Classic
Mercedes-Benz 1971年式280SE クーペ3.5(W111)
クーペの最終型で、かつウエスタンの正規モノ
曲線を多用したエクステリアデザインから、通称「ダルマベンツ」と呼ばれたW105/W180/W128の後を受けて登場したメルセデスのフラッグシップがW111/W112。縦に配置されたヘッドライト、アメ車の影響を受けたと言われているフィンテールなど、それまでのメルセデスとは一線を画す、スタイリッシュなプレミアムモデルとして登場した。まずはセダンが1959年に登場し、1961年にクーペが登場、その後これをベースとしたカブリオレも加わり、3タイプのボディバリエーションをラインナップ。セダンは1968年にW108型へとモデルチェンジを果たすが、クーペとカブリオレは1971年まで生産された。
取材車のW111型の280SEは、最終型となる1971年式で、当時の正規輸入元であるウェスタン自動車モノだ。エンジンはアッパーレンジの3.5ℓのV8で、200hpの最高出力を誇り、現代でも通用する動力性能を備えている。ミッションは機械式の4速ATで、サンドイッチタイプの複雑なバルブボディ構造ながら、この時代に4速ATを完成していたのだから、いやはやメルセデスの優れた技術力には今更ながら驚かされる。
クーペボディはサッシュレスドアを採用したセンターピラーレスで、ドア前部には手動開閉式の四角窓が備わる。ちなみにその他のサイドウインドー4枚はパワー開閉式だ。センターピラーレスに四角ウインドー、これにより優れたベンチレーションを確保しているが、このモデルには純正のクーラーユニットがインパネ中央部に備わっており、快適な車内温度を保つことができる。古いモデルゆえにクーラーの利きはイマイチなのでは? と想像する人もいるかと思うが、実際は寒いと感じるほど強力なクーラーなのである。
そのクーラーが備わるインパネ回りは、もはや工芸品とも呼べるほど美しいリアルウッドがふんだんに使用される贅沢な作り。ゼブラノウッドのような質感のリアルウッドだが、実際はより深みのある重厚な木目で、とても印象的なものが使用されている。ステアリングはホーンリングが備わるクラシカルな細みのデザイン。サイドブレーキはそのステアリング奥に位置するステッキタイプ、ペダルはオルガン式の2ペダルとなっている。
シートは当時の最高級オプションの本革。使用感は否めないが、裏を返せばオリジナルをキープしているということでもある。ただしそれはフロントのみに言える感想で、リアは51年を経過している本革シートとは思えないほどに良好な状態だ。クーペゆえに、使用頻度が少ないリアは良好な状態をキープしており、オリジナルのレザー感を堪能することができるのも嬉しい。
さて、この1971年式のメルセデス・ベンツ280SEクーペ3.5。ハンドメイドメルセデスの最後のモデルとも言われるモデルであり、その生産台数は3270台ともいわれる超希少車。その価値は、もはや永遠と言っても過言ではないだろう。
工芸品ともいえるウッドや当時モノの装備が堪らない!
メルセデス・ベンツの当時のインポーターであったウェスタン自動車(後のヤナセ)の正規輸入モデルである取材車両。とにかく51年前の個体とは思えぬほど、非常に良好な状態をキープしている。また、この〝ウェスタンモノ〟であることがさらなる希少価値となっている。現状はフルノーマルであり、全てを確認することはできないが、恐らく多くのパーツがオリジナルをキープしている個体だと思われる。アナログ時代の豪華なメルセデスの本質が感じられる1台である。
【U-CAR DATA】1971年280SE
●検24年6月 ●走行4.4万km ●シルバー ●エアコン ●パワーステアリング
●パワーウインドー ●レザーシート ●ETC ●修復歴なし ●価格:ASK
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