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【激レア独車 04/ALPINA B7 Turbo 1981y Part.1】アルピナが自動車メーカーとして最初に手がけたマシン

アルピナが自動車メーカーとして最初に手がけたのが5シリーズをベースとしたB7 Turbo。いきなり最高出力300psを発揮するモンスターセダンを作り上げてしまう高い技術力は当時からズバ抜けていたのだ。

E12こと初代5シリーズがベースとなっているB7ターボ。エクステリアにはトランクスポイラーやアルミホイールなどアルピナ専用パーツを装着している。ボディサイドにあるデコラインがアルピナであることを誇らしげに主張する。

生産台数が少ない
アルピナゆえに希少な存在

 元々はチューニングパーツを中心に製作していたアルピナだったが、78年にBMWからホワイトボディの供給を受ける自動車メーカーに転身。最初に世に送り出したモデルは、当時4気筒しか搭載していなかった3シリーズに6気筒を搭載したB6 2.8、そして5シリーズをベースとしたB7ターボ、B7ターボクーペだった。今回紹介するのは81年式のB7ターボリムジン。アルピナは手作業によって丁寧に組み立てられるのが魅力。そのため生産台数が少なく、B7ターボの場合は78年から82年の間に149台しか生産されなかった非常に希少なクルマなのである。日本では80年6月から83年の7月まで販売され、当時の新車価格は1320万円だった。
 B7ターボの魅力は何といってもエンジン。SOHCの直列6気筒にKKK製のターボチャージャーをドッキング。最高出力は300ps、0‐100㎞加速が6.1秒、最高速度250㎞/hを記録し、当時の4ドアセダンの中では世界最速のリムジンと呼ばれるほどの性能を誇っていたのである。ちなみに同じE12をベースとしたB7ターボSというモデルも存在し、こちらは60台が生産され、最高出力は何と330ps。最高速度は261㎞/hというモンスターセダンだった。
 この世界最速エンジンに組み合わせられるミッションはゲトラグ製の5速MTで、足回りはアルピナシャシーキットによって強化されている。ブレーキは4輪ともベンチレーテッドディスクとなっており、放熱性に優れたフィンタイプのアルピナ専用ホイールが装着される。
 エクステリアはALPINAのロゴが入った大型のフロントスポイラー、ボディサイドにはお馴染みのデコラインが入り、特別なクルマであることを主張。インテリアはB7ターボ専用とも言える仕様になっており、ダッシュボード上に備わるブースト計などの3連メーター、過給圧を調整するブーストコントローラーが装備されている。ステアリング、アルピナストライプが入ったスポーツシート、シフトノブ、メーターなどのアルピナ専用品は、B7ターボ以降のモデルにも採用され、アルピナチューニングの特長的な部分として現在も受け継がれているものだ。
 中古車となった今では、日本で現存しているB7ターボが減ってしまい、実車を見る機会は少なくなってしまった。今回は運良く発見することができたが、これから先何台のB7ターボに出会うことができるのかと考えてみると、中古車は本当に一期一会なのだと実感する。世界最速と言われたB7ターボ。今でもBMWファンのみならず、クルマ好きの心を魅了する一台だ。

各部に手を入れて現代に甦った世界最速リムジン

SOHCの直列6気筒にターボを組み合わせて、最高出力300psを発揮するパワーユニット。最高速度は250km/hを記録し、当時は世界最速のセダンだった。
トランスミッションはゲトラグ製の5速タイプ。ウッドパネルの上にはシリアルナンバーが入ったプレートが装着され所有する満足感を高めてくれる。
インテリアは特別な雰囲気で、ステアリングやシフトノブにはアルピナ専用品を装着。過給圧を調整するブーストコントローラーも装備されている。
アルピナストライプが入った専用シートが前後に装着されている。このタイプのシートは生産中止になっているため、今ではとても希少なものだ。
300km/hスケールとなるアルピナ専用メーターを装着。スピードメーターとタコメーターの隣には燃料計と水温計が並んでいる。
ダッシュボードの上にはブースト計などの3連メーターが装備されており、ドライバーの気分を盛り上げてくれる。これはB7ターボ専用品だ。

希少なクルマゆえに心配なこと

ALIPNA B7ターボ

気になるギモンを解決!

Q1. 維持するのは大変なの?

A1. 基本的なパーツは供給されている

NAモデルに比べると専用品が多いぶん維持費は高めだが、それだけ特別なクルマであるという証拠でもある。今でも機関系のパーツは入手できるのでメンテナンスで困ることはない。一部欠品パーツがあるが、それはオーバーホールなどで対応できる。

Q2. ファーストカーとして使える?

A2. 機関面の状態がポイントになる

名機とも言えるエンジンを積んでいるB7ターボ。ベースとなっているのは4ドアセダンなので、大人4人が快適に過ごせるスペースが確保されている。機関面がきっちりと整備されているクルマなら、ファーストカーとしても十分に使える性能を備えている。

Q3. 運転にはコツが必要なの?

A3. 同世代のクルマに共通する作法

MTが運転できる人であれば、とくに気を遣うことはない。ただし、近所のコンビニに行くだけなどのチョイ乗りはなるべく避けること。水温が安定するまでエンジンを回してあげることや暖機運転が必要なことは、同世代のクルマに共通する作法である。

 
SPECIFICATIONS
全長 : 4620㎜
全幅 : 1690㎜
全高 : 1405㎜
ホイールベース : 2636㎜
トレッド(前): 1444㎜
トレッド(後): 1466㎜
車両重量 : 1485㎏
エンジン方式 : 直6SOHC+T
総排気量 : 2986㏄
最高出力 : 300ps/6000rpm
最大トルク : 47.2㎏-m/2500rpm
トランスミッション : ゲトラグ5速MT