ジャーマンクラシックの敷居は高くない!
目を引く素敵なデザインとダイレクトなフィーリング
リアルクラシックというと、博物館級の名車や戦前のクルマなどいろいろとあるが、ここでは現実的に購入できるクラシックに絞って話を進めていきたいと思う。
「趣味がクルマ」という人にとっては、クラシックは夢のクルマと考える人が多いかもしれない。確かに年式的に見れば、60年代のクルマを購入するというのは勇気が必要だ。とくに、クラシックを購入するのが初めてという人にとっては敷居が高く感じてしまうのは仕方がないこと。
けれども、ドイツのクラシックは足を踏み入れやすいクルマであることは間違いない。まずは、ドイツのクラシックであればビギナーでも楽しめるクルマであることを知ってほしい。夢ではなく、現実的に楽しめる最高のクラシックなのである。
では、その魅力とは何なのか。まず最初に挙げたいのは、アナログな作りによる独特なフィーリングを持っていることだ。
現代のドイツ車はハイテク化が進み、センサーやコンピュータの制御によってクルマが動いている。アクセルの開度、ステアリング、燃料制御など、あらゆる部分を電子ユニットで制御しているのだ。これによって燃費や安全性は飛躍的に向上しているが、どのクルマも同じようなシステムを採用することで個性が薄くなってしまっている。走りのフィーリングは各メーカーの味付けに違いを感じることはできるけれど、クルマに操作されている感は否めない。自動運転の実用化を進めている時代なので仕方がないかもしれないが、往年のドイツ車らしさを求める人にとっては物足りないという声が多い。
一方、クラシックは機械式によるダイレクトさが際立っている。例えば、アクセルはワイヤーで繋がっていて踏んだぶんだけダイレクトに加速していく。ステアリングのフィーリングもナチュラルで、細みのステアリングに路面の状況が伝わってくるような感覚。現代のクルマに比べて装備の数は少ないが、車重が軽いのでクルマの動きも素直なのである。機械式ATの変速はMTを操っているようなフィーリングだ。
現代のクルマは何でもかんでも電気式にする傾向が強いが、クラシックは装備類の作動にエアや油圧を使っていることが多い。例えば、ドアロックの自然で静かな作動は高級感を演出しているなど、その構造を知るほどに凝った作りだと感心してしまう。スイッチを押したときの感触、ドアを閉めたときのドスンという重厚感などにも、往年のドイツ車らしさを感じることができる。
周囲の目を引く、素敵なデザインもクラシックの魅力の一つ。エクステリアデザインは各メーカーの個性に溢れていて、メルセデスにはメルセデスらしさ、BMWにはBMWらしさが表現されている。スイッチやレバー、ホーンリング付きの大きなステアリング、いかにも計器らしいメーターなど、その全てが味わい深い。ドアを開けて運転席に乗り込めば、非日常的な空間が広がり、所有する満足感を高めてくれるのだ。
また、「機能は形状に従う」というドイツらしいデザインが施されているのも魅力。メルセデスのウインカーが一番上に内蔵されたタテ目のヘッドライトは、ウインカーの視認性を考慮したデザインの一つだ。
このように、クルマの個性というのは、時代を遡るにつれて強くなる。各メーカーの特長を凝縮したような濃厚なフィーリングが味わえるのだ。タテ目のメルセデスに乗れば安心感の塊のような感覚で、高い走行安定性と重厚感を持つ。BMW2002に乗れば、軽いボディと軽快に回るエンジンによってクルマを操る感覚をダイレクトに味わえるし、ナローポルシェには純粋なスポーツカーとしてのこだわりが詰まっているなど、各メーカーの哲学を明確に感じ取ることができるのだ。
そして、リアルクラシックを夢で終わらせないだけの環境が整っていることも見逃せない。ドイツ車のパーツ供給体制は整っているから、60年代のクルマであってもパーツで困ることはないのだ。また、ドイツ車は元々が高級車ということもあって、大切にされてきたクルマが多い。同世代の日本車、他国の輸入車に比べても圧倒的な生存台数を誇っていることが、その証明だろう。
現代社会は便利なモノに溢れており、クルマも快適で利便性ばかりを追求する。それだけにアナログではちょっと不便に感じたり、多少快適性が劣っていると感じるかもしれない。けれども、それが味わいとして訴えかけてくるのが大きな魅力なのだ。
人気再燃中! ジャーマンクラシックの魅力ってなんだろう?
イマドキのドイツ車とは違って、クラシック世代のドイツ車は非常にシンプルな構造を持つ。エンジンだけでなく、ステアリングギアボックスやATも機械式となっており、これがダイレクトなフィーリングを生み出すキモになっているのだ。装備類もエアや油圧を使って自然に作動させて高級感を演出するなど、どこを見てもアナログならではの凝った作りになっている。アナログへの回帰は、クルマ趣味をより深く楽しいものにしてくれる。