フルサイズでも妥協なしの懐の深いコーナリング性能
低くワイド感のあるボディを持った、端正なスタイリングのスポーティーな7シリーズ。足回りは一新され、大型のサルーンとは思えないナチュラルで懐の深いコーナリング性能を実現、BMWらしいVIPサルーンに仕上がっている。メカニズム面ではコンピュータ制御が進み、データの通信にはCANネットワークを使用、コンピュータチェックによるトラブル箇所の特定が容易になった。96年からは5速ATに任意のギアを選べるステップトロニックが追加されている。
取材車は2000年式の735i Mスポーツで、サスペンションやアルミホイールには専用品が装備され、このモデルにはブレンボ製の対向ブレーキキャリパーを搭載しているのもトピック。V8ユニットのパワーを受け止めるブレーキもしっかりと強化されているところに走りを哲学とするBMWの思想が感じられる。フラッグシップらしからぬシャープな操縦性も魅力で、ドライバーズシートに座って、積極的に走れるフルサイズサルーンなのである。
現在、走行5・9万㎞というスペックを持つE38はなかなか出てこない。しかも、BMW専門店であるつたえファクトリーで整備された車両なので安心してBMWライフをスタートできる。
3シリーズや5シリーズが人気のBMWだが、この時代の7シリーズは走りを強く意識していた時期。そのフィーリングをぜひ楽しんでもらいたいと思う。
端正なスタイルとなるエクステリア。Mスポーツなのでエアロパーツ、アルミホイールなどに専用品を装着している。真横から見るとフロントが若干下がり気味に見えるが、これは当時のBMWに共通するもので、スポーティな印象を強める要素にもなっている。トランク容量も十分で、実用性もしっかりと考慮されている。
ウッドパネルを贅沢に使ったインテリア。シートはMスポーツ専用品。インテリアのコンディションは年式を感じさせないほど良い状態を維持している。
当時のBMWでは直6ユニットに注目が集まっていたが、実はこのV8ユニットも名機と呼ぶに相応しいもの。例えば、理論上二次振動が発生しない直6に対して、このV型ユニットはカムシャフトにバランスウェイトを備えることで効果的に振動を抑制。軽量なムービングパーツを採用していることも特徴だ。
車両情報がデジタル表示となるメーター。デザインは現代にも通じるもので、最高速度は240km/hまで刻まれている。走行距離は5.9万kmと非常に希少な個体だ。
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