鮮で、そこに価値を見出すこともできる。

フロントバンパーの形状が違う

日本仕様のＷ１２４のフロントバンパーはスリッド状のエアインテークが付いているが、このモデルにはない。こうした仕様の違いは面白い。

MIESEN社による徹底的な作り込み

元々は搬送車であったため、ベースであるワゴンに比べると大幅にルーフが高くなっている。W124の雰囲気を活かしたボディ加工はさすがだ。

Restore & Maintenance

レストア＆メンテナンスのポイント

レベライザーやゲートダンパーの劣化に注意

ワゴンがベースになっているので、油圧式レベライザーやゲートダンパーの劣化には注意したい。その他基本的なメンテナンスについては230TEと同じと考えていいだろう。

油圧式レベライザーのポンプはオイル漏れが発生しやすい。ホースや下回りにあるバルブの劣化にも注意が必要。

壊れるとエンジンがかからなくなってしまうイグナイター。作動確認が取れた中古品または新品を常備しておきたい。