違いが分かる大人のためのカスタム
個性を演出できる希少な1台
1992年式300E
今となってはちょっと珍しいW124を発見!
ロリンザーといえば、ベンツ好きなら誰もが知る老舗チューナーのひとつ。1930年、自動車マイスターであったアーウィン・ロリンザーがドイツ南西部のヴァイブリンゲンに設立した修理工場が起源。後にベンツ販売ディーラーとなり他とは違う個性と顧客の要望に応え、BBSのホイールを装着したことがチューニングの始まりなのだという。
ロリンザーには、顧客の要望に応じてエアロパーツの装着から内装パーツ、アルミホイール、サスペンション、エンジンチューニングに至るまで様々なチューニングスタイルが存在する。過激で押しの強いAMGやブラバスとは一線を画し、「顧客の数だけ個性がある」との信条と「さりげないチューニング」がロリンザーの真骨頂なのだ。パーツひとつからコンプリートに至るまで、個性豊かな表現でロリンザーらしさを提供するスタイルは今でも多くのファンに支持されている。
取材車両は、バブル時代に人気のあったW124・300Eのロリンザー仕様。装備はヘッドライトワイパーやシートヒーター、ASD(アンチ・スリップ・デフ)、電動サンルーフなど製造ラインからオーダーしなければ装着できない特別装備が満載で、ファーストオーナーの強いこだわりが伝わってくる。
フロントは、Sクラスクーペのフォグランプを流用したロリンザーのバンパースポイラー。走行時、前のクルマのバックミラーに映るシルエットでロリンザーであることがひと目で分かるデザインだ。また後方を見れば、控えめなバンパースポイラーと太めのトランクスポイラーでロリンザーであることを表現。さらにシルバーに輝くLorinserのエンブレムは、特別な存在であることをさりげなくアピールする。
内装は程度が良くウッドパネルにヒビ割れはない。モケットのシートは、パームヤシを使った贅沢な多層構造で高速走行や長距離ドライブでも疲れにくい。経年劣化や走行距離を感じさせない強い張りがあり、とても30年前のクルマとは思えないほど綺麗だ。今となっては入手困難なウォールナットシフトノブは、本物の木を使った贅沢な作り。W124後期モデルに登場するジャバラ式ウッドコンソールボックスも装備されている。足回りは、カヤバのショックアブソーバーが装着されており、タイヤサイズも195から205へトレッド幅を拡げて走行安定性を確保。また天井のルーフライナーが新しく張り替えられ、夏と冬には嬉しい断熱材が追加装着されている。
W124に長く乗り続けるためには、購入後のメンテナンスが重要。もちろん納車時にはこのクルマを販売するアイディングがきっちり仕上げてくれるが、日々のW124との付き合い方も大切。「お約束の儀式」としてEG始動時にキーをONにし2~3秒待ってセルを回す。水温がある程度上がるまで十分に暖機運転を行ない、始動後は暖機走行を心がける。据え切りをせず、ステアリングは最後まで追い込まない。ATはクルマが完全に停止してからシフトチェンジする。こうしたちょっとしたことが、W124を長く快調に楽しめることに繋がっていくのだ。
派手すぎない上品な仕立てで特別感をアピール
所在地:神奈川県横浜市都筑区早渕2-1-38