クルマから離れる時に振り返ってしまうほどの美しさ
理想のスタイルを追求した
この時代だから生まれた形
低いトランクデッキを持つワイド&ローの姿には、空力や燃費など気にせず理想のスタイリングを追求した、割り切りの美学を感じる。初期モデルはメッキのドアミラーやバンパーを装着して全体的に細い線で構成されていたが、安全対策から末期には大型のウレタンバンパーとなりボリューム感を増している。クラシカルな雰囲気を重視するなら、初期~中期モデルが魅力的だろう。
インテリアは、ダッシュボードが階段状の二段構造になっていて、空調の吹き出し口が奥の方にあるのが特徴的。でも基本的にはこの時代のBMWに共通のテイストでまとめられていて、奇抜さはない。パワーシートがやたら細かく調整できたり、後期モデルではリアシート専用のエアコンシステムが搭載される(クーペなのに!?)など、装飾より実用的な装備を重視しているのがドイツ車らしいところ。
左ハンドルのみで大きなドアを持つクーペは、実際に使ってみると乗り降りにも不便なことが多いけれど、クルマから離れる時に思わず振り返って見とれてしまう。デビューから40年が経っても変わらないカッコ良さは、本物だと思う。
旧世代ならではの作りの良さを感じるポイント
ファーストクラスのようなリアシート
Profile
ボディは名門コーチビルダーであるカルマン社が担当。エンジンは直6SOHCのビッグシックスを搭載。ブレーキサーボがエンジンの負圧でははなくアキュームレータに溜めたガス圧で作動するなど、凝ったメカニズムも。日本仕様ではATのみ。
代表的グレード
633CSi/635CS
MTモデルはないの?
日本仕様の初代6シリーズはATのみの設定なので、MTモデルはない。超希少だがM6であればMTを搭載している。
維持するのは大変?
外装パーツに欠品が出てきているが、機関面についてはまだまだ心配するようなことはない。専門店できっちりと仕上げてもらうことが大切だ。
生産期間
1976~1989年
1987年~後期型
主な小変更
●76年、633CSiの導入を開始。●84年10月、マイナーチェンジを実施。バンパー形状やエンジンが変更され、635CSiにチェンジする。●87年、マイナーチェンジを実施して大型のウレタンバンパーを装着。
Specifications 86年式635CSi
全長 4755㎜
全幅 1725㎜
全高 1365㎜
ホイールベース 2630㎜
トレッド(前) 1430㎜
トレッド(後) 1460㎜
車両重量 1490㎏
エンジン方式 直6SOHC
総排気量 3430㏄
最高出力 185ps/5400rpm
最大トルク 29.5㎏-m/4000rpm
トランスミッション 電子制御式4速AT
※GERMAN CARS 2016年4月号特集より