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【メンテナンス補修パーツ選び】純正?or 社外? パーツ選びの悩みをスッキリ解消する使い分けを徹底解説

純正品、OEM、社外品と3つの選択肢がある補修用パーツ。部位によって使い分けることが重要なのだが、その見極めのヒントとしてメルセデス・ベンツとBMWの修理工場にて、交換頻度が高い消耗品でどういったパーツが選ばれているかを調査した。現場からの生の声はパーツ選びの参考になるはずだ。

工賃を考慮して使い分けるのもひとつの手段として考えられる

 まず大前提として、純正品は品質において一番であり保証が付くのが安心要素。品質を重視して選ぶなら純正品以上のものは存在しない。ただ、OEMや社外品であっても問題なく使えるものがあり、価格もリーズナブルなのだからこれも魅力的なチョイス。部品選びを難しくしている要因は、まさにここにあるのだ。

 純正を使うのか、それともOEMや社外品を使うのか、その見極めのひとつとして、交換するのに必要な工賃を考えるという手がある。例えば、部品代がOEMの持ち込みで1万円安くなったとしても、交換に2万円近く必要な部分だった場合、純正の半分しか持たなかったとしたら確実に損をしていることになる。「次の車検まで持てばいい」というスタンスならともかく、長く乗ろうと思っている人には勧められない。

 逆に、センサーなどで自分でも交換できるような部分に取り付けられている部品などは、純正にこだわる必要はないだろう。もちろん、品質が安定しているという部分では保証が付いている純正以上の安心を得られるものはないが、価格的なメリットが大きいならば信頼できるOEMを使って、仮に純正より早くダメになったとしてもまた交換すればいい。インターネットで手軽に補修パーツを入手できる現代だからこそ、その使い分けが求められているのだ。

イグニッションコイル

イグニッションコイルは持ち込みが多い部品

 交換の手間という面においてはさほど難しくないし、上級者であればDIYで交換する人が多いのがイグニッションコイル。ダイレクト式の場合、トラブルのパターンとして1つか2つのコイルがダメになるのが定番だが、その他のコイルの寿命も近いことは確か。そのため全交換するのが良いというのがメカニックの意見だが、ユーザーの傾向としてはダメになった部分のみを交換するケースがほとんど。他がダメになったらまた工場に持っていけばいいと割り切れば、とくに問題はないだろう。

 イグニションコイルは適合さえ間違えなければ買いやすいということもあって、ユーザーが工場に持ち込むケースが多いという。その比率としては、メルセデスもBMWもOEMが100%だった。メカニックとしてもボッシュ製であれば信頼性が高いという意見であり、価格的なメリットが大きいこともOEMをチョイスする理由になっている。

ありがちなトラブルは?

 イグニッションコイルのトラブルは、熱などによる劣化で内部の絶縁体が溶けてしまったり、細く巻かれた銅線が断線したりして機能しなくなることが多い。イグニッションコイルの数が少なかった時代には、突然エンジンがかからなくなると「コイルが焼けたかも?」と真っ先に疑われるポイントでもあったが、ダイレクト式になってからは、6気筒や8気筒といった多気筒エンジンの場合、1つくらいダメになって火が飛んでいなくても、多少パワーダウンしたりアイドリングの振動が増す程度で、走り続けてしまうというケースも多い。そんな状態でもシリンダーには燃料が供給され続けて、未燃焼のまま排気管内に流れ出すことで触媒を傷めてしまう原因になることもある。4気筒エンジンでは、1気筒止まっただけでも大きな振動が出るのですぐにわかるが、多気筒ユニットの場合は注意しておきたいポイントだ。

現場のメカニックの声

●メルセデス・ベンツ

「OEMパーツの比率が高い傾向。ボッシュ製は信頼性が高く、取材した工場でも不具合が起きた事例はほとんどないという。純正が高価なので、価格メリットが大きいこともユーザーに選ばれる理由になっている」

●BMW

「BMWのイグニッションコイルはメルセデスに比べると安いのだが、OEMを選ぶユーザーが圧倒的に多い。取材した工場でもほぼ100%がボッシュのOEMだそうだ。ユーザーが持ち込むケースが多い部品である」

燃料ポンプ

プロも安心して使っているOEMの燃料ポンプ

 現在主流のインタンク式のポンプはリアシートの座面下にセットしてあり、従来の下回りに備わる吊り下げ式に比べて点検しにくい。そのため信頼性の高い部品を選ぶべき、と思っていたのだが、現場のメカニックとしてはOEMでも十分であり、もちろん信頼できるメーカーを選ぶことが大前提になる。

 ユーザーの傾向を見ても9割がOEMをチョイスしているのが分かる。メーカー別に見ても、ユーザーに選ばれている部品のチョイスはメルセデスとBMWで同じだった。純正の燃料ポンプは意外にも高価であることからも、OEMを選ぶメリットは大きい。そのためユーザーが部品を持ち込むケースが多いようである。 

 ただし、BMWの一部モデルではOEMの設定がないクルマがあり、その場合は純正品を使って対処しているとのこと。また、今回取材した修理工場では、燃料ポンプの社外品はほとんど使っていないそうだ。

ありがちなトラブルは?

 燃料ポンプにトラブルが起きると、燃料を送り出せなくなってしまうので、アイドリングがおかしくなったり、最悪はエンジンがかからなくなってしまう。古めのクルマに多い吊り下げ式では作動音が大きくなったら劣化の合図と言われているが、音が大きいというだけでは決定的とは言えない。断続的に音が変化したり一定でない場合はかなり劣化が進んでいる証拠なので、この場合はすぐに交換しよう。 現在主流のインタンク式は、ガソリンタンク内にポンプが設置されているので作動音は確認できない。そのため、いつ交換したのかというのが目安になる。交換履歴が分からなければ症状が出てから対処するしかないので、エンジンの吹けや始動性に違和感があったら早めに点検してもらうこと。燃料ポンプの不良は突然やってくることが多いので、ちょっとした異変にいかに早く気づくかというのが重要になってくる。

現場のメカニックの声

●メルセデス・ベンツ

燃料ポンプはユーザーが持ち込むケースが多いが、そのほとんどがOEMだそう。実際取材した修理工場でもOEMを推奨しており信頼性については問題ないとのこと。もちろん、品質を最重視するなら純正品が一番である。

●BMW

BMWでもOEMを使うユーザーが9割だそう。価格メリットが大きいことも影響しているのだろう。ただ、一部モデルではOEMの入手が困難になっているため、現状では純正品を使うしかないとのこと。