本来のフィーリングを味わえる極上のコンディション
1993年式300E
●検7年1月 ●走行5.1万km ●ミッドナイトブルー ●内装:紺ファブリック ●ディーラー車 ●右ハンドル ●運転席エアバック ●横浜33ナンバー ●法人1オーナー ●記録簿22枚付 ●価格238万円
「黒ヘッド」を搭載する味わい深い前期型
W124フリークの間では、前期型を推す声が多い。現在の中古車の流通量は全盛期ほどではないとはいえ、1993年モデルまでの前期型(中期型含む)から、それ以降の後期型まで色々と探せる状況。とはいえ、ヤングクラシック世代らしくコンディションの差は激しく、上質なクルマはすぐに売れてしまう。さらに近年では、はじめてW124に乗るユーザーがじわじわと増えてきているという。そんな中で今回出会ったのが、走行5万kmの300Eで、93年式の前期型である。
W124・300Eに搭載される直6SOHCユニットは、1980年代におけるメルセデス・ベンツの主力ユニット。300E、260E、クーペ版の300CE、ワゴンの300TE、そしてセダンのロング版である260Eなどに搭載されている。
通称「黒ヘッド」と呼ばれたこのエンジンはM103型であり、当初はDOHCのM110から、カムシャフト1本のSOHCに逆戻りしていると思われたが、油圧リフターが採用されるなどその構造は大きな進化を遂げている。燃料噴射装置は、噴射量から冷間時のアイドルアップまでを完全な機械式でコントロールしていたKジェトロニックから、エレクトロニック・プレッシャガバナで噴射量をコントロールするKEジェトロニックへとマイナーチェンジ。基本構造を大きく変えることなく進化を遂げている。振動の吸収性に優れたオイル封入式のエンジンマウントが採用されるようになったのもこのM103世代から。メルセデスの直6ユニットの完成度を飛躍的に高めたとも言える存在だ。
このM103ユニットが生み出す重厚なフィーリングは往年のメルセデスらしいもので、後期型に搭載されたM104ユニットに比べてシャープさには欠けるものの、味わい深さを感じさせてくれる。
取材車は走行5万kmということもあってエンジンは絶好調。低走行車らしく機関部の経年劣化が少なく、定期的に消耗品を交換していけばこれから10万、20万kmと長く良いコンディションで楽しめるのは、低走行車ならではのメリット。
エクステリアを見ると、塗装には艶がありキレイな状態をキープ。メッキモールのくすみなどもなく、法人車両として大切に維持されてきたのが分かる。ミッドナイトブルーのカラーも落ち着きがあって上品。リアガラスにフィルムもなく、旧車として素敵なルックスとなっている。
特筆すべきはインテリア。シートに座った瞬間に分かる、スプリングが効いた座り心地は絶品。多層構造になっているのはW124フリークにとっては有名な話だが、新車時を思い起こすようなコンディションだった。エアコンなどの快適装備も正常に作動し、ウッドパネルも新品のような艶と輝きを放っている。
これだけ極上のコンディションを持つ300Eに出会うのはそう簡単なことではない。これからW124に乗ろうと思っている人や、乗り換えを検討しているベテランユーザーにとっても満足できる1台だと言える。気になる人は早めに決断することをお勧めしたい。