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【M・Benz & BMW トラブル攻略ガイド】コンピュータ診断ってどんなものなの?

 ここまで高年式のドイツ車にありがちなトラブルについて見てきた。それらのトラブルを未然に防ぐためのキーポイントとなるコンピュータ診断について解説していこう。

 

高年式ドイツ車には欠かせないメンテナンス

メーカーごとに専用の診断機が用意されている

 高度な電子制御化がなされた高年式ドイツ車は、コンピュータ診断機がないとほとんど整備ができない状況になっている。たくさんの電子ユニットと連携しているため、昔のように勘に頼る整備では対応できなくなっているのだ。
 そのため、トラブルを未然に防ぐためにはこのコンピュータ診断を定期的に受けて、愛車の現状を把握し、必要なメンテナンスを施しておくのが快適なドイツ車ライフを送るために重要なポイントになってくる。でも、コンピュータ診断と言ってもピンとこない人も多いのではないだろうか。パソコンを使って一体何をやっているのかと思う人もいるはずだ。
 コンピュータ診断機はメーカーによって呼び名が異なる。メルセデスではXENTRY(エキセントリー)といったソフトが使われている。正式名称はスターダイアグノシスである。BMWはDIS(ダイアグノシス・インフォメーション・システム)といったように、ポルシェ、アウディにもそれぞれ専用の診断機が用意されているわけだ。
 コンピュータ診断と言っても専用のソフトがインストールされたノートパソコンとクルマを接続することから始まる。高年式ドイツ車においては、運転席のダッシュボード下に専用のコネクターがあり、そこからクルマの情報を読み込む。
 診断機とクルマが接続されると、エンジン関係だけでなく、ライト、パワーシート、パワーウインドー、サンルーフといった細かな装備類の状態まで確認できる。現状のエラーだけではなく、消去されていなければ過去にエラーが出た箇所もメモリーしているため、これまでの経緯も含めて確認できる。最新の診断機では何時に、何回エラーが出たというところまでチェックできるほど進化しているのだ。
 それゆえ、エラーが出ている箇所を特定するのが容易になり、目には見えない電子ユニットやセンサーの不良を見つけられるのが最大の特長。これがコンピュータ診断機が持つ大きな役割なのである。つまり、トラブルの症状と診断機の情報を元に部品の交換をしていくというのが、高年式ドイツ車におけるメンテナンスなのである。
 また、部品を交換したということをクルマ側に読み込ませるコーディングという作業も、このコンピュータ診断機を使って行なう。エンジン制御の設定、エアサスペンションなどを装備しているクルマなら車高の調整などもパソコンから設定できるほどの効率化が図られているのだ。
 このようなことができるようになったのは、クルマのハイテク化による恩恵とも言えるが、診断機がなければ修理できないことも事実。高年式ドイツ車に乗るなら、コンピュータ診断機を持つ修理工場を探しておくことも重要になってくるのである。

コンピュータ診断機の役割

不具合が起きている箇所を特定
エラーコードの確認・リセット
コーディング
エンジン制御の設定変更

コンピュータ診断機の役割としてもっとも頻度が多いのが不具合の起きている箇所の特定。クルマ側からエラーコードを読み取り、それをパソコンの画面に表示してくれるのである。そのエラーコードのリセットも診断機を通じて行なえるようになっている。
ショートテストを行なうとクルマの現状を把握することができる。現状でエラーが出ている箇所だけでなく、過去に発生したコードまで読み取ることができるから、クルマの状態を知る上ではとても参考になる。
コンピュータ診断機が導入されたことによって、クルマのメンテナンスは大きく変わった。これがないと現代のドイツ車は直せない。
コンピュータ診断機は、運転席の足元付近にあるコネクターに繋ぎ、車両情報を読み取っていく。
高年式ドイツ車のメーターに備わるディスプレイには、メンテナンスの時期や故障の箇所などが表示される。
 

高年式のメルセデス・ベンツとBMWは
コンピュータ診断機がないと何もできない