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【忘れられない絶品のフィーリング】往年のメルセデスが持つ自動車としての本質的な魅力  by サカモトエンジニアリング

往年のメルセデスを愛好する人は未だ多く存在しており、皆が口を揃えて言うのが、機械が生み出すフィーリングの良さ。ここでは往年のメルセデスが持つクルマとしての魅力について解説していきたいと思う。

一度知ってしまった感動は
なかなか忘れられない

 いかに長く愛用されるドイツ車であっても、大半は解体されてしまっている。街中でも以前に比べると見かけることが少なくなった往年のメルセデスたち。しかしそこにこそ、無国籍化した今の輸入車にはない深い味わいがあった。
 窓が大きくて基本形を守ったコンサバディブなボディのスタイリング、エアバッグが内蔵されていないため自由なデザインが可能だったステアリング、ノブの1つ1つが大きく主張するスイッチ、現代の若者であれば「インスタ映え」なんて言うのかもしれないが、原色系のハッキリとしたボディカラーなど、現代のクルマでは絶対にあり得ない形や色が、今だからこそ目を引く。「懐かしい」の一言では済ませられないほど、オシャレな存在感を持っているのだ。
 昭和の末から平成にかけてのクルマ作りは、世界経済のグローバリゼーション化による影響を強く受けている。口うるさい一部のお得意さまだけを相手にする商売と、新しい市場へ意欲的に打って出る商品とでは、自ずと作り方が違ってくるのは当然のこと。欧州の自動車メーカーは、この頃からコスト意識を高め、独自性よりも信頼性やユーザーフレンドリーな装備などを重視するようになっていく。その視線の先には、間違いなく世界で評価を高めていた日本車があった。こうしてドイツ車は、かつての味わいを失っていったのだ。 それでも、我々は知ってしまった。決して忘れることのできない、ドイツ車にしかなかったドアを閉める時のあの硬質感。深く芯のあるシートの座り心地。アクセルを開けると唸るエンジン、そして強烈なトルク。高速で路面に吸い付くような安定感。街中での驚異的な取り回しの良さ。そうした絶品のフィーリングが忘れられないからこそ、燃費が悪くても、故障が多くても、乗っていて気疲れしても、趣味のクルマとして手放せないでいるのではないか。
 神奈川県平塚市にあるサカモトエンジニアリングに通うユーザーは、そんな熱い気持ちを持った人が多いという。代表の坂本氏は往年のメルセデスは人生の相棒になる、と話す。
「クルマは移動のための道具ですが、趣味として乗り続ける人が多いですね。だから、気持ちで応えてあげたいと思っているんです。スポットで重要な部分を直して、その後のメンテナンス計画を立てつつ、できるだけ長く乗り続けてほしいと思うんです。新車のようなコンディションに戻すのはもちろん素晴らしいと思いますが、長く乗り続けることも大事かな、と。ボンネットを開けるとだいたいのコンディションが見えてくるんですけど、手が入っているクルマはすぐに分かります。きっとクルマもオーナーさんも幸せなんだろうなって感じますね」
 坂本氏は長きに渡って往年のメルセデスを修理してきたが一番の魅力はオーナーとの一体感にあると話す。
「この時代のメルセデスは運転していて楽しいですよね。長距離を運転しても疲れにくいですし、自分で操作している感覚があるから飽きない。だから乗ってこそ良さが分かるクルマ、と言えるんじゃないですかね」
 確かに現代のクルマは速くて快適だけれども、多くのメルセデスフリークが話すのは、フィーリングの良さ。アナログな作りが生み出す絶品のフィーリングは、この時代のクルマだからこそ感じられるものだ。
 この良い状態を保つにはメンテナンスをしていくしかないのだけれど、メルセデス・ベンツは維持の環境が整っており、部品も入手できるからそんなに難しいことではない。ただ最近思うのは、直してくれる人、つまり熟練メカニックが減ってきているような気がするのだ。年齢的に引退してしまうのは仕方がないが、この時代のメルセデスは誰に直してもらうかが重要になる。
 そんな中で坂本氏は今も現場に立ち整備を行なうが、一方で技術継承も進めている。この時代のメルセデスになるとディーラーで面倒を見てもらえるケースは少ない。この時代を知るメカニックがいないのだから、これまた仕方がない。だが、坂本氏はディーラー時代から新車のW126やW124などを整備してきた人物なので安心して愛車を任せられる。

オシロスコープの波形を見ながらエンジンの状態をチェックする坂本氏。こういったアナログ対応した整備機器も最近では減ってきているとのこと。診断機を繋いでエラーが出たところを交換するといった現代の整備とは違い、メカニックの経験や知識が重要になる。
定期的に実施していたサカモトエンジニアリングのツーリング企画だが、現在は中止している。

取材協力
サカモトエンジニアリング

所在地:神奈川県平塚市大神1729-1
電話:0463-53-3001
HP:http://www.sakamoto.cc/

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